JOHN LOBB|クリエイティブディレクターを現地で直撃!(前編)
FASHION / MEN
2015年4月8日

JOHN LOBB|クリエイティブディレクターを現地で直撃!(前編)

JOHN LOBB|ジョンロブ

ジョンロブを率いるクリエイティブディレクター

アンドレス・ヘルナンデスが大いに語る(前編)

今回のジョンロブ現地取材では、「デザインの進化を止めないジョンロブを探る」というテーマをもって臨んだ。高級紳士既製靴というカテゴリーのなかで、多くのブランドが定番やロングセラーモデルに甘んじてしまうところを、ジョンロブはイヤーモデルや日本限定モデルをはじめ、春夏・秋冬コレクションでもつねに技術の粋を尽くしたデザインを、最高の革とともに提示する。その果敢な挑戦の中核にいるクリエイティブディレクターのアンドレス・ヘルナンデス氏に話を訊いた。

Text by KAJII Makoto (OPENERS)Photographs by ARAKI Ryuji

チャレンジのための製造ライン増設

英国靴産業の中心地として世界的にも名高いノーザンプトン。街の中心地のほどちかくにラグビー場があり、いかにも英国の田舎らしいレンガ造りの街並みがつづくオリバーストリートにジョンロブのファクトリーはある。“工場”をイメージしていくと、あまりに街並みに自然に溶け込んでいるので、ちょっと意表を突かれるが、この夏、ファクトリーストアや経理部門などを独立させ、製造ラインを増設させたという。

「この建物は、100年以上前に建てられたもので、今から27年前にジョンロブが使うようになりました。スタッフ誰もがこのビルに思い入れがあり、愛着をもっています」と説明するのは、ジョンロブの靴作りのすべてを監督するクリエイティブディレクターのアンドレス・ヘルナンデス氏。

「今回、製造ラインを増設したのは、お客さまの目が肥えて、本当に価値のある本物を求める声が大きくなったからです。増設したことによって私たちは次のレベルへ進むことができ、別のあたらしいチャレンジができるようになりました。おなじところに立ち止まっていたくないのです」

ジョンロブ|インタビュー 02

靴工場へ行ったことのあるひとは少ないと思うが、普通の靴工場は、革の匂いと接着剤臭がかなり強烈で、とにかく機械音がうるさい。そんな印象をもってジョンロブを訪ねると、これまた意表を突かれる。私たちを出迎えてくれた受付はオフィスそのものだし、ドア一枚向こうの製造ラインからは臭いも音も伝わってこない。

ジョンロブがジョンロブであるための4つの“P”

「この建物内の製造ラインは、3層に分かれています。今回の増設によって、各層の役割がより明確になりました」とヘルナンデス氏。「現在このビルにいる従業員は120人で、そのうち93人がクラフトマンです。アートピースを創作するために最高の環境が必要なように、私たちは例外的な普通ではない美しい靴を作り出すために、良い環境が必要でした。それがこの靜かで清潔な工場です」

なぜノーザンプトンに靴のファクトリーが多いのかを尋ねると、「もともとこの土地には牛市場があり、革加工に必要なNENE(ネーン)川のきれいな流水もありました。昔は流通手段がなかったので、地場産業的に靴の製造がはじまったのです」と教えてくれた。

ジョンロブ|インタビュー 05

ジョンロブ|インタビュー 07

ジョンロブというと、英国靴の代表格というイメージがあるが、「ジョンロブは4つの“P”に重きを置いて靴を作っています。それは、PLACE(場所)、PEOPLE(ひと)、PROCESS(過程)、そしてPERSONALITY(個性)です」とへルナンデス氏は言う。その存在感と個性はつねにインターナショナルである、と。

「たとえば靴を作るクラフトマンが一人前になる期間を答えることは難しい。シューポリッシュなら2~3カ月でいいレベルにはなりますが、ミシンでステッチが縫えるようになるには、私で1年かかりました。でも、ジョンロブで働いている誇りは必要です。私たちは“この一足の靴は、持ち主にとって夢の一足であるかもしれない”という思いをつねにもっています。そして、夢を満たすのは私たちの願いであります」

ジョンロブ|インタビュー 08

さらにヘルナンデス氏はこうつづける。「スタッフによく言っていますが、良い靴作りは、“好きであること”が大事だと。一日8時間、9時間を使って靴を作っているわけですから、愛と情熱を靴に捧げることが大事なのです」

アンドレス・ヘルナンデスが大いに語る(後編)につづく

ジョン ロブ ジャパン
Tel. 03-6267-6010
http://www.johnlobb.com/jp

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