連載・マシュー・ワォルドマン|Vol.23 「Casey Spooner氏にインタビュー」
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2015年3月12日

連載・マシュー・ワォルドマン|Vol.23 「Casey Spooner氏にインタビュー」

Vol.23 「Casey Spooner氏にインタビュー」(1)

こんにちは! 好評につき、またインタビューでの連載です。今回はアーティストのケーシー・スプーナー(Casey Spooner)に話を聞いてみました。

文=マシュー・ワォルドマン


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アートとエンターテイメントの境界線を軽々と超えて

Matthew まず、自己紹介をお願いします。

Casey ケーシー・スプーナーです。私はアーティストで、パフォーマーでもあります。もっともよく知られているプロジェクトとしては、友人であるウォーレン・フィッシャーとの「フィッシャースプーナー(Fisherspooner)」でしょうか。

このプロジェクトは、アートとエンターテイメントを組み合わせたものといえるでしょう。これをはじめたころは、僕たちは自分たちの活動を純粋にアートプロジェクトとして位置づけていたため、アートの世界のなかで限定しておこなっており、エンターテイメントの世界では、あくまで部外者として活動していました。

その後、エンターテイメントへの夢想や、憧れといった感情を、理想的な実像として投影することを考え、映像やデザイン、またインターネットや写真を組み込むことで、ショウビジネスの幻想を創ることをはじめました。そしてその幻想が現実となったのです。

Matthew アーティストから芸能人になった気分はどうでしたか?

Casey 僕は意図的なものと、偶然のものとが混ざり合わさることで産み出される混沌を愛しています。この種の混沌は、以前、実験的な劇場を主催していたころから自分がもっていた感覚ですし、「何が意図的なもので、何が偶然の産物であるか?」という混沌を産み出すことによって、それらを分かつ、眼の前にある認識の壁を砕けば、すべてはある意味においては、現実として信じられるようになるものなのです。

Matthew もっとも好きなことは何ですか?

Casey 観客との関係が一番です。僕は自身の作品を、突然可視化できることで、より大きな対話に
引き込むことが好きで、エンターテイメントに対しての批評として製作した映像が、突然、エンターテイメントそのものに抽象化されてしまうのです。

そもそも僕にとっては、アンディ・ウォーホール以後の作品の形をつくりたかったことが大きくて、ポップアートに対する批評をくわえるアーティストになりたかったわけではありませんでした。けれども、それはつまりポップアートの領域から外れることでもありました。ポップアートから取り出した物事を、アートとして賛美すること。僕はファインアートから学んだすべてを取り出し、それらをポップアートの文脈に注ぎ込む方法を見つけたかったのです。

Vol.23 「Casey Spooner氏にインタビュー」(2)

ケーシー・スプーナーが追い求めるものとは?

Matthew あなたの活動に対するインスピレーションとモチベーションを教えてください。

Casey 僕にとってのインスピレーションはしばしば物事を組み合わせていくこと。それは僕がまとめなければならない、ただひとつの錬金術のようなものです。いくつものちがった視点をいくつかの魔法のようなレシピで組み合わせていくことともいえるでしょう。モチベーションはより状況に左右されるためにインスピレーションとは異なるものだと思います。

インスピレーションとは、僕にかんしては、より直感的に描かれる、異なるテーマを変形させていくことで、自分のプロジェクトの最終形がどのようにアウトプットされるかということ。そしてモチベーションとは、より僕の内側の欲求と、外側の欲求の、両方を満たすための組み合わせに近いと考えています。

基本的にすべては創作における関係性ではありますが、僕は、外に向かうことで、共作をおこなうほかのアーティストと相互的な関係性を探り、そして見い出すことで、僕の内的な思考や直感がどのようなもので、そして僕自身における水準とどのように繋がっているかを確認することです。つまり、そのことによって僕たちは、すべて似たような対話のなかにいることを意味します。そして究極的にはその対話がより多くの聴衆へと繋がっていくこととなるのです。

Matthew あなたはどんな音楽を聴いてきたのですか?

Casey DJ Tariqのミックスや、Kim Am Foxman、そしてHerculesの歌による「Creature」のリミックスを聴いてきました。また、Azarianの3枚目のアルバムが大好きです。

Matthew 現時点で、誰があなたにとってのスタイルアイコンですか?

Casey 僕が、いますべてのスタイルアイコンに飽きていて、それはブランディングという観点から、極めて商業的であるからです。僕が思う世界でもっともスタイリッシュなひとりは、SOHOにいるひとりのホームレスなのですが、僕は彼が大好きです。

そして僕が思うもうひとりは、大変驚くべきことにDaphne Guiness(ダフネ・ギネス)なのですが、彼女は信じられないくらいの存在だと思います。と同時に、彼女を長編映画でとりあげる準備がすでにできています。彼女はそれをイメージする必要がありますね……。

関連リンク
http://caseyspooner.com/
http://www.fischerspooner.com/

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