日本とイタリアがタッグを組んだ「アバルト124スパイダー」ついに登場|Abarth
Abarth 124 Spider|アバルト 124 スパイダー
日本とイタリアがタッグを組んだ「アバルト124スパイダー」
「日本のトップテクノロジーと、イタリアの最高のパフォーマンスが一つになり、個性を強めた」とFCAジャパンが明言するアバルト「124スパイダー」が、8月5日、オートモビルカウンシル(幕張メッセ)にて発表された。発売は2016年10月8日からで、価格は388万8000円(6MT)と、399万6000円(6AT)だ。マツダ「ロードスター」のアーキテクチャをもとにデザイン等を独自開発したFRモデルで、広島で生産される。
Text & Photographs by UCHIDA ShunichiPhotographs by UCHIDA Chizuko
ドライバーを惚れさせるアバルトブランド
カルロ・アバルトが1949年に設立した“アバルト”は、「クルマとレース活動を通して、パフォーマンス、クラフツマンシップ、技術面における優位さという、アバルトの価値を現在に至るまで表現し続けている。そして、レースの感覚を日常乗るクルマでも味わえることが出来るからこそ、ドライバーはアバルトに惚れ込むのだ」と語るのは、FCAアバルト・デザインヘッドのルーベン・ワインバーグ氏だ。
また、何の変哲もないフィアットをベースにアバルトが手を入れたモデルは、「エンジン性能、車両重量、ハンドリングの全てがモータースポーツに残す軌跡であり、心の赴くままにクルマを買う人の心に足跡を残すのだ」とアバルトの情熱を語る。
124スパイダーをモチーフにしたデザイン
そのアバルトがマツダ「ロードスター」をベースに内外装デザインやエンジン、サスペンション及びステアリングフィールを手掛けたのが、このアバルト「124スパイダー」なのだ。
1973年、フィアットワークスチームとして世界ラリー選手権に出場し、1975年までの3年間で優勝3回を含む成績を残したアバルト「124スパイダーラリー」(以下124ラリー)がこのクルマのデザインモチーフとなったクルマである。具体的には、124ラリーの特色だったサイドシルエットを現代的にアレンジし、また、ドライビングポジションを後ろに下げることで、車体の重量バランスを取るとともに、フェンダーアーチの美しさを際立たせている。
さらに、124ラリーのモチーフが色濃く表現されているのがフロント周りだ。幅広の六角形のグリルを中心にヘッドライトの内側とグリルの角を合わせるデザインはまさに124ラリーのそれだ。また、ハニカム形状のグリルはフロントグリル以外にエアインテーク3か所に施される。そして、ボンネットの2つのバルジは縦置きエンジンを主張するとともに、2シーターであることを表現しており、これも124ラリーを彷彿とさせるものだ。
リアデザインは、横に細長い角形テールランプや、後方にすっと伸びたテールのラインが特徴。「これはトランク容量を確保するとともに、低くワイドなプロポーションを印象づけている」とワインバーグ氏は述べ、これらデザインは124ラリーのイメージも踏襲しているとした。
Abarth 124 Spider|アバルト 124 スパイダー
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1.4リッターターボで170ps
搭載されるエンジンは、1.4リッターマルチエア4気筒ターボで、最高出力は170ps、最大トルクは250Nmを発揮し、0-100km/h加速は6.8秒(欧州参考値)。エグゾーストノートにもこだわりがあり、“レコード モンツァ デュアルモード エキゾースト システム”がアクセサリー設定される。これは、エンジンの回転数に応じて排気経路が変わり、心地よい深みのあるサウンドが実現できているという。
また、後輪駆動、メカニカルLSD、前後50:50の重量配分や縦置きエンジンはフロントミッドシップに搭載されることなどから、ワインバーグ氏は「あらゆる路面でいつでも最大トルクが得られ、クルマの動きがスムーズなので、ドライビングプレジャーを堪能出来るなど、スポーツカー好きにはたまらないこだわりを持っている」と話す。
その足まわりは、前輪はダブルウィッシュボーン式、後輪は5アームのマルチリンク式サスペンションを採用。ブレーキはブレンボ製(フロントはアルミニウム製4ピストン対向キャリパー)を装備し、ビルシュタイン製のモノチューブ ショックアブソーバーと、強化スタビライザーとともにハンドリングのしやすさ、安全性と乗り心地の良さを届けるという。
トランスミッションは前述のとおり2種類から選べる。ひとつは、6段マニュアルで、「ショートストロークのシフトレバーはダイレクトなフィールを味わえる」。また、6段オートマチックは、「ステアリングにパドルシフトが装備されるので、よりダイレクトでスポーティな走りを味わえる」とワインバーグ氏。つまり、「完璧なメカニズムバランス、リニアなエンジンレスポンス、応答性能のよいスロットルを利用したハンドリングを楽しむことが出来る」とその運動性能は絶賛に近い。
広島製アバルトへの期待は高い。アバルトとマツダの良いとこ取りをしたのがこのアバルト124スパイダーだからだ。ここからまたモータースポーツへの参入も匂わせたワインバーグ氏。その時を楽しみに待ちたい。
Abarth 124 Spider|アバルト 124 スパイダー
ボディサイズ|全長 4,060 × 全幅 1,740 × 全高 1,240 mm
ホイールベース|2,310 mm
トレッド 前/後|1,495 / 1,505 mm
重量|(6MT)1,130 kg (6AT)1,150 kg
エンジン|1,368 cc 直列4気筒インタークーラー付ターボ
ボア×ストローク|72.0 × 84.0 mm
圧縮比|9.8
最高出力| 125 kW(170 ps)/ 5,500 rpm
最大トルク|250 Nm(25.5 kgm)/ 2,500 rpm
トランスミッション|6段MT / 6段AT
駆動方式|FR
サスペンション 前|ダブルウィッシュボーン
サスペンション 後|マルチリンク
タイヤ 前/後|205/45R17
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ディスク
0-100km/h加速|6.8 秒
燃費|(6MT)13.8 km/ℓ (6AT)12.0km/ℓ
ラゲッジルーム容量|140 リッター
ハンドル位置|右
価格|(6MT)388万8,000円 (6AT)399万6,000円