第7回 ウォルト・ディズニーとアンカーホッキング
第7回
ウォルト・ディズニーとアンカーホッキング
文=金澤アリアードナPhoto by Jamandfix構成=竹石安宏(シティライツ)
ディズニーとの幻のコラボレーション
今回ご紹介するのは私の永遠のプリンセス、白雪姫です。
思い浮かべるのは原作であるグリム童話のプリンセスではなく、やはりディズニーのアニメーションでみた、あのいきいきと輝く姿。女の子なら、誰もが一度は憧れたのではないでしょうか? 私もそのひとりでした。はじめて買ってもらった時計も、赤いバンドの白雪姫のものだったことを憶えています。
『白雪姫』は1937年に公開された、世界初の長編アニメーションでした。それはウォルト・ディズニーが全財産をつぎ込み、勝負に出た作品ともいわれています。人の動きをいちから勉強するため、独自の学校までつくってアニメーターの再教育をしたという徹底ぶりに、作品への強い情熱を感じます。1939年にはアカデミー特別賞でおなじみのオスカー像とともに、小人になぞらえた小さな7体のオスカー像も贈られました。とてもチャーミングなエピソードです。
そんなディズニーからアンカーホッキング社が製作を依頼されたこのヴィトロック製のキッズ用ボウルは、'50年代初頭に『白雪姫』が再公開された時期にあわせて販売されました。ちなみにこのボウルのためだけに制作された金型は、4年後にはスクラップされてしまったそうです。劇中で使われているフォントで、ボウルに描かれている“Walt Disney's Snow White and the Seven Dwarfs”というタイトルには、ディズニーファンでなくても心を奪われるのではないでしょうか。
かつて子供だった、大人ならではの楽しみ
またこれと同時期には、おなじくアンカーホッキンググラスからタンブラーシリーズも発売されました。Snow white、Doc、Grumpy、Happy、Bashful、Sneezy、Sleepy、Dopeyという白雪姫と七人の小人8種類が存在し、すべてコンプリートしたくなる気持ちをかきたてるコレクターズアイテムです。
“Snow White”のタンブラーには“Over the seven jeweled hills, Beyond the seventh fall, In the cottage of the seven dwarfs, Dwells SNOW WHITE, Fairest one of all !!”と書かれています。これは「七つの宝石の丘を越え、七つの滝の先向こう、七人の小人の小家屋に、こともあろうか住んでいる、美しい白雪姫!!」といった意味。小人たちも一点一点異なる文章で紹介されています。
ウォルト・ディズニーは生前、「誰もが昔、子供だった」という言葉を遺しています。そんなことを思いつつ、このタンブラーでお酒を飲むのも、大人になったいまの楽しみなのかも知れませんね。