世界でもっともパワフルなSUV「アストンマーティンDBX707」に試乗──オーバー700psのパワーがもたらす走りとは|ASTON MARTIN
CAR / IMPRESSION
2022年6月2日

世界でもっともパワフルなSUV「アストンマーティンDBX707」に試乗──オーバー700psのパワーがもたらす走りとは|ASTON MARTIN

ASTON MARTIN DBX707|アストンマーティンDBX707

アストンマーティンDBX707に試乗

アストンマーティンが最速、最強、最良のハンドリングを持つ究極のフラッグシップSUVと謳う「DBX707」に、モータージャーナリストの小川フミオ氏がイタリアはサルディニア島で試乗。オーバー700psのパワーがもたらす走りをリポートする。

Text by OGAWA Fumio|Photographs by AstonMartin

ポルシェ「911GTS」より加速が速い

スピードを求める人は、スポーツカーに乗る。そんな定石が過去のものになりつつある。アストンマーティンが2022年1月に発表した「DBX707」は、707psと超ド級のパワーを誇るSUVだ。4月にサルディニア島で試乗して、その性能にシビれた。
アストンマーティンといえば、読者の方々にも、英国を代表するラグジュアリースポーツカーとして有名だ。このメーカーがタダモノでないのは、SUVを手がけても、優れたプロダクトをモノにしてしまう点にある。
DBX707は、従来のDBXと共用の4リッターV8エンジンを搭載。最高出力は405kWから520kW(707ps)に、最大トルクは700Nmから900Nmにと大きく引き上げられている。それに9段のツインクラッチ式オートマチック変速機を組み合わせる。
ローマから飛行機で30分ほどのサルディニア島は、コスタスメラルダというリゾートでも知られている。読者のなかにも、訪れたことあるヨという方、少なからずいらっしゃるのでは。山がちな地形で、標高は高くないものの、起伏が多く、私は過去に何度も、欧州の新型車のジャーナリスト向け試乗会のために出かけたことがある。
コスタスメラルダのリゾートホテルに並べられていたDBX707は、迫力満点の外観だ。5,039mmの全長に2,050mmの全幅。全高は1,680mmあって、かつ豊かなふくらみを各所で強調されたボディは筋肉質という感じ。そこにもってきて、巨大なと言いたい23インチのタイヤがはめこまれている。
アストンマーティン・ラゴンダ社のトビアス・ムアーズCEOが、「DBXのポテンシャルは高い」とかつて語っていたのを、私は記憶している。そのとき、ひょっとしたらちょっとチューンナップしたモデルでも出るのかな、と思っていたが、実際に姿を見せたのは、707psの“超”高性能版だったのには驚いた。
サルディニアの道を走らせたところ、ひとことで言って、速い。データによると、ポルシェ「911GTS」より、静止から100km/hまでの加速が速い。特にドライブモードで「スポーツ」を選んでアクセルペダルを踏み込むと、納得する。頭が後ろにのけぞりそうな加速Gが味わえるのだ。
ハンドリングもきちんとエンジンの高性能化に対応。車体は低重心化が徹底しているので、カーブでは車体が路面に張り付くように回っていく。ステアリングホイールの切り込みに合わせて車体が反応するさまは、これがSUVですか、と驚くほど。
32 件