シビック タイプRがマイナーチェンジで戦闘力アップ|Honda
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2020年3月2日

シビック タイプRがマイナーチェンジで戦闘力アップ|Honda

HONDA CIVIC TYPE R|ホンダ シビック タイプR

シビック タイプRがマイナーチェンジで戦闘力アップ

ホンダFF(前輪駆動)シリーズのトップモデルである「シビック タイプR」が3年ぶりにマイナーチェンジを受けた。冷却性能のアップ、ブレーキ性能の強化とフィーリング向上、サスペンションなど足回りの熟成が実施され、圧倒的な動力性能を持続的に発揮することができようになったという。走る、曲がる、止まるの全てが新たな次元に進化した新型は、日本では今年夏頃に発売される予定だ。

Text by HARA Akira

冷却性能、ブレーキ、サスペンションがアップデート

主な改良点は以下の通りとなる。まずサーキット性能については、フロントグリル開口面積を13パーセント拡大し、内部のラジエーターフィンピッチを現行の3.0mmから2.5mmへと変更することで、エンジン冷却性能が向上。この結果、ハードな走行中でも最高水温は約10℃下がったという。
また、ブレーキ構造を1ピースから2ピースフローティングディスクに変更することで、高速域(240km/h)からの熱変位が減少。空力面ではフロントスポイラーの形状を変更し剛性を上げたことで、連続走行時の安定性とフィーリングが向上している。
足回りについては、アダプティブダンパーシステム制御やサスペンションブッシュ、ボールジョイントに至るまでアップデートを行い、コーナー通過時の一連のハンドリング性能をアップさせるとともに、荒れた路面での接地性や制振性がさらに向上したという。
インテリアでは、ステアリングホイールをホンダ初のフルアルカンターラ表皮とし、裏地の2枚巻きによって外径を維持しつつ、握りの質感とフィット感を改良。
また、6段MTのシフトノブ形状を、‘07タイプ Rから10年以上使われ続けた丸型からティアドロップ型に変更。ノブの傾きが認識しやすくなるとともに、ノブ内部に90gのカウンターウェイトを埋め込むことでトランスミッション側の操作荷重とノブ側の慣性重量バランスを最適化。ドライバーとTYPE Rの一体感が高まる快適なシフトフィールが味わえるという。
ホンダ商品ブランド部商品企画課の齋藤文昭氏は、マイナーチェンジを受けた新型タイプについて、下記のように語った。
「2017年にデビューした現行シビック タイプ Rは、“操る喜び”を妥協なく追求したモデル。実際にドライブしたユーザーからは『これは本物だ!』『久々にホンダらしい商品が出た』と評価されました。
当初は価格やデザインについてさまざまな声がありましたが、結果として計画の2倍となる年間3,000台が販売されました。タイプRブランドはホンダレーシングスピリットの象徴であり、どうしたら1段上回ったクルマを提供して喜んでいただけるのかをデビュー後もシビックチーム全体で考え続け、進化を止めない開発を行ってきました。その思いが詰まっているのが今回のマイナーチェンジモデルです」
また、タイプR開発責任者の柿沼秀樹氏は、「タイプRは、1990年にデビューしたNSXをベースにさらにスポーツスピリットを際立たせたモデルがほしいという研究所内のエンジニアの強い思いを結集し、1992年に『NSX タイプR』 として初めて誕生しました。」と、タイプRの歴史を紹介。
その後95年にはFF量産車の常識を覆す圧倒的なハンドリング性能を表現した「インテグラ タイプR」、97年には世界のベーシックカーであるシビックベースの「シビック タイプR(初代)」が登場。それ以降、TYPE Rはホンダのスポーツブランドとして確固たる地位を築いてきた。
2017年に登場した現行シビック タイプR(FK8)は、圧倒的な速さと、かつてないグランドツアラーとしての資質を兼ね備えた異次元のタイプRを作ろうと考え、スポーツカーの枠を超えた“アルティメイトスポーツ”をコンセプトとして開発された。
柿沼氏は「モータースポーツの世界では、歩みを止めることは即、敗北を意味することをホンダは知っています。誕生から3年の月日を立ち止まらず、従来のマイナーチェンジでは不可侵の領域まで足を踏み入れ、新型タイプRは期待を超える進化を達成しています」とコメントした。

1,000台限定のリミテッドエディション登場

またこの日は、軽さとスポーツフィールをさらに研ぎ澄ませた世界限定約1,000台の「シビック タイプ R リミテッドエディション」も同時に登場。
さらなる高みを目指し、防音財の削ぎ落としでマイナス13kg、BBS社と共同開発した専用軽量鍛造ホイールによりマイナス10kg、合計23kg軽量化されたボディと、ミシュラン・パイロットスポーツCup2専用タイヤ、専用セッティングのダンパーシステムを装備。
外装は90年代のタイプRを彷彿するサンライトイエローⅡに塗られ、ブラックのルーフ、ドアミラーキャップ、ボンネットインテークカバー、販売先の各国名を刻んだシリアルナンバープレートを装着した。
専用鍛造ホイールを共同開発したBBSジャパン技術部の村上貴志部長は、「タイプRは本物のクルマ。単純に強度と重量を求める、ということだけでは終わらず、狙っているところに性能を落とし込むという点で、ホンダさんとは手探り状態で積み上げていきました。ホイールはクルマに装着してみてナンボですから、性能的に狙ったところが出る、出ないというのがあったのです」と語る。
会社(BBSジャパン)のある富山県から、栃木のホンダ研究所まで、あれほど足繁く通うとは思わなかったし、ここまで直接話し込んで開発したのは初めての経験だった、という。
ホンダ側のホイール担当である第11技術開発室開発戦略ブロックの竹内治研究員は、「最初はホンダのデザイン室で専用鍛造ホイールのイメージを3D化し、11.37kgの初期モデルを製作。それをベースにBBSさんが強度や性能の解析を行うと、デザインと実際に力がかかった時の形状にギャップがあり、NGという結果でした」と、開発の経緯を教えてくれた。
次に最軽量の10.56kgという中期モデルを制作し、独ニュルブルクリンクに持ち込んでテストを行うと、ドライバー役の柿沼氏(開発責任者)から、「これ以上切っていいのか、という感覚が感じ取り難い」というフィードバックがあり、現地でBBSと相談しながらスポーク部の肉盛りなどのチューニングを敢行。
そうして出来上がったのが、最終モデルである10.79kg仕様で、ニュルブルクリンクだけでなく、鈴鹿サーキットでも十分な性能を得ることができたのだという。その証として、FORGED/ BBSの文字がリム部に切削加工されている。
こうして完成したリミテッドエディションは、2020年秋の発売となり、国内では200台が限定販売される予定だ。17年にデビューしたシビック タイプ Rは、独ニュルブルクリンク北コースで7分43秒80という当時量産FFモデル最速のラップタイムを記録しているが、現在はライバルである「ルノー メガーヌR.S.トロフィーR」に奪われたまま。ホンダのお膝元である鈴鹿サーキットのタイムも同じくルノーの手にある状態だ。マイチェンタイプRは果たしていかなるタイムを記録するのだろうか。
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