新型メルセデス ベンツ Cクラスに試乗──ものすごくパワフルで期待以上にスポーティ|Mercedes Benz
CAR / IMPRESSION
2021年10月28日

新型メルセデス ベンツ Cクラスに試乗──ものすごくパワフルで期待以上にスポーティ|Mercedes Benz

Mercedes Benz C Class|メルセデス ベンツ Cクラス

新型メルセデス ベンツ Cクラスに試乗

5代目へとフルモデルチェンジを受け、日本にも2021年6月に導入された新型メルセデス・ベンツCクラス。Sクラス譲りとなる先進のインフォテイメントシステムや内外装、そして最新の電動化パワートレーンが採用され大きく進化した同モデルに試乗した。

Text by OGAWA Fumio|Photographs by Mercedes Benz Japan

ボディは一回り大きくなりつつも、身のこなしは素晴らしく軽快

日本で人気の衰えないアッパーミドルセダン「メルセデス・ベンツCクラス」がフルモデルチェンジ。2021年6月に日本で発表されたモデルに、10月中旬になってようやく出合えた。結論は、期待以上にスポーティ。かつ、装備豊富で快適。セダン好きならぜひ試してほしい。
新型Cクラスの特徴をおおづかみに紹介すると、ボディの大型化、エンジンのパワフル化と低公害化、それに装備の充実、となる。またオプションの「AMGライン」を選ぶと、さらに後輪操舵システムを装着することも可能になる。
従来のCクラスに対して、全長は80mm伸びて4,785mmに、全幅はプラス10mmで1,820mm、全髙も5mm上がって1435mmになった。ホイールベースは25mm伸び2865mmに。トレッドは前が1590mm、後ろが1575mm。ともに15ミリ拡大している。
試乗したのは「メルセデス・ベンツC200アバンギャルド(AMGライン)」。エンジンは、新開発の1.5リッター4気筒ガソリンで、従来の1.5リッター(Eクラスも含む)とは別もの。最高出力は135kWから150kW(204ps)へと上がり、最大トルクは280Nmから300Nmへ。いっぽう、燃費はリッターあたり12.9kmから14.5kmへと向上している。
新しい1,494ccエンジンは、従来のエンジン同様、マイルドハイブリッドシステムがそなわる。ただし、これまではモーターとクランク軸をベルトがけで駆動するBSG(ベルトドリブン・スタータージェネレーター)だったのに対して、今回は48ボルトシステムを使ったISG(インテグレーテッド・スタータージェネレーター)となった点が新しい。
Cクラスのことをおとなしめのセダンと思っている人もいるかもしれない。でも今回のC200アバンギャルド(AMGライン)を操縦してびっくりした。ものすごく、と付け加えたいほどパワフルだ。
ISGの恩恵で発進からして勢いがいい。かつ、いいエンジンで、シュンッと上の回転域まで回るうえに、前記のような200psごえの数値への期待は裏切られない。ぐんぐんと加速する。そのときのエンジンの乾いた回転音が、またやる気を出させてくれる。
前後のトレッドは拡大したうえに、ステアリングレシオは従来よりクイックに。おかげで、太いグリップ径のステアリングホイールを操作してカーブの連続するような道を走ると、素晴らしく軽快な身のこなしを見せてくれる。

コーナリングの楽しさを引き上げてくれる「リアアクスルステアリング」

試乗したモデルは、ちょっと乗り心地が硬めに感じられる場面もあった。速度が上がって、かつ路面に起伏がある道だと、けっこう硬いかなと思うことがあったのだ。タイヤのサイドウォールが硬いせい、と日本法人の広報担当者は説明してくれた。
スポーティな仕様として人気の高い「AMGライン」には、オプションで設定される「リアアクスルステアリング」が、コーナリングの楽しさを数段引き上げてくれている感じだ。小さなコーナーでもくいくいと気持ちよく回っていく。
車速に応じて前輪の舵角に対して後輪に角度をつけるシステムだ。時速約60km以下だと、前輪とは逆位相に後輪が動くことでホイールベースが短くなったのと同じ効果を。つまり狭い場所での取り回しが向上するのだ。
メルセデス・ベンツによると、最小回転直径がなんと40cmも、未装着車よりも小さくなるという。1970年代のメルセデス・ベンツ車は、高精度なジョイントを前輪に採用して、ものすごく大きな舵角を実現していたものだ。新しい世代は、電子の力でとり回しを向上させているのに、時の流れを強く感じる。
一方で、時速60kmを超えると、後輪は前輪の舵角と同位相に動く。そのことで走行安定性が高まる。従来のCクラスもとてもいいクルマだと思ったものの、最新モデルは技術力で引き離している。
インテリアは、新型Sクラスのように、12.3インチの平面メーターパネルと、11.9インチのメディアディスプレイの存在感が大きい。音声対話式コマンドでエアコンやナビゲーションシステムの操作ができる「MBUX」は、聞き取りの精度が上がった感じだ。
かつ、指紋や声紋での生体認証システムが組み込まれる。これによって、シートポジション、コクピットディスプレイの表示スタイル、ステアリングホイールやドアマウントミラーのポジションや、ペアリングする携帯情報端末など、登録されたとおりに整う。
携帯情報端末を経由して、ウィンドウやスライディングルーフの開閉、ドアの解錠と施錠、ナビゲーションシステムの目的地設定が行える。駐車した場所も地図アプリに表示される。カメラの画像と組み合わせたARナビもオプションで搭載できる。
運転という原初的なクルマの楽しみがより向上しつつ、最新のデジタル化も抜かりない。そこがCクラスの最大の特徴。燃費は、従来はリッター12.9kmだったのに対して、新型では同14.5kmに。つまり走行距離あたりのCO2排出量が下がって、環境性能が高くなっている。
価格は「C200アバンギャルド」で654万円から。遅れて、2リッターディーゼル「C200dアバンギャルド」と、プラグインハイブリッド「C350eアバンギャルド」が投入される。
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