市販車とレーシングマシンを並行開発

シボレー「コルベット Z06」は、2014年4月から日本でも販売を開始する第7世代のコルベットの市販ハイパフォーマンスバージョンで、最高出力625PSを誇る6.2リッターのアルミ製直噴V8スーパーチャージドエンジンを搭載し、カーボン製のボンネットや、取り外し可能なカーボン製ルーフなどで軽量化を果たしている。トランスミッションはあたらしい7段MTまたは、8段ATを採用。アグレッシブなボディデザインから、他のラインナップとの差別化も容易だ。

「コルベットC7.R」は、このコルベット Z06のシャシー構造やエンジンテクノロジー、エアロダイナミクスなど、エンジニアリングやパーツを使用。開発を同時にスタートさせ、過去前例のないレベルで技術の共有化をおこなっているという。これまでも市販車をベースとしたレーシングマシンは数多く登場しているが、市販車との同時並行開発というのは希で、シボレーではこれをもって、コルベットこそ、レーシングマシンと量産車がもっともちかい存在であると紹介している。

Chevrolet Corvette Z06

Chevrolet Corvette Z06

コルベット Z06および コルベット C7.Rのフレームは、米国ケンタッキー州のボウリング・グリーン工場において製造される。レーザー溶接やGMが所有する特許のアルミスポット溶接工程など、最先端の生産体制をもち、レーシングモデルで比較すると、コルベット C7.Rのシャシーは、前モデル「コルベット C6.R」にくらべ、40パーセント強化された。

ただしC7.Rのエンジンは、レースの規定により5.5リッターのスモールブロックのV8となり、規制によりエア吸入量も制限されているので、市販の「Z06」とはことなっている。これだけは「C6.R」からキャリーオーバーされたものである。

アメリカを代表するスポーツカーといわれるゆえん

GMのワークスチーム、「コルベット・レーシング」は、1月25-26日に米国フロリダ州デイトナ インターナショナル スピードウェイで開催される「第52回 ロレックス24」レースに、2台のC7.Rを参戦させる予定で、これがC7.Rの緒戦となる。今シーズンから北米で人気の「アメリカン ル・マン シリーズ」と「GRAND-AM ロレックス スポーツカー・ リーズ」が統合され、新シリーズの「TUDOR ユナイテッド スポーツカー チャンピオンシップ」が開幕するが、「第52回 ロレックス24」レースはその記念すべきオープニングレースでもある。

この北米で開催されるシリーズ全11戦への参戦のほか、コルベット C7.Rは、6月にフランス開催される伝統のル・マン24時間レースにも出場する予定である。ちなみにル・マン24時間レースでシボレー コルベットは、過去7回のクラス優勝を果たしており、あたらしいC7.Rの活躍も期待されている。

Chevrolet Corvette C7.R

Chevrolet Corvette C7.R

北米では、1999年に「コルベット C5-R」がワークスマシンとしてデビューしていらい、C5-RおよびC6.Rが、アメリカン ル・マン シリーズにおいて、90勝をあげ、10度のマニュファクチャラーズ チャンピオンを獲得。昨年は、アメリカン ル・マン シリーズのGTクラスで5回の優勝を成しとげ、2年連続で、マニュファクチャラーズ、チーム、ドライバーズのチャンピオンシップを独占している。

シボレー コルベットが、アメリカを代表するスポーツカーであるといわれるゆえんは、こうしたレース活動にもあり、それだけにZ06とそのレーシングバージョンのC7.Rは、GMにとって重要なモデルと位置づけられている。アメリカのスポーツカーを牽引してきたというプライドと、綿々とつづけられてきたレース活動が、あたらしいコルベットの魅力的をさらに高めているのはまちがいないだろう。