フェラーリ、最新リミテッドエディション･スペシャルシリーズ「812コンペテツィオーネ」「812コンペテツィオーネA」を発表｜Ferrari

Ferrari 812 Competizione｜フェラーリ812コンペテツィオーネ

Ferrari 812 Competizione A｜フェラーリ812コンペテツィオーネA

812スーパーファストをベースとした2つの最新リミテッドエディション･スペシャルシリーズを発表

フェラーリは5月5日、最新リミテッドエディション･スペシャルシリーズの「フェラーリ812コンペテツィオーネ」と、そのタルガトップバージョンである「フェラーリ812コンペテツィオーネA」を発表した。

Text by HARA Akira

最高出力830cv、最高回転数9,500rpmのV12ユニットを搭載

812コンペテツィオーネと812コンペテツィオーネAは、V12エンジン搭載の812スーパーファストをベースとして動力性能を高めた限定生産モデル。ボディは全長4,696×全幅1,971×全高1,276mm。

フェラーリ、最新リミテッドエディション･スペシャルシリーズ「812コンペテツィオーネ」「812コンペテツィオーネA」を発表｜Ferrari

フェラーリ812コンペテツィオーネ

搭載するパワートレインは、最高出力830cv/9,250rpm、最大トルク692Nm/7,000rpmを発生する6.5リッターV12自然吸気エンジンで、スーパーファストに比べて30cvのパワーアップを果たしている。これについては、エンジンのコンロッドやピストン、クランクシャフト、バルブトレインなど、主要コンポーネントを再設計した結果とのこと。特にバルブトレインとシリンダーヘッドはF1での経験を生かして生まれた技術を採用したという。

また吸気システムも再設計。マニホールドとプレナムチャンバーをコンパクトにして経路の全長を短縮することで高回転域のパワーアップを図り、可変ジオメトリー吸気ダクトの採用によってレッドゾーンまで谷が存在しない回転の上昇が得られている。この結果、最高回転数は9,500rpmに達している。

フェラーリ812コンペテツィオーネ

排気システムではGPF（ガソリンパティキュレートフィルター）を導入して最新の排出基準に適合させるとともに、新型エグゾーストテールパイプの採用などにより、フェラーリV12モデルのオーナーが慣れ親しんだ、極めて高水準のエンジンサウンドを発生するという。また、進化したHELEシステムによりアイドリングストップ機能が備わった。

最高出力のアップに伴い、冷却システムも変更。シングルフロントエアインテークを採用することで、冷却エアの量を最大に増やすことができ、冷却効率が10％向上。オイル流量の増加についてはオイルタンクを再設計し、現行V12モデル中最も少ない量で対応できるようになった。

トランスミッションは7段デュアルクラッチギアボックスで、制御キャリブレーションによって変速時間を5%短縮した。

エアロダイナミクスも大幅に改良。フロントのシングルエアインテークにより開口部を最大限広げることで全体のパフォーマンスが向上。ブレーキの冷却では、SF90ストラダーレでデビューした新しいフロントエアロキャリパーを採用。スーパーファストに比べて作動温度が30度下がることで、長時間のサーキット走行でも安定した制動力とブレーキフィールが保証されている。

リア部分の特徴は、完全に閉鎖したリアスクリーンを採用して点で、812コンペテツィオーネでは突き出した3組のエレメントがボルテックスジェネレーターとして機能。リアスポイラーとディフューザーによるシステムの働きを強化している。

一方のオープントップのコンペテツィオーネAでは、ボルテックスジェネレータを排除した影響を埋め合わせるため、左右のフライングバットレスの間にブリッジエレメントを装着。高温の気流の列は、コックピットからそれてサイドボディにそって流れ、最終的のボディの後流に合流する設計になっている。

ビークルダイナミックス面では、独立四輪ステアリングを初採用したほか、サイドスリップコントロール（SSC）システムが7.0へ進化、さらに専用のミシュラン製カップ2Rタイヤを採用した。

重量面では、フロントバンパー、リアバンパー、リアスポイラー、エアインテークなどにカーボンファイバーを採用。チタン製コンロッドや軽量化したクランクシャフト、12Vリチウムイオンバッテリー、総カーボンファイバー製リムのホイール、チタン製スタッドなどの採用により、スーパーファストに比べて38kgの軽量化を果たした。

こうした改良により、812コンペテツィオーネの公称されたパフォーマンスは0-100km/hが2.85秒、0-200km/h加速が7.5秒、フィオラーノでのラップタイム1分20秒、最高速度340km/hとなっている。