ART│日本初公開「モニカ・ボンヴィチーニ」展がラットホールギャラリーで開催
多様な表現を試みながら表象のあいだにある関係を暴く
日本初公開の「モニカ・ボンヴィチーニ」展
ベルリンを拠点に制作するイタリア人アーティスト、モニカ・ボンヴィチーニの立体作品とドローイングによる日本初の展覧会が11月2日(金)から2013年2月3日(日)まで南青山のラットホールギャラリーで開催される。
Text by YANAKA Tomomi
立体やインスタレーション、平面など表現にとらわれない作品を展示
1965年にイタリア・ヴェネツィアで生まれ、慣習や社会的なものの潜在的な意味に注目し、空間や権力、そしてジェンダーの関係を探求する作家として知られるモニカ・ボンヴィチーニ。1999年のヴェネツィアビエンナーレで金獅子賞を受賞したほか、今年は巨大な野外彫刻「RUN」がロンドンオリンピックのコミッションワークとして、オリンピックパークに恒久的に展示されるなど、世界的にも注目を集めるアーティストのひとりだ。
その作品形態も立体、インスタレーション、写真やビデオ、紙作品とさまざまなカタチで展開。そして対極にある素材をもちいることも特徴で、たとえば、鉄やガラスといった伝統的に「雄々しい」とされるモダニズム建築を参照した工業材と同時に、革や鎖、ゴムといった性的フェティシズムを想起させるものと結びつけるなど、彼女の作品は私たちを取り囲む建築がもつ力構造や性的誘惑と対峙していることを指し示している。
今回の作品展では、SMカルチャーを暗示する皮ひもやハーネスで吊るされた鉄製の足場に巨大なガラスミラーが固定されたサイトスペシフィックなインスタレーション「Straps and Mirror」をメインスペースで展示。このほかにも黒革でぴたりと包まれた工具が台座に乗せられた立体作品「Leather Tools」や、ラジオペンチのカタチをした刺しゅうが赤い糸で紙に縫い付けられた「NeedleKnows」、「Off the Grid」シリーズのなかから黒のテンペラで描かれたドローイングなど表現にとらわれない作品を発表する。
対極にあるものをもちい、多様な表現を試みながら、労働や性、政治、社会表象の間に築かれる関係を暴く彼女の作品。間近に見て、その内包するものを感じたい。
モニカ・ボンヴィチーニ展
会期│11月2日(金)~2013年2月3日(日)※12月29日~1月7日は冬季休み
時間│12:00~20:00
定休日│月曜日
会場│RAT HOLE GALLERY
東京都港区南青山5-5-3 B1
Tel.03-6419-3581