ボルボ、新フラッグシップ「S90」「V90」の発売開始|Volvo
Volvo S90|ボルボ S90
Volvo V90|ボルボ V90
Volvo V90 Crosscountry|ボルボ V90 クロスカントリー
ボルボ、新フラッグシップ「S90」「V90」の発売開始
ボルボ・カー・ジャパンはラインナップの最上級となる90シリーズに、セダンの「S90」、エステートの「V90」、クロスオーバーの「V90クロスカントリー」の3モデルを追加し、2月22日(水)より発売を開始した。これらモデルは「S80」「V70」「XC70」の後継となるもので、これにより「XC90」を含めた90シリーズのラインナップが完成した。なお、S90のみ500台限定となる。
Text & Photographs by UCHIDA Shunichi
充実に先進安全・運転支援技術
ボルボ「90シリーズ」は、将来の電動化やコネクティビティ、自動運転等を見据えて開発された新世代プラットフォーム「スケーラブル プロダクト アーキテクチャー(SPA)」と、自社開発の新世代パワートレーン「Drive-E」を採用。北欧デザインのなかに先進の安全・運転支援技術を搭載した、ボルボの新世代フラッグシップモデル群だ。
注目の安全面においては、世界初の2つの安全技術を含む15種類以上の先進安全・運転支援技術「インテリセーフ」を標準装備。世界初の「大型動物検知機能」は、スウェーデンで重傷事故の要因となっている、大型動物との衝突被害の軽減を目的としたシステムだ。日本でも北海道で起きることがあるエゾジカとの事故回避にも役立つ可能性が高い。
これは、従来のシティ・セーフティの歩行者・サイクリスト検知機能に加え、速度が4km/h以上のときに、前方に大型動物が検知された場合に警告を発し、運転者が警告に反応しない場合には、通常の最大制動力の約30パーセント(約0.3G)でブレーキが作動。衝突時には約15km/hの減速を可能とするものだ。70km/h以上の高速走行時にもっとも効果を発揮し、夜間にヘッドライトで照らされている場合でも検知が行われる。
また、世界初となる「ランオフロード ミティゲーション」は、先に発売されたSUVモデル「XC90」で発表された「ランオフロード プロテクション(道路逸脱事故被害軽減システム)」に加えて道路逸脱事故の対策として開発された、道路逸脱事故回避を支援する機能だ。
道路からの逸脱が差し迫っていると予測された場合にのみシステムが介入し、ステアリングを自動的に操作して道路上に戻す。この操作で十分に対応できない場合、ブレーキも作動させ減速。車載カメラが車線境界線や側線を検知した状態で、速度が65-140km/hのときに作動する。方向指示器を使用している場合など、ドライバーが自発的に運転している場合には介入をしない。
自動運転「レベル2」となる、「パイロット アシスト」も標準装備だ。これは、ステアリング操作を行い、車線の中央を走るようサポートする運転支援機能で、新型90シリーズに標準装備される「パイロット アシスト」では、前走車なしでも車線維持走行が可能となり、作動域は140km/hまでに拡大。フロントウィンドウに設置されたミリ波レーダーとカメラが一体となったユニット、ASDM(アクティブ セーフティ ドメイン マスター)が車線の検知と前方をモニターし、車線の維持走行と前方車両との距離の維持をサポートする。
ボルボ・カー・ジャパン代表取締役社長の木村隆之氏は、「ボルボは、新しいボルボ車での事故による死亡者や重傷者を2020年までに0にする“セーフティビジョン2020”に取り組んでおります。これは2008年に発表し、それ以降ボルボはこのビジョンに向かって着実に進んでおり、今回導入する新しい90シリーズによって、このビジョンにさらに1歩近づくことになります」と述べ、「この90シリーズは2020年においても、新型車に置き換えられることなく販売が続けられる、いわば未来を先取りしたクルマです」と位置付けた。
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ボルボ、新フラッグシップ「S90」「V90」の発売開始(2)
新世代のボルボデザイン
新型90シリーズのエクステリアで目をひくのは、北欧神話に登場するトール神(雷神)がもつハンマーをモチーフにしたT字型のLEDヘッドライトだ。新しくなったアイアンマークを中央に配したグリルは、ボルボ「P1800」からインスピレーションを得たもので、クロームの縁取りや、23本の縦型のバーが弧を描いてデザインされたものなどがそれにあたる。また、アイアンマークの矢印は斜めに走るバーに沿うよう配されている。
