Cセグメント最速のオープン

2013年のフランクフルト モーターショーで発表されたアウディ「A3 カブリオレ」をベースに開発された「S3 カブリオレ」は、ハッチバックやセダンの「S3」とおなじ、最高出力221kW（300ps）、最大トルク380 Nm（38.7kgm）を発揮する2.0 TFSIエンジンと、アウディのお家芸たる4WDシステム「クアトロ」を採用する。このクラスで4駆のオープンカーといわれても、ほかではちょっとその姿をおもい起こすことが難しい希な存在である。

フロントに横置き搭載される2リッターの直列4気筒直噴ターボエンジンは、5,500～6,200rpmで221kW（300ps）を発揮し、 1,800～5,500 rpmで380 Nm（38.7kgm）を発生。ウェイトは1,620kgだが、全域で息の長い加速力が提供される。わずか5.4秒で100km/hに達し、最高速度はリミッターによって制限されるが、250km/hという実力を持つ。文字通りCセグメントのオープンカーでは最速といっていい存在だ。

この2.0 TFSIエンジンは、ボア×ストロークが82.5×92.8mmで、総排気量は1,984ccのプロフィールを持つ。アルミ製ピストンと高強度コネクティングロッド、アルミニウムとシリコン合金のシリンダーヘッドを採用し、極めて軽量に作られているほか、高い熱安定性と強度を兼ねそなえている。ターボチャージャーは、最大1.2バールの過給を可能とし、大型のインタークーラーも採用。トランスミッションは、アウディ自慢のDCT、6段Sトロニックを組み合わせた。

燃費はNEDCサイクルで、 リッターあたり14.0km、CO2排出量は165g/kmとこちらも300ps級のハイパフォーマンスエンジンとしては、極めて良好な数値を披露する。

ドイツでは今夏よりデリバリーを予定

ボディサイズは全長4,430×全幅1,790×全高1,390mmで、ホイールベースは2,600mm。S3譲りのボディデザインは、3ドアモデルをベースに構築されている。シングルフレームグリルにはアルミ製の縁取りがほどこされ、バンパー下の左右エアインテークにもこのフレームデザインに合わせた加飾が採用されている。また、フロントガラスフレームとベルトライン上のアルミニウムストリップ、ドアミラーハウジングのアルミニウムの加飾コンビネーションも、カブリオレだけの専用装備となる。

注目のトップは、電気油圧式で、オーソドックスなソフトトップになる。マグネシウムとアルミニウム、高強度鋼を用いたフレームで十分な軽量化を図ったほか、内部に防音製の高い発泡体層を挟み込み、走行中の騒音レベルを低減する。

トップのカラーは3色用意され、ボディカラーとのコーディネートも可能だ。また、50km/hまでであれば走行中でも開閉が可能で、約18秒で開閉は完了する。万が一の事故の際は、アクティブロールオーバーシステムが起動し、横転などの被害から乗客を保護するという。

注目のシャシーは、S3専用サスペンションで25mmローダウンされているほか、マシニングポリッシュシルバー仕上げをおこなった軽量な5パラレルスポークデザインの8J×18アルミホイールに、 225/40R18サイズのタイヤを装着。オプションで19インチホイールや“S3”のロゴが付けられたレッドのブレーキキャリパーも装着可能だ。

インテリアでは、印象的なステッチをトリムに採用し、炎天下でもシートの表面温度上昇を抑制する特殊な顔料を用いたレザーシートを装備する。このシートは、パールナッパレザーとファブリックのミックスをベースに、アルカンタラとパールナッパレザー、ファインナッパレザーとベルベットといった組み合わせをオプションとして用意。S3のロゴを型押ししたダイヤモンドステッチを採用したSスポーツシートを選ぶこともできる。

クワトロシステムの採用により、前後の静止重量配分は56：44という理想的なバランスを持っているS3 カブリオレ。ドイツでは今夏よりデリバリーを予定しており、その価格は4万8,500ユーロからと発表されている。