マクラーレン流の“GT”とは?──マクラーレンGTに試乗して確かめた| McLaren Automotive
CAR / NEWS
2020年6月12日

マクラーレン流の“GT”とは?──マクラーレンGTに試乗して確かめた| McLaren Automotive

McLaren GT|マクラーレン GT

マクラーレンGTに試乗

マクラーレン・オートモーティブが“アルティメット” “スーパー”“スポーツ”に続く第四のカテゴリー“GT”の最初のモデルとして投入したマクラーレンGT。サーキットを本拠地とするスーパースポーツのみを手掛けてきた同社が初めてリリースしたGTとは、いかなるクルマなのか。モータージャーナリストの九島辰也氏が試乗した。

Text by KUSHIMA Tatsuya Photographs by McLaren Automotive

ゴルフバッグが積めるスーパーカー

マクラーレンの良さを伝えるのは難しい。もちろん、ブルース・マクラーレンやメルセデス・ベンツSLRマクラーレンといった人物やクルマがすぐ頭に浮かぶ人はそうではないが、それ以外の人には難題だ。
自社ブランドの市販モデルをつくってからそんなに年月が経っているわけでもなければ、価格の安い大衆車を売っているわけでもない。彼らが世に送り出すのは、レーシーな雰囲気で溢れるスーパーカー。コンペティターのような4ドアモデルやSUVはラインナップしていないのだ。
これにはしっかりと理由がある。市販車をつくるのはマクラーレン・オートモーティブ社だが、その礎はグループ会社マクラーレン・レーシングに他ならない。つまり、レースフィールドにおける技術開発のフィードバックとしての市販車づくりが根底にある。
言わずもがな、イタリアの跳ね馬フェラーリも同様のクルマづくりを貫いていた。かつて幾度かマラネッロのフェラーリ本社でボードメンバーに、「ディーゼルエンジンは開発しないのか?」、「4ドアサルーンの計画はないのか?」と質問したが、答えはいつも「ノー」。ただ、2015年にニューヨーク証券取引所に株式公開してからは、その辺はじわじわとグレー化しつつある気がしなくもない。
競合にも増して硬派一直線のマクラーレンだが、じつは彼らなりにカテゴリーを細分している。“アルティメット” “スーパー”“スポーツ”というのがそれだ。アルティメットはまさに文字通り究極の一台。「セナ」や「スピードテール」、それとかつての「P1(ピーワン)」というモデルが位置する。スーパーは「765LT」や「720S」他、スポーツは「600LT」や「570S」他といった具合だ。
ではここでスポットを当てる新型車マクラーレン「GT」はいったいどのカテゴリーに入るのか! と思っていたら、なんと新カテゴリーが追加された。その名はズバリ“GT”。このクルマのために増設されたようなモノである。
マクラーレンGTのGTたる所以はいくつかあるが、まず挙げられるのはカーゴスペースがあること。といってもいきなり両手で持つような段ボールが積める巨大なスペースが設けられたのではなく、リアのガラスハッチ床側が少し凹んでいる。で、これが意外と使えて、ゴルフバッグやそれほど長尺でなければスキー板も収まるそうだ。
確かにこの手のクルマでは助手席にゴルフバッグを積むことは可能だが、それ以外にしまう場所はない。着替えのバッグと両方で助手席がパンパンになるのが常だ。でもそれってあまりかっこいいモノじゃない。やはりゴルフバッグをリアに積んだ方がスマートである。しかもこのガラスハッチは電動だ。
また、走りに関しては“ACTIVE”スイッチを押さなければ、それほどアドレナリンを分泌することなく、落ち着いた走りができる。アクセルをはじめとする操作系のレスポンスがそれほどシビアではないので、ゴルフ場からの帰路にうってつけ。その日の自分のプレイを思い返しながらまったりしたドライブができる。
それじゃ“ACTIVE”スイッチはいつ押すのかと言えば、ゴルフ場へ向かう早朝。キビキビした走りが頭も身体も覚醒させてくれるはずだ。でもって、住宅地を離れて高速道路に入ったら、ドライブモードを“T(トラック)”にすることをオススメしよう。エキゾーストのフラップが開いて、クォーン!というレーシングサウンドが響き渡る。これヤバイっす。完全に覚醒モード突入。
エンジンは4リッターV8ツンターボで、パワーは620ps。最高速度は326km/hというからもう垂涎もの。スポーツの600LTが600ps、スーパーの720Sが720psだから、その間って感じだろうか。加速Gでシートに押し付けられる感覚がたまらない。
といったのが新型マクラーレンGTだが、このキャラクターをお分かり頂けただろうか。マクラーレンの良さをひとつのモデルの短評で伝えるのは難しいが、「ゴルフバッグ積めました!」といってSUVを作るのではなく、2シーターミッドシップを貫き通すのが彼ら流。この実直というか無骨さが、マクラーレンの魅力なんだよね。
問い合わせ先

マクラーレン・オートモーティブ
https://cars.mclaren.com/

                      
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