POGGY’S FILTER|vol.13 READYMADE 細川雄太さん(前編)
FASHION / MEN
2020年1月21日

POGGY’S FILTER|vol.13 READYMADE 細川雄太さん(前編)

一気に海外の人脈の広がった<POGGY'S WORLD>への出展

POGGY ミリタリーも年代によって、生地が薄いとか厚いとかあったりするじゃないですか。そういう生地を選ぶ上でのこだわりはなんですか?

細川 僕の中で好きなのが50年代、60年代ぐらいのコットン素材で。80年代くらいから化学繊維が入ってくるんですけど、化学繊維が入ると臭いもすごくて、全然使えないんですよ。やっぱり昔のものってすごいなって思います。だから、大体50年代とか60年代、あとは40年代の第二次世界大戦が終わったぐらいのものをずっと使っていますね。

POGGY そういうリメイクって、古着屋さんで働いている人とかは思い付いたりするビジネスでもあるじゃないですか。多分、買いやすい価格帯のリメイクっていうのが、古着をやっている人の頭の中にあると思うんですけど。それが、ラグジュアリーアイテムに生まれ変わっていったっていうのが、僕はすごいなと思っていて。

細川 そうしようと思ってやったわけではないんですけど、リメイクのアイテムってたくさんあるじゃないですか。でも、僕の中では、あんまり格好良くないというか。もともとあったものより、一段下がったものが出来ているって思っていて。逆のことが出来ないかな?って。例えばリメイクで鞄から新たに別の鞄を作るならば、もっと良い鞄になっている。そういう感じでやり始めたんですよね。

POGGY 「アップサイクル」っていう言葉もREADYMADEあたりから使われ出したんですかね?

細川 それはBuscemi(ブシュミ)に会った時に言われた言葉ですね。「READYMADEがやっているのは、ラグジュアリー・アップサイクルだ」って。
POGGY なるほど。話を戻して、僕が2014年にお会いした時に、一緒に食事に行って、その時にいろいろと話をしたんですよね。それで、UNITED ARROWS & SONS(ユナイテッド・アローズ&サンズ)のリニューアルの時に、READYMADEにも参加していただいて。

尾田 POGGYさんに「この素材でモッズコートを作ったらどうですか?」って言われて。今まで、READYMADEでモッズコートを作ったことがなかったんですけど、細川も「実は僕もそう思ってたんです」って。それでヴィンテージのワッペンをブワーって腕に付けて、オープニングに1着だけ間に合わせて。検品もしないで(笑)。

POGGY そうでしたね(笑)。

細川 そしたら、すぐに売れたんですよね。

尾田 2秒で売れてしまって、店頭に飾れなかった。

POGGY その翌年に、ラスベガスのリバティ・フェアーズで自分がキュレーションする<POGGY'S WORLD>っていうのをやるので「出展してもらえませんか?」っていう話をして。

POGGY LAは何度か行ったことがあったんですけど、ベガスはあの時に初めて行きました。

尾田 今思うと、あの時はすごかったですね。いろいろとやりたかったこともやって。鞄の種類を増やしたり、ぬいぐるみを一点物で作ったり、ジャケットも作って持っていったり。LAの人たちとか、僕たちはまだ誰も知らない頃だったんで。けど、POGGYさんの名前でいろんな人が来てくれました。現地で友達も出来て、いろんな人たちと連絡を取り合うようになって。あれは結構大きかったですね。

細川 しかもタイミングも良かったと思うんですよね。
POGGY 今だとみんな、パリに行っちゃってますけど。まだラスベガスのトレードショーがギリギリ元気のある時でした。

尾田 あの頃は日本人もいっぱい来ていて。でも日本人のオファーは全て断ったんで、未だに根に持っている人はいると思いますよ(笑)。

POGGY その年(2015年)に、クロム・ハーツとのコラボもやりましたよね?

細川 あれはマイアミの『Art Basel』(アート・バーゼル)に合わせてやったやつですね。

尾田 さっきのPOGGYさんがREADYMADEのジャケットを着ている写真をアルケミストのロマが見てから、その一年後にロマがクロム・ハーツとコラボをやらせてくれたんですよ。

POGGY なんでロマはクロム・ハーツにコラボの話をしたんでしょうかね?

細川 「好きなブランドって何?」って聞かれることってあるじゃないですか。そういう時に僕が言ってたんでしょうね。

POGGY たしかに、ずっと「クロム・ハーツ」って言ってましたよね。
細川 それを聞いて、ロマがRichard Stark(リチャード・スターク、クロム・ハーツ創設者)と話した時に、「そういえば、こういう日本人がいるよ」って話してくれたみたいで。僕も正式なオファーじゃないですけど、「一緒にやりたい」みたいなことを言ってたから、そういう話になったんです。

尾田 ロマがリチャードに会いにLAに行く時に「サンプルを3、4点貸してくれ」って言われたんで、送ったんですよ。それを見たリチャードが「これ持って帰っていいか?」って言ったらしくて。ロマ曰く、「リチャードがサンプルを家に持って帰りたいって言うなんて、初めて聞いた」って。「これ、もしかしたらイケるよ」って。それで、リチャードが持って帰ったサンプルのMA-1のジャケットを見た娘のジェシーが「これ、私のものにしたい!」って言い出した。

POGGY それでREADYMADEのMA-1を「ジェシー・ジャケット」って呼ぶようになったんですね。

尾田 そう。それで、クロム・ハーツからも「やろう」って正式に返事がきたんですよ。

POGGY そういえば、ロマがリチャードにREADYMADEのインスタを見せて、その時はフォロワー数が1500人くらいで。そしたら、リチャードが「これぐらいがちょうど良い」って言ったそうですね。

尾田 これ以上でも、これ以下でもダメだって。みんなが知っているわけじゃないけど、今伸びてきている、みたいなところが良い。だから、そこが気に入ったっていうのは聞きましたね。それが1万人のフォロワーだったらやらなかったって。

POGGY リチャードのそういう姿勢は本当に格好良いですよね。

尾田 ​それから「ジェシーがあんなに物を欲しがったのを久しぶりに見た」って言っていたのですが、それも大きかったと思いますね。あと、あの時はヴァージルとも一緒にやりましたね。

細川 クロム・ハーツとオフ・ホワイトとのトリプリネームの鞄を作りました。

尾田 ヴァージルとクロム・ハーツが一緒にやるようになったのも、あの時が最初でしたからね。READYMADEの鞄に、メタルパーツが全部クロム・ハーツになっていて。それにヴァージルが近所のホームセンターで買ってきたペンキを使ってライブペイントをして。

細川 ヴァージルが鞄にストライプを描いて。あの鞄も速攻で完売しましたね。
後編へ続く
20 件
                      
Photo Gallery