萩原輝美 連載 vol.121|2015-16秋冬ミラノコレクション「ボッテガ・ヴェネタ」「プラダ」「グッチ」
2015-16秋冬ミラノコレクション「ボッテガ・ヴェネタ」「プラダ」「グッチ」
肩肘はらずに、シーズン超えて広がるエフォートレスウーマン
ロンドンに続いてミラノコレクションでも、パターン、カラー、テクスチャーのミックスが目立ちます。リアルモードにひと手間の技を加えクチュール風デザインが増える一方で、コーディネイトの巾をぐっと広げるリアルアイテムもたくさん登場、着易くなったセブンティーズが新鮮です。
Text by HAGIWARA Terumi
ドットを重ねたボッテガ・ヴェネタのリアルスタイル
2015-16秋冬プレタポルテコレクション。ミラノからです。モダンエレガンスを謳うボッテガ・ヴェネタがリアルなコレクションを発表しました。ドット・オン・ドット。見慣れた柄ですがプリントやフロッキー、ルーレックスニットまでいろいろなテクスチャーにドットをのせて組み合わせます。ボータイブラウスに緩いパンツ、ニットベストを重ね、2センチヒールの靴でまとめます。シルクは皺をつけてヴィンテージ感を出しています。ひと手間手を加えて着慣れたスタイルにしています。ドットのパンツスーツも新鮮ですが、レースを重ね刺しゅうを加えた職人技のドレスはまさにモダンクチュールです。
優しげなプラダのスウィートフェミニン
プラダはパステルカラーのスウィートなフェミニンスタイルです。ペールピンクにブルー、イエロー、アクアグリーン…優しいカラーミックスです。ボンディングのようなダブルジャージーのパンツスーツにふっくらシルエットのドレスにはファーやビジューなど手技のディテールが加わります。ボストンバッグの中から配色バッグが覗くインサイドバッグがカラーミックスを際立たせます。40年代風な花モチーフのブローチや髪飾りがキッチュです。
アレッサンドロ・ミッケーレによる新生グッチ
グッチはクリエイティブ・ディレクター、アレッサンドロ・ミッケーレのデビューコレクションとなりました。セクシーなイメージは消えて、ノスタルジックでイノセントな印象です。男性モデルにウイメンズを着せ、クロスジェンダーを演出します。70年代風プリントドレスにボータイブラウス、ミリタリー風ジャケットにくるぶし丈パンツといった懐かしいスタイルです。デザイナーの透き通った意思を感じさせてくれるコレクションでした。ファーのモコモコサンダルが楽しく、モダンなスタイリングに仕上げています。
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/