NISSAN|日産 GT-R Spec-V| LONG TERM TEST 第3回
CAR / LONG TERM REPORT
2015年4月15日

NISSAN|日産 GT-R Spec-V| LONG TERM TEST 第3回

NISSAN GT-R Spec V|日産 GT-R スペックV 第3回

近い将来のサーキットデビューに備えて

このリポートのテーマのひとつが、1500万円超のジャパニーズ・スーパーカーが、日常の使用において欧州のライバルたちと同様のよろこびや満足を提供してくれるのか、というもの。が、本来のホームグラウンドであるサーキットに持ち込まなければ、同車のポテンシャルや魅力をつまびらかにはできない。今回は、近い将来のサーキットデビューに備え、4点式シートベルトを装着しました。

Text by OPENERSPhoto by JamandfixSpecial Thanks to PF LINK SYSTEMS

The “first” car
NISSAN GT-R Spec V

1号車
日産GT-R Spec V
NISSAN GT-R Spec V
第3回

導入時期 2月13日
購入価格 1575万円
走行距離 2763km
今回の燃費 4.18km/ℓ
総平均燃費 4.98km/ℓ

ホームグラウンドはサーキット

オウプナーズのGT-R Spec Vは、前回でも報告したように無事に慣らしも終え、順調に距離をのばしている。とはいえ、走行の舞台は街乗りがメイン。せいぜい深夜の交通量の少なくなった首都高速で、Spec Vの並外れたポテンシャルのほんの一部を垣間見るにすぎなかった。

このリポートのテーマのひとつに、1500万円超のジャパニーズ・スーパーカーが、日常の使用において同価格帯、もしくは同程度のパフォーマンスを誇るライバルたち──ポルシェ911ターボやフェラーリ430など──と同様のよろこびや満足を提供してくれるのか、というものを設けている。その点においては、Spec Vのある日々の生活をリポートしていくことで明らかにしていきたい。が、本来のホームグラウンドであるサーキットに持ち込まなければ、同車のポテンシャルや魅力をつまびらかにはできない。そこで、近い将来のサーキットデビューに備え、4点式シートベルトを装着することにした。

じつは以前、2007年型のノーマルGT-R、いわゆる初期型の基準車に乗っていたとき、日産自動車主催の走行会で仙台ハイランドを走ったのだが、左右前後へのGに対して3点式シートベルトでは身体の固定が不十分なため、周回を重ねていくうちに身体が疲労してしまった経験がある。そのとき、日産の開発ドライバーの方から、4点式に替えると身体への負担が激減するというアドバイスをいただいたため、今回、導入に踏み切ったのだ。蛇足ながら、一般道での走行には標準装備の3点式ベルトを使用する。

4点式か、6点式か

現在、日産プリンス東京販売のスペックV課では、ニスモ(NISMO)の4点式と、サベルト製6点式を取り扱っている。6点式では、両肩と腰部分以外に両足のあいだからベルトで固定するため、身体がずり上がるのを防ぐことができ、サーキット走行では安全度が増す。しかし、サーキットよりも一般道での使用をメインとしているオウプナーズGT-R Spec Vについては、6点式までは必要はないだろうと判断し、今回、4点式を装着することにした。

とはいえ、日産プリンス東京販売スペックV課で取り扱っているサベルト製6点式シートベルトは同社の特注品で、ノーマルの3点式シートベルトのバックルを利用するタイプ。つまり、普段の街乗り時には3点式のバックルとして使用しつつ、いざサーキットに足を運んだ際は、6点式の左腰部分から伸びるベルトを、バックルに差し込むことが可能な優れものだ。

