第24回 アントワン・ダガタ写真展『SITUATION』インタビュー(1)
第24回 アントワン・ダガタ 写真展『SITUATION』インタビュー(その1)
予告編でお伝えしたとおり今回からは、現在ラットホールギャラリーで個展『SITUASION』を開催中のアントワン・ダガタ氏へのインタビューの模様をお伝えします。(北村信彦)
Photo by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)
テーマがあるとすれば、それは私自身の人生
──まず、今回の写真展に発表された作品は、いつ頃撮られたものなんですか?
ダガタ 1990年以降、つまり私が30歳で写真を撮りはじめてからすべての時期の作品ということです。いちばん新しい作品には、ことし撮影されたものも含まれています。
──今回のセレクトに対するテーマは、どういうものだったのでしょう
ダガタ 基本的に私の写真展には、いつもテーマがありません。唯一あるとすれば私自身の人生です。ですが、今回見せ方としては、手前の壁には大きく見せるための絵画的作品を、真ん中の壁にはたくさんの小さな写真をぎっしりと、奥の壁には順番に見せることに主眼を置いた作品を、という具合に考えました。手前から順に、絵画→写真→ムービーといったニュアンスの流れを意識したといってもいいでしょう。
──セレクト作業はいつ頃からだったんですか?
ダガタ いちばんはじめのミーティングはもう1年以上前ですね。その後、北村さんや綿谷さんとメールなどでやり取りをして決定していきました。
北村 去年の10月、森山大道さんの個展をここでやったとき、ダガタさんも東京にいてエキシビションに来てくれたのが最初の出会いでした。そして翌週にはもう、個展をやろうって話になっていましたね。それから一年間、世界中を旅する彼とコンタクトをとりながら、彼が東京にいるときにはお会いして、具体的に話を詰めていったんです。でもミーティングをしたのは1回だけで、あとは会うたびにずっと飲んでましたね(笑)。
ダガタ 大きな決定とは、いつもそうやってなされるのです(笑)。でも冗談抜きで、この会場で個展をやれることは光栄なことだと思っています。これまでの顔ぶれをみても、素晴らしい人ばかりですから。
写真は、私が私でいられるためのいい手段
──旅は写真をはじめる前からなさってたんですか?
ダガタ そうです。写真をはじめるより10年も前から旅を続けていました。そして写真を撮りはじめてからも、そのライフスタイルは変わりません。私は旅をとおして自分探しをしています。写真のなかにも自分自身を探していますが、その答をみつけるのはなかなか難しいですね。
北村 いや、写真からじゅうぶん滲み出ていますよ。
──ダガタさんが写真をはじめるきっかけはなんだったんですか?
ダガタ 写真家の友人がエイズにかかり、一緒に人生最後の旅に出ようということでメキシコに行ったんです。そこで彼が私に写真を撮らせてくれたことが写真家になるきっかけでした。だから私にとって写真は、そのときから命そのものになったんです。そして、撮りはじめてみてから気づいたこともありました。それはこの仕事が私にとって、自分でいられるためのとてもいい手段だということです。
アントワン・ダガタ 写真展『SITUATION』
日程|2月1日(金)まで開催中
時間|12:00~20:00(月曜定休)
場所|RAT HOLE GALLERY
住所|港区南青山5-5-3
HYSTERIC GLAMOUR 青山店B1F
電話|03-6419-3581