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2015年5月7日

第1章 “異質な国アメリカ”を改めて知る(第2回)

第1章 “異質な国アメリカ”を改めて知る(第2回)

文=今 静行

─政治が経済をダイレクトに動かす国─

アメリカを論ずる場合、大統領がどれほどの決定権を持っているのかを抜きにしては語れません。政治、経済、外交、軍事、社会保障などすべてについて、大統領は決定的なかかわりをもっています。
小泉純一郎前首相は「政治と経済は別なもの」と声高に述べましたが、そのような見方自体がある意味では日本的な間違った見方にすぎないのです。

政府の長である大統領の決定が、政治はいうに及ばず、経済、社会生活などにどれほど影響を与えるかは、たとえば歴代大統領の政策によって、アメリカ経済の成長が著しく左右されてきたことからも容易にうかがえます。
日本のように議院内閣制の国で、しかも自民党による一党政治が戦後長く続いている日本人にはなかなか理解しにくいことです。だからこそアメリカの「大統領君主制」ともいうべき政治システムをしっかり知っておくことが大切になります。

それでは本論に入りましょう。
なぜアメリカの大統領は経済政策を含め、アメリカの命運を託すほどの“実験”ができるのかという点です。その答えは、政治システムのなかにあります。

(1)なぜ、アメリカの大統領の任期は2期限りなのか(1期の任期は4年。3選禁止)
(2)なぜ、アメリカの閣僚は議席をもたない(現職議員は大臣になれない)ように規定されてるのか
(3)なぜ、アメリカの政党には党首がいないのか

この3つの素朴な疑問は、アメリカの政治、経済を知るうえで大きな意味を持つと考えられます。
それでは、これら3つの疑問とアメリカ経済の関係について次回掘り下げてみましょう。

(続く)

           
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