ロールス・ロイスの新型コンバーチブル「ドーン」が日本上陸|Rolls-Royce
Rolls-Royce Dawn|ロールス・ロイス ドーン
ロールス・ロイスの新型コンバーチブル「ドーン」が日本上陸
ロールス・ロイスの第4のモデルとして2015年9月にデビューした「ドーン」。同社ならではの贅を尽くしたコンバーチブルがこのたび日本に上陸し、お披露目された。
Text by OTANI Tatsuya
レイスと変わらない静粛性と快適性を確保
いかにもロールス・ロイスらしい、豪華で優雅な2ドア、4シーターのコンバーチブルモデルが誕生した。そのモデル名、「ドーン(Dawn)」は夜明けを意味する。
ハードウェア面から見れば、ドーンの基本は「ゴーストII」や「レイス」と同じ。ボディの外寸は同じ2ドアのレイスに酷似するが、V12 6.6リッター ツインターボエンジンはゴーストIIと同じ570psと780Nmを発生する(レイスは632psと800Nm)。また、オープントップ(ロールス・ロイス流にいえばドロップヘッドクーペ)を備えるドーンの車重は、ゴーストIIやレイスより200kgも重い2,560kgとなる(いずれも欧州仕様値)。価格は標準状態で3740万円。
ただし、ドーンが重くなったのには明確な理由がある。「ボディはドロップヘッドクーペでも、フィックスドヘッドクーペ(ハードトップクーペ)のレイスと変わらない静粛性と快適性を確保しなければならない」。 これがドーン開発に際しての、ロールス・ロイスの厳格な開発方針だった。このためソフトトップを閉めた状態におけるドーンの車内騒音はレイスとまったく変わらないという。
もうひとつ、このソフトトップで驚かされるのは開閉時のノイズがまるで聞こえないこと。たとえエンジンが停止した状態であっても、ソフトトップの作動音はまったくといっていいほど耳に届かない。もっとも、かりに走行中でもエンジンは無音に近いのがロールス・ロイスの伝統だが ―― 。ルーフを閉じた状態でもボディにぴったりフィットした美しい曲線を描く点も、ドーンのソフトトップの魅力のひとつ。なお、開閉は50km/h以下であれば走行中も可能なほか、作動音が極めて小さいにもかかわらず開閉には20秒しか要さない。
Rolls-Royce Dawn|ロールス・ロイス ドーン
新型コンバーチブル「ドーン」が日本上陸 (2)
最上級のもので作りあげられる特別な世界
それにしても、この内外装の豪華さ、手の込みようはどうだろう。毛足の長いカーペットはキャビンのフロアだけでなくラゲッジルームにも貼り付けられているが、あまりに見事な作りのため、土足で踏みつけるのがはばかられるほど。もちろん、インテリアに用いられたウッド、レザー、クロームはすべて最上級のものばかり。それらは、たとえ手でさわらなくとも、目で見て、そしてそこはかとなく漂うその雰囲気に触れれば、私たちの日常をはるかに越えた特別な世界からやってきたことがうかがい知れる。
ちなみに車名のドーンは1949~1955年に生産された「シルバードーン」にちなんでいる。第二次世界大戦直後のイギリスは経済的に困窮しており、外貨の獲得が至上命題とされていた。そこで、アメリカで人気が高かったロールス・ロイスはアメリカ向けにボディも自社製とした4ドアサルーンのシルバードーンを開発し、主に“新大陸”に輸出した。その生産台数は760台を数えたが、ドロップヘッドクーペ版は昔ながらのコーチビルディング(自動車メーカーではなく、コーチビルダーと呼ばれるボディ専業メーカーがオーナーのリクエストを受けて個々にボディを製作するシステム)で生産され、その数はわずか28台にとどまった。
また、ロールス・ロイスの車名は幽霊の名前に由来するのも伝統のひとつだが、このドーンだけはファントム、ゴースト、レイスなどが嫌う夜明けをあえて車名とした。それは、不景気に苦しんでいたイギリス国民が、明るい未来を希求した思いを反映したものといわれる。
Rolls-Royce Dawn|ロールス・ロイス ドーン
ボディサイズ│全長 5,295×全幅 1,945× 全高 1,500mm
ホイールベース│3,110mm
車両重量(DIN値)|2,640kg
エンジン│6.6リッター V型12気筒 ツインターボ
最高出力│420 kW(570 ps)/5,250rpm
最大トルク│780 Nm/ 1,500-5,000rpm
トランスミッション│8段AT
駆動方式|FR
0-100km/h加速|4.9 秒
最高速度|250 km/h(リミッター作動)
トランク容量|244-295 ℓ
価格|3,740万円から