ジャガーのSUVコンセプト「C-X17」を日本初披露|Jaguar
Jaguar C-X17|ジャガー C-X17
ジャガーのSUVコンセプト「C-X17」を日本初披露
6月17日、ジャガー ランドローバー ジャパンは、2013年のジュネーブモーターショーでデビューしたSUVコンセプト「C-X17」を日本ではじめて公開した。ラージサルーン「XJ」やスポーツモデル「Fタイプ」など、プレミアムカーを手掛けるジャガーブランド初のSUVはどのような方向性をしめすのか。来日したデザイン担当やブランドマネージャーの話をまじえ、小川フミオ氏が読み解く。
Text by OGAWA Fumio
活かされる姉妹ブランドのDNA
ジャガーが初めて手がけるSUV、「C-X17」が日本で公開された。同社がスポーツクロスオーバーと呼ぶモデルで、ジャガーのサルーンと共通する四角いグリルと、シャープな印象のヘッドランプ、大きなエアダムで構成されるフロントマスクが目を惹く。
C-X17は2013年のフランクフルトモーターショーで初お披露目されたコンセプトモデルだ。その際は4シーターだったが、東京に持ち込まれたモデルは5シーターへと変更されている。最大の特徴は、これからのジャガー車の骨格となるアルミニウム製軽量モノコックボディを採用していることで、このプラットフォームは量産車ではまず、2015年発表予定のジャガー「XE」で使用されることになる。
青山スパイラルホールに置かれたC-X17は、シャイニー クレイ(粘土)と呼ばれる独特の塗色で、あたらしいイメージがうまく強調されていた。ボディサイズは、全長×全幅×全高=4,718×1,959×1,649mmで、ホイールベースは2,905mm。姉妹ブランドのランドローバー製品をひきあいに出すと、「レンジローバー」と「レンジローバー イヴォーク」との中間に位置するサイズだ。
プレミアムSUVは、まさにレンジローバーが作ったマーケットだが、近い将来ここに、ランボルギーニやマセラティというスポーツカーブランドの参入も噂されている。そこにあって、グループにあるSUVのDNAを広く活かすことは、ほかのプレミアムブランドと対抗し、かつより広範なユーザー層を獲得するために必要と、ジャガー・ランドローバーでは判断したのだろう。
Jaguar C-X17|ジャガー C-X17
ジャガーのSUVコンセプトを日本初披露 (2)
明確に息づくジャガーらしさ
「このクルマをデザインするにあたって、もっとも重要視したのは、ジャガーならではのプロポーションを守ることでした」。C-X17とともに来日したアドバンストデザイン担当のデザイナー、サンディ・ボーイズ氏はそう述べる。
「大径ホイールに、長くて高く見えるボンネット、伸びやかなルーフラインで力強さを強調しています。ボディ側面には、フロント部分とリア部分に弧を描くキャラクターラインを設けています。私たちはこれをハートラインと呼びますが、これもジャガー車とひと目でわかるスタイリング上のアイデンティティとしていきます」
オーバーハングが切り詰められているのは、オフロードで重要なアプローチアングル確保のために重要な機能性であるが、同時にジャガー サルーンと共通のプロポーションと感じられる。実車の印象としては、非常にすっきりまとめられていて、サルーンとの共通性も強く、ジャガーはずいぶん前からこの種のクルマを企画していたのではないかと思わせられる。ボイズ氏は否定したが。
もうひとつの見どころは内装だ。基本的に1枚のレザーで覆ってから手で縫ったというシートは骨格にカーボンファイバーを使っており、豪華でいて軽量。これをボイズ氏は「カッティングエッジなテクノロジーと伝統的なクラフツマンシップの融合という、ジャガーならではの世界観」と表現した。かつシート表面には、メンズシューズで知られる“ブローグ”を思わせる装飾が施されている。これも英国的ディテールだそうだ。
Jaguar C-X17|ジャガー C-X17
ジャガーのSUVコンセプトを日本初披露 (3)
期待されるコンセプトのその先
「ジャガーの販売はいま世界的に著しい伸びをみせています。リアルスポーツカーであるジャガー「Fタイプ」が好調ですが、北米を中心に、「XJ」も意外なほどいい成績をあげています。そこにあって、新世代の軽量アーキテクチャーを活用して、ジャガーは大きく躍進していきたいと思っています」。グローバルブランドマネージャーのアンナ・ギャラガー氏はそう述べた。
「この軽量アーキテクチャーはいってみれば、ツールボックスのようなもので、これを用いてさまざまなプロダクトを作り出せます。ボディ形状にかかわらず、“官能的デザインと知的な高性能”というジャガーの特徴を打ち出していけるフレキシビリティがあります。C-X17はいいサンプルでもあります」
具体的な発売時期とともにパワートレインについて明確な言及はなかったが、「プラグインハイブリッド技術も採用できる」とギャラガー氏は教えてくれた。ここで展示されたのはまったくのコンセプトモデルで、このあと、各地で評判をチェックしながら手直しがくわえられていくだろう。
しかし、コンセプトモデルのようなスタイリングで登場したレンジローバー イヴォークの例にあるように、あまり万人ウケを狙わなくてもマーケットで歓迎されることをジャガー・ランドローバーは知っているのではないだろうか。