主役はハイブリッドスポーツカー「i8」|BMW
CAR / MOTOR SHOW
2015年4月3日

主役はハイブリッドスポーツカー「i8」|BMW

BMW|ビー・エム・ダブリュー
東京モーターショー 現地リポート

主役は高効率を追求したi8

ハイブリッド スポーツカー「i8」と電気自動車「i3」を主役に、「4シリーズ カブリオレ」「M4 クーペ コンセプト」「コンセプトアクティブツアラー」など華やかな展示をおこなうBMW。大谷達也氏が、とくに気になる「i8」を中心に現地の模様リポート。

Text by OTANI TatsuyaPhotographs by ARAKAWA Masayuki & OPENERS

1.5リッターエンジンでもハイパフォーマンスを実現

BMWの主役は日本でも量産モデルが発表されたばかりの「i3」と「i8」で、ブースのいちばん奥まったところにゆったりとした専用スペースをもうけ、ひときわ華やかに2台を展示している。


訪れたファンの声を改めて聞いてみると、やはりi8の美しさに惹かれるという意見が多かった。低く流れるようなボディライン、スタイリッシュなガルウィングドア、そしてボディの後半部分を包み込むようなフェアリングなどは、スポーツカー好きなら誰もが目を奪われるデザインモチーフだろう。


ところで、i8に搭載されているエンジンは最高出力231psの1.5リッター3気筒ターボ。いくら電気モーターをふくめたシステム出力が362psに達するとはいえ、定格出力131psのモーターに電力を供給するのは、あくまでもエンジンの役割。つまり、かりに高速で走りつづけ、バッテリーを使い果たしてしまったとすれば、あとはこのエンジンだけが頼りとなるのだ。


では、このエンジンだけで実現できる最高速度は何km/hなのだろうか? 複数の技術者に確認したところ、i8のエンジン単独で走行できるスピードは250km/hだという。

BMW i8|ビー・エム・ダブリュー i8 08

つまり、スピードリミッターが作動する領域まで、排気量たった1.5リッターのターボエンジンで到達できるというのだ。これは驚きとしかいいようがない。


これが実現できた最大の秘密は、i8の走行抵抗の小ささにある。まず、cd値=0.26まで空気抵抗を低減。これは、ボディ下面を平坦なカバーで覆った処理や、タイヤ幅を極力狭くすることで実現したという。いっぽう、幅を狭くすることで不足する接地面積は、大径タイヤの装着によって解消。BMWお得意の50:50の前後重量配分と組み合わせることで、卓越したハンドリング性能を確保しているそうだ。


BMW i8|ビー・エム・ダブリュー i8 03

BMW i8|ビー・エム・ダブリュー i8 05

ところで、i8の日本での価格は1,917万円。繰り返しになるが、3気筒 1.5リッターエンジンを搭載するクルマとしては異例の高価格である。「それでもビジネス上の勝算はあるのか?」とi8のプロダクトマネジャーに訊ねたところ、「世界中の市場を調査したが、3気筒 1.5リッターエンジンであることがネガティブな要素となる心配はまったくない。ただし、引きつづきクルマの価値をシリンダー数で見極める傾向が強い中東だけは苦戦するかもしれない」とのこたえが返ってきた。


i8の購入希望申し込みはすでに受付がはじまっており、納車は2014年夏以降になる見通しだ。



BMW|ビー・エム・ダブリュー

東京モーターショー 現地リポート (2)

登場も近いBMW初のFFモデルや、4シリーズなどほかの展示にも注目

BMWブースでもう1台注目を集めているのが「コンセプト アクティブツアラー」。このコンセプト自体はすでに2012年9月のパリサロンで発表済みだが、BMWブランド初の前輪駆動車として話題を呼んだ。


どうしてBMWは前輪駆動を作ろうとしているのか? その理由は、コンパクトカーでは広い室内への要求が急激に拡大しているからだという。そしてスペースユーティリティを考えるとやはり前輪駆動が有利になるというのがBMWの結論だったそうだ。


もっとも、このアクティブツアラーにたいする反響は非常に大きかったので、製品化は間近と見ていいだろう。3気筒 1.5リッターエンジンや前輪駆動のプラットフォームは、最新型「MINI」と多くの部分が共有となる見通しだ。

BMW 4 series cabriolet|ビー・エム・ダブリュー 4シリーズ カブリオレ 16

そのほか、BMWブースでは「4シリーズ コンバーチブル」がワールドプレミアを飾っているほか、4シリーズの“Mバージョン”である「M4クーペ」も会場の片隅でひっそり公開されているので、こちらも見逃さないでいただきたい。

           
Photo Gallery