第40章 アメリカの隣国「カナダ」の見識
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2015年5月7日

第40章 アメリカの隣国「カナダ」の見識

第40章 アメリカの隣国「カナダ」の見識

――国家の意思決定は国民の意見がすべてである――

文=今 静行

イラクに一兵も派兵しないカナダの姿勢

カナダは陸続きのアメリカを隣国としています。ヒト、モノ、おカネなど、政治・経済・文化などあらゆる面で古くからアメリカと協力関係を築いている国です。カナダの対米関係は、このような地理的な環境もあって、とりわけ貿易面では両国間で特別な取り決めをし、緊密を深めています。意外に思うかもしれませんが、そのカナダは泥沼化に喘いでいるアメリカのイラク戦争に対して、一兵も派兵していないのです。
たまたま長い歴史のあるアジア調査会(毎日新聞社)は、去る6月帝国ホテルに駐日カナダ大使ジョゼフ・キャロン氏を招いて「日本・カナダ関係のこれから」というテーマで講演会を開きました。当然、イラク戦争についての質疑も出ました。

隣国アメリカに対するカナダの姿勢

出席した私(筆者)は“カナダはアメリカと大変親密な関係にあるが、イラクには一兵を送り出していない。そのことでアメリカとギクシャクすることはないか”と率直に質問しました。ジョゼフ・キャロン駐日大使は、“カナダの対米関係は、対日関係に比べても確かに緊密です。地理的な環境もあり、経済的にもより強力なカタチで統合されている”と述べながら、次のことを続けました。“そのような強力な関係を築かれているが、おのずと見解の違いといったものがある。それぞれが民主国家である。国家の意思決定は国民の意見を反映させる形でなされる…”と毅然として答えてくれました。
日米関係にも触れ、“日本は、日米関係を考慮した上で決定を下す場合もあるかもしれませんが、その影響度は日本とカナダでは違うと思う。最終的には民主国家として自分たちの義務を果たすこと、そして国民の意思を反映することが必要である”と言い切っていました。日本はアメリカに対し、当然のことをなかなかストレートに言い出さないのが実情です。大使のいう、民主国家を改めて知ることの大切さを痛感します。

日本・カナダは良好関係に結ばれている

この機会にカナダについてエッセンスの部分を紹介しておきましょう。国土面積は日本の約26倍もあるアメリカよりも広く、約1000万平方キロメートル。参考までにあげておくと、アメリカは約963万平方キロメートル、日本はわずか37万8000平方キロメートル。人口は、アメリカが3億人に対し、カナダは3200万人にすぎない。ジョゼフ・キャロン駐日カナダ大使が示した具体的な数字によりますと、日本の食品の6%はカナダから輸入。日本で使われているエネルギーの10%はカナダ産ウランを原料として生産されています。また、日本の新築個人住宅の30%はカナダ産木材を使用。興味深いのは、日本留学生の約1割がカナダに留学しているそうです。
各国の農作物の生産を見てもカナダはアメリカ、中国などと共に、世界の上位を占めております。食糧、エネルギーを含めて日本とカナダの関係は高まるばかりです。このことは見落とせない重要事項です。カナダに関心を持ってほしいと思います。

           
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