中田英寿のジョンロブ“ビスポーク”がついに完成(3)|JOHN LOBB
FASHION / MEN
2015年6月15日

中田英寿のジョンロブ“ビスポーク”がついに完成(3)|JOHN LOBB

JOHN LOBB|ジョンロブ

中田英寿のジョンロブ“ビスポーク”がついに完成(3)

フランソワが注文した「祇園ない藤」の装履(草履)がお披露目

パリでのビスポークのトライオン(仮縫い)を終えて、マスターラストメーカーのフランソワ・マドニーニ氏の仕事を間近で見た中田英寿さんが、「フランソワをぜひ連れて行きたい」と選んだのが、京都を代表する老舗履きもの匠「祇園ない藤」。世界最高峰の紳士靴をつくる職人と美しい草履をつくる職人が中田さんの紹介で昨年の夏に出会った。中田さんのビスポークのローファーが本人に渡った日、奇しくもフランソワがオーダーした草履も完成。「まさか自分の人生のなかで、ジョンロブの店内で草履をフィッティングすることができるとは」と笑う内藤誠治さんからフランソワに“ビスポークの草履”が手渡された。

中田英寿のジョンロブ“ビスポーク”がついに完成(2)

Photographs by JAMANDFIXText by KAJII Makoto (OPENERS)

まず「祇園ない藤」オリジナルフィッティングで試し履き

「フランソワの仕事も、内藤さんの仕事も、それぞれ何を大切に仕事をしているのかが伝わってくる」という中田さんが仲介して実現した日仏職人の出会い。

完成した草履を手にジョンロブ丸の内店を訪れた内藤誠治さんは、まずフランソワに、「日本の草履は縄文時代からある3点で支える、世界でもっともシンプルな履きもので、前後のバランスで履き心地がまったく変わります」と説明する。

「下駄も草履も履いたことがないというフランソワさんには、日本のモノとして、日本の文化を感じていただきたいので、最初は痛いかもしれませんが、オリジナルのセッティングをしています。でも、スリッパのように楽でリラックスして履きたいとのご希望なら、道具を持ってきているのですぐ調整します」と内藤さん。

オリジナルのセッティングとは、日本人の私たちが履くように、かかとを余す履き方をするもので、「着物を着たときに力が入る、いつでも動けるような履き方です」とつづける。

ジョンロブ|中田英寿

ジョンロブ|中田英寿

“指の力でつかんで歩く”のが草履の原理

「日本人も今は靴で暮らしているので、草履を履ける身体のひとと履けないひとがいます」と内藤さん。その違いは力の入れ方やバランスによるもので、草履のフィッティングで身体の動かし方が変わるという。

そして実際にフランソワに履いてもらうとやはり全体的にきついようで、その場で調整。「日本人でも草履を履けないひとは、指の力がないんです。指の力がなくて踏ん張れないので草履が履けない。普段から“指の力でつかんで歩く”という指を動かすのを意識してみてください」と内藤さん。女性なら、ふくらはぎを鍛えるとむくみが取れるそうだ。

ジョンロブ|中田英寿

ジョンロブ|中田英寿

国境を越えたふたりのマスターのコラボレーション

“国境を越えたふたりのマスターのコラボレーション”と中田さんが言う今回の草履は、「フランソワさんの花緒(鼻緒)はとても良いチョイスですね。秀吉や信長のように、本来は、男のほうが派手なもの。個人的にはとても日本らしいなと思います。草履のまわりは経年変化がきれいなうるしで、そういう点もフランソワには楽しんでほしいですね」

フランソワが草履を履くアドバイスを求めると、「水にはすごく弱いので、濡れたら、立てかけておいてください。アッパー(天革)の部分は竹で編んでいて、どこかにぶつけて破れてきても圧縮してあるので大丈夫です」と説明した。

互いに確かな腕をもった職人同士の再びの出会いは終始なごやかで、中田さんの職人に対する思いも確かに伝わってきた。

ジョンロブ|中田英寿

ジョンロブ|中田英寿

中田英寿のジョンロブ“ビスポーク”がついに完成(4)へつづく

履きもの匠「祇園ない藤」
畳表草履10万円~(オーダー価格)
京都市東山区祇園縄手四条下ル
Tel. 075-541-7110
営業時間|10:30~18:00 不定休
http://gion-naitou.com/

ジョン ロブ ジャパン
Tel. 03-6267-6010
http://www.johnlobb.com/jp

           
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