全体のシルエットは新世代プラットフォーム 「スケーラブル プロダクト アーキテクチャー(SPA)」の採用により、フロントホイールの中心点からAピラーの付け根までの距離を、これまでのクルマより約35cm伸ばすことができ、これによりプレミアム感を演出しているのだ。
そのほか、細かいディテールを含め、新世代ボルボのデザインを示唆したコンセプトカー3部作(「コンセプト クーペ」「コンセプト XCクーペ」「コンセプト エステート」)のデザインエレメントを忠実に実車に反映しており、その再現の高さは目を見張るほどである。
ボディサイズについて木村氏は、「新しい90シリーズは大きく見えるが、車幅は先代の「S80」や「V70」、そして現行モデルの「XC60」と同じ1,890mmです。また、全長も5メートルをゆうに切っているので「XC60」や「V70」に乗っているユーザーにも十分使ってもらえるはずです。大型車としての風格、そしてプレミアム性を備えながらも使い勝手を損なわない、日本市場にも適したモデルです」と自信を見せた。
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ボルボ、新フラッグシップ「S90」「V90」の発売開始(3)
近々プラグインハイブリッドとクリーンディーゼルも予定
日本仕様はS90で3グレード、V90とV90クロスカントリーはそれぞれ4グレードが導入される。エンジンは「T5」のDrive-E 2.0リッター4気筒直噴ガソリンターボ(最高出力254ps、最大トルク350Nm)、「T6」のDrive-E 2.0リッター4気筒直噴ガソリンターボ+スーパーチャージャー(最高出力320ps、最大トルク400Nm)に加え、2017年9月頃よりデリバリー開始予定の「T8」ではDrive-E 2.0リッター4気筒直噴ガソリンターボ+スーパーチャージャーに電気モーターを付加したドライブトレーン(最高出力320ps+モーター87ps、最大トルク400Nm+モーター240Nm)の3種類だ。
また、今後としては、V90のプラグインハイブリッドモデルを年末までに、そして、クリーンディーゼルを2018年に導入予定だという。
木村氏は、今回導入が開始された90シリーズ各車について、「日本で中心モデルと位置付けるのはV90になるでしょう。それは、必要な走行性能とボルボが伝統とするエステートのバーサビリティ(多様性)と、スウェディッシュ ラグジュアリーを備えた新しいプレミアムエステートだからです」と述べる。
S90については、「フラッグシップセダンとしてドイツ車が占有する高級セダン市場に挑む。まずスウェーデンで生産された500台を限定導入し、オンラインで予約注文を受け付け販売。ボルボのフラッグシップセダンが新たな市場を生み出すことを期待している」。
そして、V90クロスカントリーは、「V90をベースに悪路走行にも耐えられるよう55mm車高をあげ、都会と自然を行き来するライフスタイルに適している。クロスカントリーは、ボルボが作り出したカテゴリーであり、スウェーデンのライフスタイルそのものを体現するプレミアムクロスオーバーだ」と各車をポジショニング。
最後に木村氏は、「ボルボの設計の中心は人であり、その思想はあなたの大切な人や物を守ることだ。それは家族や恋人、大切な友人であり、大事にしているライフスタイルでもある。ボルボが常に言い続けている開発理念、Designed around you(デザインドアラウンドユー)は、そのことを表現している。ドイツでもない、日本でもない、スウェーデン発の唯一のブランドとして、ボルボは高級車市場に挑む」と意気込みを語った。
価格はS90 T6 AWD Rデザインが749万円、S90 T6 AWD インスクリプションで842万円。V90はT5モメンタムが664万円、V90 T6 AWD Rデザインで769万円、V90 T6 AWDインスクリプションは799万円、そして秋頃デリバリー予定のV90 T8 Twin Engine AWDインスクリプションは899万円。V90クロスカントリーは、T5 AWDモメンタムで694万円、T5 AWDサマムが754万円、T6 AWDモメンタムが759万円、T6 AWDサマムで819万円。