ASTON MARTIN Vantege GT4|アストンマーティン ヴァンテージ GT4
ASTON MARTIN Vantege GT4|アストンマーティン ヴァンテージ GT4
チューンナップされた、新型ヴァンテージ
アストンマーティンレーシングは、レース専用モデルであるヴァンテージGT4のフェイスリフトをおこなった2011年モデルを発表した。
文=松尾 大
ダウンフォース強化によるレーシーな走りへ
アストンマーティン ヴァンテージGT4は、アルミ製シャシーやベースエンジン、サスペンションなど、市販車であるV8ヴァンテージをベースに2009年デビューしたレース専用モデル。この2年のあいだで世界各国において80台を販売し、実売としてもGT4クラスではもっとも成功した好例だといえる。2010年にはドバイ24時間、ニュルブルクリンク24時間、スパ24時間はもとより、ヨーロッパGT4選手権にも優勝。また「アストンマーティンGT4チャレンジ・オブ・グレートブリテン」というワンメイクシリーズも開催されている。
今回フェイスリフトをおこなった、あたらしいヴァンテージGT4のデザインは、新デザインのバンパーをはじめ、市販車であるV12ヴァンテージと共通のイメージをもち、よりエアロダイナミクスを強化することで、ダウンフォースも高められている。搭載されるのは、これまでと同様4.7リッターV8エンジンだが、チューニングの見直しなどによりパワー、トルクともに向上している。
また、ボッシュがレース用に開発したABSとトラクションコントロールシステムを選ぶことが可能。これは、ボッシュ・モータースポーツによってヴァンテージGT4用にセッティングが最適化され、ウェットとドライの両路面において、最大限のパフォーマンスが引き出すことができるという。
BRAND HISTORY
いまもっともクールなスポーツカーブランドとして、世界中から注目を集めているのが、イギリスのASTON MARTIN(アストンマーティン)だ。1914年にライオネル・マーティンとロバート・バンフォードにより設立された小さな会社は、アストン・クリントンと呼ばれるヒルクライム競技で成功をおさめたことからアストンマーティンのブランドを名乗るようになり、その後もモータースポーツやスポーツカーの歴史に輝かしい足跡を残す。
反面、経営の面では幾度も危機に追い込まれ、そのたびに救いの手が差し伸べられるという、まさに波瀾万丈の道を歩みつづけてきた。たとえば、1947年にオーナーとなったデイビッド・ブラウンは、優れた経営力とエンジニアリングのセンスを活かして、みずからのイニシャルを冠したスポーツカー「DB2」や、レース用マシーン「DBR1」で、その名前を残している。最近では、フォードがその株式を、プロドライブを創業したデイビッド・リチャード率いる投資家集団に売却したことが記憶にあたらしい。
しかし、アストンマーティンはいつの時代も漲るパワーと美しいスタイルを備えたスポーツカーづくりを貫いている。現在のラインアップは「V8ヴァンテージ」「DB9」、そして4ドアサルーンの「ラピード」とラインナップを拡げている。