雪道での走破性に感嘆──スバル「ソルテラ」プロトタイプを雪上試乗|SUBARU
CAR / IMPRESSION
2022年4月1日

雪道での走破性に感嘆──スバル「ソルテラ」プロトタイプを雪上試乗|SUBARU

SUBARU SOLTERRA Prototype|スバル ソルテラ プロトタイプ

スバル「ソルテラ」プロトタイプを雪上試乗

トヨタとの共同開発で誕生したスバル初のSUV型BEV「ソルテラ」。2022年央にも発売が予定されているという同車のプロトタイプ試乗会が、群馬県みなかみ山中にある「群馬サイクルスポーツセンター(群サイ)」で開催された。2月末の同地で試乗会が行われるということなので、内容は当然ハードな雪上走行。その性能を確かめるべく参加してみた。

Text & Photographs by HARA Akira

スバルが主に開発を担当したのは電動4輪駆動システム

ソルテラの兄弟車となるのは、トヨタ「bz4X」。スバルとトヨタの協業という意味では、スポーツモデルの「BRZ」と「86」の関係が思い浮かぶが、そちらは水平対向エンジンを搭載していて生産もスバルが行うことから、スバル側の主導であることが見て取れる。
一方、今回の2モデルは、車体をはじめ、電気系や安全系など主要部分がトヨタ主導となっていて、スバルが担当するのは独自の「Xモード」を主体とする電動4輪駆動システムになるという。とはいえ、走りの部分で肝となるのは、結局はそこのところではないか。そんな期待を抱きつつ、深い雪の中でソルテラのステアリングを握った。
ソルテラは、全長4,690mm × 全幅1,860mm × 全高1,650mmというボディサイズで、車重は2トン前後のミドルサイズSUV。フロント駆動は150kWの1モーター、4駆は80kWのモーターを前後に搭載する合計160kWの2モーター式だ。広い床下には水冷式で総電力量71.4kWhのリチウムイオンバッテリーを敷き詰めていて、万一の場合でも冷却水が電池ケース内に入らないようにしたり、ショートしたりしないような保護対策を行っている。
エクステリアでbz4Xと異なるのは、スバルらしいデザインともいえるフロントの6角形ヘキサゴングリルとCシェイプの前後ライトだ。20インチの大きなタイヤ(FFは18インチ)を四隅に配し、SUVとしては低めのルーフラインを持っているので、全体としてかなりスポーティなイメージだ。
ドライバーズシートに乗り込んでも印象は同じで、足を前方に投げ出すようなドライビングポジションや、スタアリングの上側からみることになるトップマウントメーター(7インチ)のデザインが新鮮だ。また、リアの足元は広く、ラゲッジスペースも十分なサイズなので、万能選手的な使い方ができそうだ。
標高900メートル地点にある全長6kmの群サイのロードコースは、名前の通り自転車競技のコースとして使用されることもあるけれども、最近では4輪の走行会も頻繁に行われているようで、その道のユーザーにはメッカになっているとのこと。しかし今回は豪雪の中の圧雪路。タイトコーナーやアップダウンが多く、しかも整備されているのは車幅が1台半ほどしかなく、両側は硬い雪の壁。なので、普通のクルマならちょっと苦労しそうなコースレイアウトだ。

安心感抜群の走り

センターコンソールの円形のダイヤルシフトを右に回してDに入れ、その横にあるXモードボタンをオンにして早速スタート。タイヤはブリヂストンの最新スタッドレス「ブリザックVRX-3」で、そのグリップ力を差し引いたとしても4輪へのトラクションのかかり方が抜群なのが、走り出してすぐに分かる。
曲率に応じて20km/h 、30km/h、40km/hの速度制限表示があるコーナーにアクセスする際の減速では、パドルシフト(ソルテラの4駆モデルのみに搭載していて、トヨタは不採用)で回生量を強めにしてやればスーッと車速が落ち、それを過ぎた直線でアクセルをふみ込めば真っ直ぐにグイグイと加速していく。轍などで荒れた部分ではお尻を振って、トラクションコントロールが働いたことを示すオレンジの表示が一瞬表れるけれども、総じて安心感抜群の走りを披露してくれた。
コースに慣れたところで、回生が最大となるSペダルドライブ(いわゆるワンペダル)にモードを切り替えてみる。するとこちらはさらにいい。コースのほぼ全週にわたって、アクセルペダルだけで走破してしまったのだ。タイヤのグリップ能力を超えた走りはできないとしても、雪道をこんなに簡単に走りきってしまうとは。本当に驚かされた。
Xモードには、スバルだけの装備として、一定速度で悪路を走破できる「グリップコントロール」も搭載している。2km/h〜10km/hの間で2km/h 刻みで車速が設定でき、お試しの凹凸路では2輪が浮いた状態になってもトラクションをかけ続け、軽々とクリアしてみせた。
前後独立モーター式4輪駆動による雪道での走行性能の高さを満喫した後、開発を担当した小野大輔プロジェクトGMにそのことを伝えると、「まずはe-スバルグローバルプラットフォームの素性の良さが挙げられます。そしてエンジン車では解決できなかった4輪駆動の技術面が、応答の早い電動モーターを採用することによって簡単に超えることができた」からだという。
さらに「スバルの4輪駆動であるXモードはトヨタにも採用されましたが、パドルシフトやドライブモード、グリップコントロールなどはスバルだけが採用しました」と強調。また「足回りではダンパーの縮み側を固くすることでロールの少ないコーナリングができ、EPS(電動パワステ)の手応えを重めにすることで、直進性も抜群です。」とのことで、一般道でもポテンシャルの高い走りが楽しめそうだ。
トヨタbz4Xは、国内ではリースとサブスクのみの販売になるということがアナウンスされたが、ソルテラはどうなるのだろうか。また、同じセグメントでライバルとなるBEVが数多くデビューしているので、販売価格も気になるところ。発表を待ちたい。
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