第4回 LEON島田明さんと語る(1)
Fashion
2015年5月11日

第4回 LEON島田明さんと語る(1)

nineSIXty 加藤博照

第4回 LEON島田明さんと語る

今回は、加藤博照さんの親しい友人のひとり、雑誌『LEON』編集長代理の島田 明さんにご登場ねがいました。
お二人の出会いやお仕事を通じての交流、現代のファッションとジュエリー観について、お話いただきたいと思います。

文=佐藤太志(グリンゴ)写真=鵜沢ケイ

遊びのなかで生まれた自然なつながり

――まずはお二人の出会いをお聞かせください。

島田 明 いちばんはじめは、クライミングだったかな。仕事を通じて仲良くなった、元ルイ・ヴィトンのディレクターの矢野伸孝くんとよく遊んでいて。彼はいろいろな友だちがいて、クライミングに誘われてたときにKato-pee(加藤さんの愛称)も一緒に来てたよね。

加藤博照 そうですね。はじめはとくにお仕事とかは、まったく関係なかったですよね。純粋に友だち同士のつながり。

島田 Kato-peeはもともとプロだったこともあって、クライミング上手だよね。いろいろ教えてもらってるうちに、仲良くなっていった……っていう気がするけどね。よく覚えてない(笑)。

加藤 そうですね。完全に遊びの仲間内でしたよね。それがだいたいいまから6、7年前のことだから、早いですよね(笑)。

島田 Kato-peeはその頃、もうすでにnine SIXtyを立ち上げていて、みんなで食事してるときとかにそんな話になり、「ジュエリーつくってるなら今度見せてよ」ってことに。こういう流れって多いですよね。はじめにビジネスありきっていうんじゃなくて、みんなで遊んでいるうちに自然に輪が広がっていくっていう。ファッションブランドでもこういうリンクの仕方はよくあって、それがコラボレーションアイテムみたいなカタチで結実することがありますよね。

加藤 ルシアン・ペラフィネとのコラボレーションも、仲間の輪のなかにいた、友人の遠藤慎治くんの紹介もありましたね。

島田 そうそう。当時ルシアンのディレクターだった遠藤くんがジュエリーをみて「面白い」ってことになり、そこからルシアンに見せて。マーケティングじゃなくて自然発生的につながっていくっていう。だからほんと友達に恵まれてるんだよな、Kato-peeは!

加藤 はい、ほんとにそのとおりです(笑)。

セッションが生むジュエリーの新しいカタチ

――加藤さんのジュエリーをはじめて見たときの印象を教えてください。

島田 ひとことで言うと、純粋に「欲しい」という感情が湧きましたね。僕は普段、そこまでたくさんジュエリーを付けているタイプではないんですけど、自然に、これはいいなと思って。

加藤 うれしいですね(笑)。

島田 それから何度となくオーダーしましたね。今日はいくつか持ってきました。

加藤 島田さんのオーダーはセッションというか、最終形を作り上げるまでにいろいろと新しいチャレンジを試めすことができたりして、ためになった部分も大きいです。ダメだしもされるし(笑)。

島田 はっきり言えば無理難題をふっかけているっていう(笑)。石をはめるタイプのレザーのリングをオーダーするときに、僕は小指に付けたかったんだけど、そのままだと石に厚みがありすぎて無骨でカッコ悪いなと思っていて。だから「石のフォルムをできるだけ薄くしてみて」って注文付けたら、Kato-peeは「これは無理ですよ」って。

加藤 ありましたね――(笑)。

島田 「絶対にできるから、宿題だと思ってやってみて」って強引に言ったりして(笑)。そうしたら、かなり良いものがあがってきた。先生と生徒まではいかないけど、常に課題やリクエストはするようにしていて、それが刺激になればいいなと。
職業上、ジュエリーを見る機会がたくさんあり、なにが良いのか、どこに本質があるのか、どういったものがいま求められているのかといった問題に敏感じゃなくちゃいけない。
そうやってジュエリーに触れていると、なんとなくわかってきますしね。僕が仕事を通じて得た感覚みたいなのをKato-peeに伝えて、彼が得意としている革や石、ジュエリーの部分で表現してもらえたらと。

加藤 いつもありがとうございます。島田さんとは家族ぐるみでお付き合いをさせていただいていて、昨年末には島田さんご夫妻と僕ら夫婦で一緒にニューヨーク旅行もさせてもらいました。

島田 そうそう。一緒に行って、いろんなお店を見て回ったり。僕が付き合いのあるセレクトショップにも連れて行って、nine SIXtyのサンプルを見せたりね。すごい食いつきよかったよね~。

加藤 みなさんがうちのお店で取り扱いたいって言ってくれて。

島田 そうそう。ほんと恵まれてるよ。愛されるキャラクターなんだろうな。ニューヨーク行ったときもショップの人にすぐ自分の作品あげちゃうし! どうかと思うけど 気前よすぎて(笑)。
きっと発注したいっていうメールとか来てるよね? でも、僕もそこまで君のディストリビューターできないので、ここから先の話は自分でやれと(笑)。

加藤 はい(笑)。がんばります。

PROFILE
島田 明さん(しまだ・あきら)

主婦と生活社「LEON」編集長代理。
アシェット婦人画報社「MEN‘S CLUB」・「GENTRY」を経て、
岸田一郎元編集長のもと「LEON」に参画。
ちなみに加藤博照さんの奥様の吉川あずささんとは旧知の仲で、
ふたりの仲人的存在。

[LEON]
URL■http://www.shufu.co.jp/magazine/leon/

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