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2021年12月9日
新型スバルBRZに試乗──BRZと86、それぞれの個性がきちんと確立されていた|SUBARU
SUBARU BRZ|スバル BRZ
フルモデルチェンジを受けた新型スバルBRZに試乗
姉妹車であるGR「86」に先駆け、7月29日に発売された新型「BRZ」。OPENERSではすでにプロトタイプのインプレッションをお届け済みだが、今回はデビュー後のプロダクションモデルに試乗した。
Text by OGAWA Fumio|Photographs by MOCHIZUKI Hirohiko
姉妹でなくてイトコぐらいになった感じ
スバルがトヨタ自動車との協働で作り上げたスバル「BRZ」。2021年7月に発売された新型は、トヨタ「86」と走りの味がけっこう違う。両社のコンセプトがけっこう明確に表れていて、“迷う楽しみ”を提供してくれているともいえる。
スポーツカー好きの読者にとって、今は、かなり楽しい時代ではないだろうか。日本にもイタリアにもドイツにも英国にも米国にも、楽しいモデルが多くあるからだ。上は億単位のモデルもある一方、200万円台で乗れてしまうのが、このスポーツカーなのだ。
2012年に登場した初代同様、この2代目も、スバル主導で開発が進められたという。エンジンは従来の2リッターに代わり、新開発の2.4リッター水平対向4気筒(新型WRX S4にも搭載)に、後輪駆動システムが組み合わされている。変速機はマニュアルとオートマチックが選べるのもうれしい。
車体サイズは、先代より全長で25mmのびた以外、全幅は同じで、全高は10mm下げられた。ホイールベースはわずか5mmのばされている。トレッドは前が同寸、後ろが10mm拡大された。重心髙は4mm下がっている。
私が初めて乗ったのは、プロトタイプ。夏にショートサーキットでの試乗だ。発売前のクルマをプロトタイプと呼ぶのは、自動車メーカーの通例で、実際は量販モデルと同じだったはず。そのとき印象深かったのは、トルクが少し太くなって走りやすくなったのと、カーブを曲がるときの自然で気持ちよい動きだ。
もう一つ、姉妹車であるトヨタ86との乗り味の違いにも、少々驚いた。初代は、どっちのブランドにシンパシーを感じているかが選ぶ基準だったといえるが、2代目は走りがけっこう違う。姉妹でなくてイトコぐらいになった感じだ。
BRZは、常に動きがなめらか。ステアリングホイールを切り込んだとき、車体が連続的にロールしていき、コントロールしやすい。リアサスペンションが異なるトヨタ86の方が、コーナリング中にさっとノーズが内側を向くとか、分かりやすいスポーティさがある。
BRZは、別の言い方をすると、少しゆるい。ステアリングホイールは超がつくほど敏感でないし、(86も同様だけれど)エンジントルクは急激でなく、ゆるやかに立ち上がっていく。足まわりは硬いけれど、これなら長距離も疲れにくく走れそうと、私には思われた。