世界的に活躍するベルギー人アーティスト、ヤン・ファーブルによる個展|ESPACE LOUIS VUITTON TOKYO
ESPACE LOUIS VUITTON TOKYO|エスパス ルイ・ヴィトン東京
昆虫の鞘翅(さやばね)を仕様したモザイク作品を披露
ヤン・ファーブル個展『Tribute to Hieronymus Bosch in Congo(2011-2013)』
世界的に活躍するベルギー人アーティスト、ヤン・ファーブルによる個展『Tribute to Hieronymus Bosch in Congo(2011-2013)(邦題:ヒエロニムス・ボスとコンゴーボスを讃えて)』が表参道のエスパス ルイ・ヴィトン東京で開催中だ。9月23日(水・祝)まで開かれている。
Text by YANAKA Tomomi
母国ベルギーがの苛烈な植民地政策の歴史を作品へと昇華
1958年、ベルギーに生まれたヤン・ファーブルの表面的な美しさとは裏腹に、物事に対する抵抗や死に対するあり方を綴った作品が世界から評価されてきた。アーティストとして、ルーヴル美術館やアントワープ王立美術館など名だたる美術館で個展を開催するいっぽう、作家や演出家としても確固たる地位を築いている。
そんなヤン・ファーブルの代表作といえるのが、スカラベやタマムシの鞘翅(さやばね)を使用した作品だ。観る者の視点と、鞘翅に当たる光次第で無限大に表情を変える作品は世界を魅了。近年はさらに、このスカラベをもちいながら、19世紀から20世紀にかけて彼の母国ベルギーがコンゴにたいしおこなった苛烈な植民地政策の歴史を、アーティスティックな観点からリサーチし、作品へと昇華させている。
彼のスカラベを使用した作品をはじめて日本で披露する本展は、シリーズのなかから厳選された14点を展示。初期フランドル派の巨匠、ヒエロニムス・ボスが描いた三連画『Garden of Earthly Delights(地上の悦楽の園)』(1503-1504年)に含まれる寓話や教訓からインスピレーションを受け、スカラベの鞘翅を1枚1枚張り合わせて制作された作品が紹介される。
そのほか、骸骨や鳥などをモチーフにした彫刻作品も披露。ベルギーがコンゴでおこなってきた奴隷制度や金の奪略行為など、ベルギーの文明化が進むいっぽう、搾取されつづける植民地コンゴに隠された“闇”を表現した。
エスパス ルイ・ヴィトン東京に差し込む光を反射し、さまざまな色彩を浮かび上がらせるのと同時に、作品の裏にある深い闇をあぶりだすヤン・ファーブルの作品。彼のアーティスト活動のテーマ「Metamorphosis(変容)」を体現した作品群を目撃する絶好の機会になりそうだ。
ヤン・ファーブル個展『Tribute to Hieronymus Bosch in Congo(2011-2013)』
日程|7月9日(木)~9月23日(水・祝) ※無休
時間|12:00~20:00
会場|エスパス ルイ・ヴィトン東京
東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7F
入場料|無料
エスパス ルイ・ヴィトン東京
Tel. 03-5766-1094
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