Volkswagen Passat|フォルクスワーゲン パサート
Volkswagen Passat|フォルクスワーゲン パサート
北米市場に“パサート”という名で登場
フォルクスワーゲンは、これまで「NMS(New Midsize Sedan)」という匿名でティーザーを出していた北米専売モデルをデトロイトモーターショーで公開。そしてあらためて同車に「パサート」という名前をもちいることを発表した。
文=松尾 大
あたらしい工場から生まれる重要なモデル
この“NMS”ことパサートは、昨年7代目へとモデルチェンジしたB7型パサート(欧州で販売されるモデル)とはことなったものである。大きく変更された点は3つ。
・4ドアセダンのみでワゴンボディは販売されない。
・ボディサイズが拡大されている。
・アメリカ国内で生産されるモデルであるということだ。
生産拠点はテネシー州チャタヌーガに約10億ドルを投資して完成させたという新工場。フォルクスワーゲンはアメリカでの生産を1988年に撤退したため、このパサートは約20年ぶりにアメリカで生産される、非常に重要なモデルとなる。フォルクスワーゲンはこの新工場の稼働で2,000人の直接雇用が生まれ、さらにそれらに関連した10,000人の雇用が創出されるとしている。また、2018年までにはアメリカ国内で80万台の生産をもくろんでいるという。
優れた環境性能の高級なセダン
ボディサイズは、欧州仕様に対して全長で99mm、全幅15mm、ホイールベース91mmと、全面的に拡大されている。ボディの拡大分はおもに室内空間に充てられている。
エクステリアのデザインはアメリカで人気の高い、ジェッタを連想させるやや角ばったもの。フォルクスワーゲンでは、実際の価格よりも高級感が備わるようなデザインをほどこしたとアナウンスしている。
インテリアに目をうつすと、インストゥルメントパネルは、トゥアレグと似かよったものが採用されている。マルチファンクションディスプレイはクロームでトリミングされるほか、エアコンの通風口からヘッドライトスイッチ、パーキングブレーキなどあらゆるスイッチ類にもクロームがもちいられ、彩りを添えている。
搭載されるエンジンは3種類。スタンダードな2.5リッター直列5気筒ユニットは最高出力170hp(127kW)最大トルク170lb-ft(240Nm)を発生。ハイウェイ燃費は31mpg(13.2km/ℓ)で、ガソリンタンクを満タンにした状態で573マイル(924km)の走行が可能だという。最上級グレードに搭載される3.6リッターV型6気筒VR6ユニットは、それぞれ280hp(209kW)、258lb-ft(350Nm)、28mpg(12.0km/ℓ)、518マイル(834km)。注目したいのは、ジェッタにも搭載されている2.0リッターTDIクリーンディーゼルモデルで、全米50州すべてのNOx(窒素酸化物)排出量の規制要件を満たす、世界でもっともクリーンなディーゼルエンジンのひとつだ。最高出力140hp(104kW)、最大トルク236lb-ft(320Nm)、燃費43mpg(18.3km/ℓ)、走行距離795マイル(1,280km)という環境性能はミドルサイズのハイブリッド車にとっても強敵といえる数値だろう。
この北米専売モデルのパサートは、2011年後半に市場に投入され、ベース車両の価格が約2万ドルからとアナウンスされている。