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2019年12月20日
世界でも特別な一台──新型ベントレー フライングスパーに試乗｜Bentley
Bentley Flyingspur｜ベントレー フライングスパー
新型ベントレー フライングスパーに試乗
2019年6月に発表され、12月4日にジャパンプレミアされたばかりの新型ベントレー「フライングスパー」。3代目となり、新型「コンチネンタルGT」と同様の最新のプラットフォームが採用された同モデルにモナコで試乗した。
Text by KUSHIMA Tatsuya
ベンテイガの登場以降に大きく変わったベントレー
いま振り返ると、ベントレーはSUVの「ベンテイガ」以前と以降で大きく変わったと思う。それまでのベントレーの各モデルは、格式に準じたデザインとクラフトワーク、それとエンジンパワーを中心としたクルマづくりがなされていた。もちろん、それはマーケティング的にズバリ的中し、世界的にヒット。今日のベントレーの礎になったことは間違いない。
ただ、「コンチネンタルGT」のデビューが2004年だったことを鑑みれば、基本的な計画および設計は20年近く前の話となる。2世代目のモデル末期では古さを隠しきれなかったのは否めない。ベンテイガでは、そこに最新の電子デバイスとインターフェイスが加わった。同価格帯のライバルと見比べても見劣らない内容だ。
そして3世代目となる新型コンチネンタルGTは、あらゆるベクトルでクラスのトップランナーになったと思う。アルミ複合材を多用した軽量かつ高剛性の新開発プラットフォームをはじめ、デバイス系も最新版を搭載する。走りも磨かれたのは言わずもがなだ。
ここで紹介する「フライングスパー」は、その3世代目コンチネンタルGTをベースとする。簡潔に言ってしまえば、ホイールベースを130mmストレッチした4ドア版。こちらも3世代目ということからも分かるように、これまで通りのセオリーを踏襲する。
“雲の絨毯”的に優れた乗り心地
では、その出来栄えはどうなのか。メディア向け国際試乗会でテストドライブしてきたのでお伝えする。
試乗会場となったのは、ベントレーがよく似合うモナコ。しかも世界的にメジャーなホテル「オテル・ド・パリ」を起点としてのコースが設定された。前夜のプレゼンテーション、ディナー、バーでのひと時を含め、新型フライングスパーの世界観に包まれる。まさに、セレブ御用達クルマであることを体感させる演出だ。
特徴はこれまで以上に快適な乗り心地。何度もフライングスパーのステアリングを握ってきて不服はなかったが、新型は明らかにそれを上回る。言ってしまえば、“雲の絨毯”的乗り心地だ。
もちろん、それはフワフワしているということだけではない。路面のいい高速道路ではまさにスーッと滑るように走るが、街中で段差を乗り越えればキャビンは上下するし、音もする。
が、お尻に伝わる入力は常に優しく、すべて一発で処理され揺り返しはない。エアサスペンションが超ロングストロークのダンピングを仮想的に行っているのだろうか。目の情報から入り脳がイメージするよりも明らかに振動は小さい。
で、ありながらコーナリングではガッツリスポーティな動きをする。ベントレーがドライバーズカーブランドであることを認識させる瞬間だ。
4ドアサルーンであることを忘れさせる軽快なハンドリング
軽快なステアリングフィールに追従するボディは、このクルマが4ドアサルーンであることを忘れさせる一体感がある。特にタイトコーナーでは回頭性がいいのに驚いた。リアタイヤが操舵することで、小さい回転半径でクルッと向きを変えるのだ。この動きはちょっと感動である。
この時ドライブモードは “スポーティ”をセレクトしていたが、総合的に判断してベントレーが推奨する“Bマーク”をオススメする。高速では“コンフォート”も悪くないが、それらを自動的にコントロールする“Bマーク”が一番スムースで便利に思えたからだ。
冷静に考えても、開発陣が「これがベスト！」と思ってセッティングしているのだから満足いかないわけがない。何と言ってもベントレーマークがついているポジションである。
エンジンは6リッターW12ツインターボのTSI。最高出力は635ps、最大トルクは900Nm。最高速度333km/hも特別な領域である。このハイスペックユニットをスポーティにも優雅にも乗りこなせるのだから恐れ入る。今回のモナコでの走っているシーンを含め、世界でも特別な一台であることは間違いない。
新型フライングスパーのデリバリーは来年早々からヨーロッパなどでスタートする。日本上陸は春ごろになる予定。はたして日本のセレブリティの琴線に触れることはできるのか。個人的にも興味津々である。
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