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2020年1月31日
オーナーが誇りを感じられるスポーツGT──新型レクサスLCに試乗|Lexus
Lexus LC500|レクサスLC500
新型レクサスLCに試乗
2017年にデビューし、レクサスの新たなる方向性を指し示すモデルとして大きな注目をあつめたラグジュアリークーペ「LC」。年次改良を受け進化した同車の2019年モデルに試乗した。
Text by OGAWA Fumio|Photographs by MOCHIZUKI Hirohiko
小さなスポーツカーのような俊敏さ
2台持ち、という言葉をクルマ好きはよく使う。どのモデルとどのモデルを車庫に並べるのが、自分にとって理想的か。それを考えるのが楽しい作業なのだ。
ブランドをレクサスに限っても、満足いく組合せができる。たとえば自分だったら、「RX」と「LC」だ。実用的で走りのいいSUVであるRXと、スポーツクーペのLCがあれば、クルマでの楽しみのほとんどすべてがカバーできそうだから。
メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、ポルシェそしてランボルギーニとアストンマーティンも、SUVとスポーツカーをラインナップに持つ。この選び方はグローバルに共通する趣味なのだろうか。
余裕あるサイズのボディを持つ、レクサスLCは、2017年に発売されたときから、魅力あふれたモデルだった。4,770mmとのびやかな全長に1,345mmと低く抑えられた全高の組合せが特長だ。
ロングフードと、後退したキャビンによる、オーソドクスなスポーツカーの美を感じさせるプロポーション。加えて、4,968ccのV型8気筒というマルチシリンダーエンジンと、後輪駆動のレイアウトも、あえて王道を行くというレクサスの自信を感じさせるものだ。
乗ったのは、2019年秋に小変更を加えられたLC500。351kW(447ps)の最高出力と540Nmの最大トルクを発生するガソリンエンジンモデルである。じつに切れ味するどい走りが楽しめるモデルなのだ。
そもそも、「デザインと走りの両立をめざした」と開発者が語るだけあって、LCは、見た目はGT的なのだが、走りは期待以上にスポーティ。他で例をさがすと、ポルシェ「911」が思いつく。
意外なほど操舵感が軽いステアリングホイールだが、走りだすとすぐに、繊細なフィールを感じるだろう。路面の状況を情報としてよく伝達してくれると同時に、ドライバーの意思をきっちりとクルマに伝えてくれる。
操舵に対するクルマの動きは中立付近から反応がよい。最大トルクは4800rpmで、というなかなか高回転型のエンジンだが、低い回転域でもしっかりと太いトルク感を味わわせてくれる。
すっと走りだし、そのあとはアクセルペダルの踏み込みに応じて、ぐんぐんとスピードを上げていく。俊敏さは小さなスポーツカーのようだ。回転を上げて走るのを楽しませてくれるエンジンのキャラクターで、スポーツカー経験者だったら特に、LCの魅力が堪能できると思う。
ライバルはブランドを象徴するような存在感のあるスポーツクーペ
カーブを曲がっていくときの車体の動きも見事である。操舵感覚は先に触れたように、もう少しステアリングが重めの方が好みだけれど、全体としては、車体の安定性といい、減速も、速度のピックアップ(加速)も素晴らしい。
街中ではやや大きめのサイズだけれど、高速のツーリングや、ワインディングロードなど、郊外に出ると、他に類のないスポーツGTとしての存在感が輝く。
19年の改良で、ステアリングホイールを切り始めたときの剛性感を上げたことをはじめ、速度が上がったときの車輪の接地性を向上させたと、開発担当者は教えてくれた。試乗すると「なるほど」と思ったのだ。
さらにガソリンエンジンのLC500では、アクセルペダルの踏みこみ量の増減に敏感に反応してスピードが増減する車速コントロール性も改良したという。サーキットでもかなり速いペースで走れるLCだけに、手を入れるところが、分かっている。つまり、クルマの提供価値を作る側がきっちり把握しているのだ。
レクサスには、いま、スポーツカーが2モデルある。LCより全長も全幅をわずかに小さいRCだ。フロントエンジンと後輪駆動というレイアウトは同じだが、エンジンがV6と直列4気筒。ややコンパクトだ(V8搭載でよりサーキット志向のRC Fは別格として)。
RC350とRC300hは、やはり運転が楽しめるいいモデルである。ただ欧米には、高級モデルはマルチシリンダー(V8かV12)という価値観が根強く残っている。そこで競合と勝負しようというV8のLCには、それなりの存在理由があるというわけだ。
繰り返しになるけれど、グローバルの競争でも、LCは光っている。それが試乗した感想だ。オーナーは誇りが感じられるスポーツGTである。このクルマを車庫に入れることができたら、幸福だと思う。
価格はLC500が1326万3148円から、3.5リッターV6に電気モーターを組み合わせたハイブリッドのLC500hが1377万2407円からとなる。ライバルでは、メルセデス・ベンツSL(1329万円〜)、BMW8シリーズクーペ(1260万円〜)、ポルシェ911(1377万2407円から)などがある。どれもブランドを象徴するような存在感のあるモデルだ。ライバルに不足なし、といったところだろう。
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