プリンス東京亀戸店Spec V課のメカニック、山田浩章氏によれば、Spec Vのレカロ製フルバケットシートの場合、センターコンソールとシートの隙間が広いため、4点、もしくは6点式シートベルトを装着する際、専用のバックルを留めるアンカーボルトが装着しやすいが、ノーマルGT-RはSpec Vのレカロに比して肉厚なシートが装着されているため、シートとセンターコンソールのあいだに充分なスペースが確保できていないとのこと。純正の3点式シートベルト用バックルを利用するサベルト製6点式は、その意味で、まさにノーマルGT-Rにうってつけの一品と言えるかもしれない。ニスモブランドということで、9万9750円とやや割高な価格設定がなされている4点式に対し、7万8750円と割安なのも利点である。

リアシートのないSpec Vのほうが取り付けが容易

取り付け手順としては、まずシートベルトを取り外し、3点式シートベルトでバックルとして使用している左側のボルトを、アンカーボルトに交換し、4点式ベルトの左側シートベルトをフックでつなげる。同様に、3点式シートベルトの右腰部のボルトもアンカーボルトに替え、右側をフックで固定する。

さらに両肩からかける左右2本のベルトを固定する。その際、通常はリアシートのクッションを外してから2本のアンカーボルトを設置するのだが、リアシートレスのSpec Vについては、キルティングカバーを外すとボルトを通せる穴が露出するため、基準車より作業は容易とのこと。

いま述べたように、取り付け作業自体は加工など特殊な技術を要するものではなく、工具を所有していて日頃から趣味でクルマをいじっているひとならば、自分でも装着可能とのこと。ただし、その際はとくにシートの取り外し時にボディに傷をつけないよう、細心の注意を払って下さいとアドバイスしてくれた。

ちなみに、Spec V課では、シートベルトの持ち込みにも対応しており、その場合は工賃のみの支払いとなる(必要な部品が生じたい際は部品代も)。

はじめてのオイル交換

せっかくディーラーに入庫させたのだからと、シートベルト装着のほかに、2つのことをお願いした。まず第一に、エンジンオイルとオイルフィルターエレメントの交換である。

前出の山田氏によると、オイル交換の適切なタイミングは、街乗りメインの場合1万5000km、サーキットを走る場合は5000kmとのこと。しかし今回は、慣らし走行も終えてはじめてのオイル交換だったため、2500kmを超えたところで行うことにした。

ちなみに、サーキット走行で油温が130℃を超えてしまったら、本来の性能を発揮できなくなるため、すぐに交換したほうがいいとのこと。また、サーキット走行がメインの場合は、0.5リッターほど量を少なくするのだという。オイルが多いと、クランクシャフトでかき上げてしまい、その結果、油温が上がりやすくなるのだと、レース経験も豊富や山田メカニックはアドバイスしてくれた。

油脂類はすべてノーマルGT-Rとおなじ

気になる基準車、つまりノーマルGT-RとSpec Vとの比較についてだが、エンジンオイル、トランスミッションオイル、ともにまったく同様とのこと。トランスミッションオイルの話が出たのでつづけると、交換のタイミングは街乗りメインで6万km、サーキット走行をする場合は5000km。また、油温が140℃に達してしまったら、交換を推奨しているとのこと。

入庫に乗じてもうひとつお願いしたのは、フロントガラスのはね石のリペアである。納車早々に首都高速を走っていて、跳ねた石がフロントウィンドウを直撃した結果、3mm程度の傷が刻まれてしまったのだ。山田氏に診ていただいたところ、交換の必要はないとのころだったので、リペアをお願いしたわけだ。もちろん作業はSpec V専用で、なんてことはなく、マーチやキューブともまったくおなじ工程となる。特別ずくめのSpec Vゆえ、その事実に妙に安心した次第である。

今回の作業内容と料金

作業内容・使用部品 技術料 部品代
エンジンオイル&フィルターエレメント交換 7350円
モービル-1 0W-40 5.5l 1万7325円
オイルエレメント 1313円
ドレーンワッシャー 168円
シートベルト取り付け(ショートパーツ含) 1万2600円
NISMOレーシングハーネス 9万9750円
フロントウィンドウリペア 1万5750円
           
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