Mercedes-Benz SLS AMG|往年の名車、300SLの再来
Mercedes-Benz SLS AMG
往年の名車、300SLの再来
ダイムラーは、メルセデスベンツ「SLS AMG」の概要を発表した。
文=ジラフ
SLRマクラーレンの後継車という位置づけ
このモデルは、1954年に発表された300SLを現代の技術で甦らせたニューモデルで、すで生産終了が決定しているSLRマクラーレンの後継車となるフラッグシップスポーツとして誕生する。そのデザイン、メカニズムにいたるすべてをAMGが手がけているのが特徴。
搭載されるエンジンは「63AMG」にも採用される、6208ccのV8ユニット。これに電子制御スロットルやドライサンプ、マグネシウムインテークなど、さらに手がくわえられることで、最高出力は571ps/6800rpm、最大トルクは66.3kgm/4750rpmまで性能の向上がはかられている。また燃費は欧州複合モードでは7.7km/ℓを記録し、ユーロ5やLEV2、ULEVの排出ガス規制を満たす環境性能も併せもっているという。
エンジンは、低重心化のためフロントアクスル後方の低い位置に搭載され、フロントミッドシップレイアウトを採用。トランスミッションは4つのモードを備える、AMG開発のデュアルクラッチ7速2ペダルMTが用意される。
今までのメルセデスにはないデザイン
もちろん車重も抑えられている。オールアルミスペースフレーム構造を用い、ボディパネルにもアルミを多用することでトータル車重は1620kgを実現。ちなみにパワーウェイトレシオは2.84kg/psに達する。この性能によりもたらされた動力性能は、0-100km/hで加速3.8秒、最高速は315km/hを記録するという。
今回公開されたのはプロトタイプに擬装がほどこされたものだが、往年の名車300SLにも採用されたガルウイングが確認することができる。ボディサイズは、全長4650×全幅1950×全高1250mm、ホイールベース2700mmと、現行のSLよりもひとまわり大きなサイズとなるが、全高だけをとると65mm低い。またダイムラーからは「ヘッドライト、ボンネットの形状は今までのメルセデスにはないデザインを採用している」とのアナウンスンがあることから、まったく新しいテイストが与えられたスポーツモデルの誕生が期待される。
新型SLS AMGは、9月のフランクフルトモーターショーで正式発表が予定される。デリバリーは2010年春が見込まれ、その価格は約25万ドルと予想されている。
BRAND HISTORY
自動車の歴史をひもとくとき、その先駆者として辿りつくのがゴットリープ・ダイムラーとカーツ・ベンツというふたりのドイツ人だ。1885年から86年にかけて、このふたりがべつべつにガソリン自動車を生みだし、クルマ社会の礎を築いたことは、いまさら説明するまでもない。それぞれが興した自動車会社はライバルと目されていた時期もあったが、第一次世界大戦後の不況を乗り切るために手を結び、1926年に合併によってダイムラー・ベンツ社が設立されている。
製品に与えられるメルセデスの名は、ダイムラーの顧客であったエミール・イェリネックが、ドイツ国外での販売を引き受けるかわりに長女の名前をつけさせたのがはじまりで、1902年にはダイムラー社により商標登録されている。
こうして生まれた、メルセデス、そして、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は、その後もセーフティパッセンジャーセル、エアバッグ、ESP(エレクトリック・スタビリティ・プログラム)、ナイトビューといった最新技術を積極的に導入するなど、自動車発展の牽引役としてつねに時代の先頭を走りつづけているのだ。