最新ゴルフのEV「e-Golf」に試乗|Volkswagen
CAR / NEWS
2018年3月26日

最新ゴルフのEV「e-Golf」に試乗|Volkswagen

Volkswagen e-Golf|フォルクスワーゲン eゴルフ

最新ゴルフのEV「e-Golf」に試乗

2020年をめどにEV市場に本格的に乗り出すフォルクスワーゲンにとって、EVやPHEVとなったゴルフはその試金石となるだろう。はたしてどれだけの実力を秘めているのか。日本上陸を果たした「e-Golf」に、小川フミオ氏が試乗した。

Text by OGAWA Fumio

先進技術の集約

フォルクスワーゲンは新しいことに前向きなメーカーだ。グループとしてポルシェやアウディやランボルギーニなど、先進技術を売り物とするブランドを収めていることに加え、フォルクスワーゲンじたい、注目に値する製品を手がけている。

その代表例が2017年晩秋に日本でも販売が始まった「e-Golf」。電気モーターでのみ走る、ゴルフのバリエーションだ。

2025年までにグループ全体で80車種のEV(電気自動車)を持つとしているフォルクスワーゲングループにとって「次世代への橋渡し」(広報資料より)とされるモデルである。

その流れでいえば、ゴルフのラインナップにはプラグインハイブリッドの「ゴルフGTE」もあり、これはこれでよく出来たクルマである。

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e-Golfは290Nmの最大トルクを発生する電気モーター搭載の前輪駆動。航続距離は最大で301km(JC08モード)と発表されている。

見た目の印象は先ごろフェイスリフトを受けたゴルフシリーズとほとんど変わらない。ブルーのラインと、C字型のLEDランプなどが数少ない識別点。それらはゴルフに詳しい人でないと気づかないだろう。

機能面でもEVであるe-Golf専用装備が設けられている。その一つが「e-マネージャー」。出発時間に合わせた充電予約ができるシステムだ。ほかにも、ナビゲーション画面を使い走行可能距離なども表示する「レンジモニター」や、「エネルギーフロー インジケーター」など、新世代のクルマであることを実感させる。

さらにフォルクスワーゲン カーネットはナビゲーション画面に充電ステーションの表示も可能だ。このシステムは乗車前にエアコンを作動させたり、リモート操作で充電予約もできる。

Volkswagen e-Golf|フォルクスワーゲン eゴルフ

最新ゴルフのEV「e-Golf」に試乗 (2)

気になる走行性能は

はたして実際に操縦しての印象はというと、一言で言って、かなりよい。操舵感も足回りの設定もびしっとしている。はっきりいうと “同じゴルフ?”と思うほどだ。

ハイブリッド体験済みの読者なら先刻ご承知のように、アクセルペダルを踏み込んだ瞬間に最大トルクを発生するのがEVの特性。それを活かした出足の俊足ぶりは標準のゴルフとは違う。

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メーカー発表によると静止から80km/hまで加速するのに6.9秒という。実際にe-Golfを走らせると、それにも納得する。通常の使用環境では中間加速を含めてトルクは十分すぎるほどだ。

ゴルフの弱点はフィールがいまいちな操舵感にあったが、e-Golfはしっかりしている。中立付近から切り込んでいったときのフィールはやや重めで、これと応答性の高いシャシーとのマッチングがとてもよい。

足まわりはすこし硬めだが、ピッチングも抑えられ、上質感もちゃんと感じられる。このクルマのセリングポイントはもちろん第一点としてEVであることだが、質感の高い走りを僅差で挙げたいぐらいだ。

トランスミッションはレバー操作で回生(充電)を強くする「B」レンジを選ぶことができる。アクセルペダルを離すと充電モードに入るため、強めの減速感がある。

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いわゆるワンペダル走行である。BMW「i3」などもこのシステムを採用している。多少の好き嫌いもわかれるかもしれないが、市街地ではアクセルペダルを踏む足の力を強めたり弱めたりで走行できるので、慣れると便利だと思う。

Volkswagen e-Golf|フォルクスワーゲン eゴルフ

最新ゴルフのEV「e-Golf」に試乗 (3)

次世代への橋渡しとなるか

加えてフォルクスワーゲングループジャパンでは「ほかにあまり例のない5人乗りの電気自動車」であることも、e-Golfならではの特徴と謳う。便利さでいうと、普通充電とCHAdeMO方式の急速充電に対応しており、日本での使い勝手も考えられている。

ネットでの販売のみというe-Golf。2020年をめどにさらに本格的にEVマーケットに乗り出すことを画策しているフォルクスワーゲンにとって、売りっぱなしにならない施策は大事だろう。

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e-Golfの価格は499万円。「クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」(平成29年度は30万1000円)が支給される。日産「リーフ」は399万600円、「i3」は538万円。ともにCHAdeMOにも対応しており、操縦してもそれなりにキャラクターが確立している。

そこにあってe-Golfはそもそもゴルフというクルマが好きな人にまず勧められる出来だといえる。特殊な感じがいっさいなく、EVの間口を拡げてくれるクルマなのだ。

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Volkswagen e-Golf|フォルクスワーゲン eゴルフ
ボディサイズ|全長 4,265 × 全幅 1,800 × 全高 1,480 mm
ホイールベース|2,635 mm
トレッド前/後|1,545 / 1,515 mm
最低地上高|140 mm
車両重量|1,590 kg
電気モーター最高出力|100 kW(136 ps)/3,300-11,750 rpm
電気モーター最大トルク|290 Nm(29.5 kgm)/0-3,300 rpm
トランスミッション|1段固定式
駆動用バッテリー|リチウムイオン電池
総電圧|323V
駆動用バッテリー総電力量|35.8 kWh
サスペンション前|マクファーソンストラット
サスペンション後|4リンク
ブレーキ前|ベンチレーテッドディスク
ブレーキ後|ディスク
タイヤ|205/55R16
一充電走行距離|301 km
価格|499万円

問い合わせ先

フォルクスワーゲン カスタマーセンター

0120-993-199

           
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