世界でもっともパワフルなSUV「アストンマーティンDBX707」に試乗──オーバー700psのパワーがもたらす走りとは|ASTON MARTIN
CAR / IMPRESSION
2022年6月2日

世界でもっともパワフルなSUV「アストンマーティンDBX707」に試乗──オーバー700psのパワーがもたらす走りとは|ASTON MARTIN

いい意味で二面性を持つ

アストンマーティンの自慢は、前後の重量配分。「DBX707は前52で後ろ48。競合の大型SUV(フォルクスワーゲン グループのものばかり)はフロントが60に近くノーズヘビー。これだけを見ても、DBXがドライバーズカーであることを念頭に開発されているのが分かっていただけるはず」。試乗会のとき、アストンマーティンのエンジニアが説明してくれた。
山岳路の特に上りを駆け上がっていくときに、上記の言葉を思い出した。最大トルクは6000rpmで発生と、エンジン特性もスポーツカーなみだが、900Nmもあるので低回転域からたっぷり力を発揮してくれる。
カーブに入っていくとき、強力なカーボンセラミックブレーキを操作して、少しだけ前よりに荷重をかけしっかり操舵が効くようにし、すかさずパドルシフトでギアをポンポンッと落としていき、エンジン回転が3000rpmから4000rpmあたりをキープしてカーブを回っていくと、得も言われるという感じのコーナリングフィールだ。
出口が見えたら、アクセルペダルをさらに踏み込むと、そこからは胸のすくような加速が始まる。下りは、2トンある車重のせいで、小さなコーナーではあえて少しずつ車体が外にふくらむようにして橫方向のGを殺していく。それで、同乗者に不快な思いをさせないようにするためだ。
一人のときは、面白いほどのコーナリング感覚を味わえる。つまりDBX707は、いい意味で二面性を持つ。スポーツカーのような炸裂するパワーとコーナリングが楽しめるSUV。もうひとつの面は、快適なパセンジャーカーだ。
ドライブモードで「GT」(標準)を選ぶと、路面の凹凸を丁寧に吸収して、乗員の体が揺れないような快適性を発揮する。疲れず、どこまでも走っていけそうだ。サルディニア島でのドライブは一日400kmを超えたが、私はほとんどGTモードを選んでいた。
いま、ハイブリッドのハイパスポーツ「バルハラ」を間もなくローンチする予定のアストンマーティンでは、他のメーカー同様、環境適合性の高いパワートレインを鋭意手がけている。そこにあって、超ド級のガソリンエンジンを持つDBX707を送り出したのだから、自動車好きとしてはちょっとうれしい。

Spec

ASTON MARTIN DBX707|アストン マーティン DBX707

  • ボディサイズ|全長5,039×全幅2,050×全高1,680mm
  • エンジン|3,982ccV型8気筒
  • 最高出力|520kW(707ps) / 4,500rpm
  • 最大トルク900Nm / 6,000rpm
  • 駆動方式|AWD
  • 価格|3119万円
問い合わせ先

アストンマーティン
https://www.astonmartin.com/ja

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