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2015年5月7日
第18章 アメリカの有色人種(少数派)、1億人を突破
第18章 アメリカの有色人種(少数派)、1億人を突破
文=今 静行
黒人を上まわったヒスパニック系
アメリカ国勢調査局は、2007年5月、白人でない少数派(黒人、ヒスパニック系、アラブ系など)が、はじめて1億人を突破したと正式発表しました。
たいへん、関心のもたれる数字です。アメリカの総人口3億人の3分の1が、いわゆる白人以外の少数派で占められたのです。その内容をみると、スペイン語を母国語とするヒスパニック系移民が4430万人に達しました。しかも年間増加率も3.4%とぐんを抜く高さ。さらに急速に増え続けていくことでしょう。
興味深いのは、総人口に占めるヒスパニック系の比率は14.8%で、それに次ぐのが黒人の13.4%(4020万人)だということ。第3位はグンと低くアジア系(1490万人)の5.0%です。
参考までにあげておきますと、白人人口は1億9800万人、総人口の66.4%でした。
アメリカ最大の内政課題
好むと好まざるとにかかわらず、少数派(マイノリティ)がアメリカの主流になることははっきりしています。
現在、将来にわたるアメリカの移民問題(不法移民を含めて)が最大の内政課題になってきています。ホワイトハウスや議会は、新しい移民改革法に取り組んでいます。不法移民は推定約1200万人いるといいますが、これだけの人数になると、不法移民の流入防止のため国境警備を強化しても限界があります。このためアメリカ政府は、不法移民にもビザ(査証)を発行し、法的地位をあたえる道を開いています。
一方で、徹底的に規制強化を求める声が議会内部や国民の間にも根強く、アメリカ政府も頭を痛めているというのが現状です。まさに最大の内政課題です。
日本では、想像もできない悩みです。アメリカを論ずる場合、このあたりのことをよく念頭におく必要があるでしょう。