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2021年7月20日
若々しくて楽しいSUVだった──キャデラック「XT4」に試乗|Cadillac
Cadillac XT4|キャデラック XT4
キャデラックが満を持して導入したコンパクトSUV「XT4」に試乗
キャデラックが競合ひしめくコンパクトSUV市場に満を持して導入したコンパクトSUV「XT4」。同モデルの真価を確かめるべく、モータージャーナリスト小川フミオ氏が試乗した
Text by OGAWA Fumio|Photographs by KAWANO Atsuki
落ち着きも欲しい人はXT5、運転を楽しみたい人ならXT4
キャデラックと聞くと、いまの世代だとSUVのブランド、と思うかもしれない。実際、全長5.4メートルのフルサイズSUV「エスカレード」は米国で大変好調なセールスとか。一方、日常生活で使いやすいサイズのSUV「XT4」が、2021年1月に日本で発売開始され、試乗することができた。元気のいい楽しいSUVである。
キャデラックXT4に乗った感想を一言で言うと、重厚長大さの正反対。軽快なフットワークを持つ、若々しいモデルである。15年に発表されたXT5の下に位置しながら、乗った印象はけっこう違う。落ち着きも欲しい人は、XT5を、運転を積極的に楽しみたい人なら、XT4の選択は大いにアリだと思う。
このところ、発売されるSUVは大型化の傾向にあったものの、ようやくというか、そのトレンドが一段落。東京をはじめとする日本の市街地でも扱いやすいサイズのSUVに人気が集まるようになっている。輸入車のなかで競合を探すと、メルセデス・ベンツGLA(全長4.4メートル)およびGLB(4.6メートル)、BMW X1(4.5メートル)、アウディQ3(4.5メートル)、それに、ボルボXC40(4.4メートル)という具合。ドライブの面でも強豪ぞろいだ。
ファッションの世界をはじめ、このところ、ブランドが若返りに積極的だ。老舗の欧州メゾンが、米国のヒップホップやボードカルチャーの人気ブランドとダブルネームで製品を手掛けるなど、時代に合わせて変革が起きている。
キャデラックも、XT4は30代のユーザーにも積極的に乗ってもらいたい、とキャデラックがするように、従来の“ダッドカー(お父さんのクルマ)”なる固定概念から脱却を試みている。
日本ではあまり話題になってこなかったものの、実際に米国ではイメージチェンジは奏功。新しい技術に積極的な、走りが楽しいプロダクトなる存在感をうち立てた。一方、キャデラックのSUVに乗っている、というイメージを楽しもうという人がいても不思議ではない。
スタイリングでも、若々しさには背景がある。キャデラックのマネージメントは、若いデザイナーを集めて、“自分たちの年代のカスタマーにアプローチしたいスタイルをデザインしてほしい”と要求したのだとか。
XT4は、テールゲートが前傾したクーペライクなプロファイル(サイドビュー)が特徴。フロントマスクは、LEDのヘッドランプに、大型のエアダムを備えた最新のキャデラック顔を持ち、ボンネットには大きなパワーバルジと、なかなかアグレッシブだ。