F1にも採用されるターボテクノロジーを搭載

フェラーリの4シーターカブリオレ「カリフォルニア」の後続モデルである「カリフォルニア T」が、第84回ジュネーブ モーターショーで公開された。最大のトピックは、新パワーユニットが搭載されたこと。新型の3.8リッターV8ターボエンジンは560psを発揮。これは従来型のカリフォルニアとくらべ、70psの出力向上を果たしたことになる。その0-100km/h加速は、なんと3.6秒。最高速度は316km/hを誇る。

従来の常識に囚われないターボエンジンを実現すべく、開発には4年以上もの期間を費やしたという。その結果、このターボユニットは、高回転までつづくパワー、ダイレクトなアクセルレスポンス、フェラーリらしい痛快なエンジンサウンドを手にした。またその搭載位置は、従来のエンジン位置よりも40mm下げられており、より低重心化されている。

トランスミッションには、ハイギアード化された「F1デュアルクラッチトランスミッション」を採用。これにより加速性能と燃費消費率のどちらもが向上された。

カリフォルニア Tのボディは、すべてアルミニウムで構成されており、電動式リトラクタブル ハードトップ（RHT）をそなえる。ボディ同様に構造材までをもアルミニウム製としたRHTは重量軽減にも貢献し、その開閉スピードはわずか14秒。

流麗なそのスタイリングは、フェラーリ スタイリング センターとピニンファリーナによるコラボレーションで、あらたなエッセンスが込められている。そのひとつが、歴史的名車である「250テスタロッサ」に用いられた「ポンツーンフェンダー スタイルデザイン」の採用だ。新デザインの5スポークホイールと相まって、あらたなデザインアクセントとなっている。

コクピットを再設計

コクピットは完全に再設計されたオールニューのものに変更。シートはロングドライブに適したサポート性に優れるヘッドレスト一体型となる、新デザインのものが採用された。このシート形状の変更により、リアシートの利便性も改善されている。またあたらしいタッチスクリーン式のインフォテインメントシステムも装備された。

シンプルなマン・マシン・インターフェイスの導入により、すべての機能をボタン操作とタッチスクリーン操作のどちらからでも可能とした。これには、新型ターボエンジンの性能を最大限引き出すために必要なデータを表示する「ターボ・パフォーマンス・エンジニア(TPE)」もそなわる。TPEは、5種類のことなる表示方法を持ち、外気温やターボ圧などのさまざまな数値を映し出してくれる。

足回りには、最新式の磁性流体式ダンパーシステム「SCM3」を導入。ECUの高性能化やダンパーのフリクションを低減がおこなわれ、システムの反応速度を短縮し、ビークルダイナミクスの向上が図られた。またハンドリング特性とよりスポーティな感覚を高めるために、スプリングレートのアップとよりクイックなステアリングボックスが採用されている。

ブレーキシステムには、ブレンボ製カーボンセラミックブレーキシステムを装着。このブレーキは、耐摩耗性に優れたパッドとともに、通常の車両ライフならば交換は不要だという。

あらたにターボというエッセンスがくわえられた「カリフォルニアT」。エクステリアデザインの変更だけでなく、エンジン搭載位置の拘りやコクピットのリニューアルをおこなうなど、従来モデルから大きく生まれ変わっていることは明白だ。日本への上陸が楽しみな一台である。

Ferrari California T｜フェラーリ カリフォルニア T
ボディサイズ｜全長 4,570 × 全幅 1,910 × 全高 1,322 mm
ホイールベース｜2,670 mm
トレッド 前/後｜1,630 / 1,605 mm
乾燥重量｜1,625 kg
重量配分 前/後｜47％ / 53%
エンジン｜3,855 cc 90度V型8気筒 直噴ターボ
最高出力｜ 412 kW（560 ps）/ 7,500 rpm
最大トルク｜755 Nm（77.0 kgm）/ 4,750 rpm
トランスミッション｜7段デュアルクラッチ
駆動方式｜FR
タイヤ 前/後｜245/40ZR19 / 285/35ZR19
ブレーキ｜カーボンセラミック（CCM3）
最高速度｜316 km/h
0-100km/h加速｜3.6 秒
0-200km/h加速｜11.2 秒
燃費（NEDC値）｜10.5 ℓ/100km（9.5 km/ℓ）
CO2排出量｜250 g/km
燃料タンク容量｜78 ℓ
トランク容量｜340 ℓ、240 ℓ（ルーフ収納時）