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2019年9月9日
大幅に進化した新型レンジローバー イヴォークに試乗|Range Rover
パフォーマンスと経済性を鑑みるとP300 MHEVが割安
走り出すと、既存のドイツ車のMHEVがそうであるように、電気モーターからガソリンエンジンに駆動力が切り替わる瞬間は、アクセルを踏んでタイヤが回転するかそこらの相当に早い段階で訪れるが、シームレスで体感できるショックを伴うものではない。裏を返せば、それだけなめらかなのだ。
乗り心地にも角がなく、頑健さをウリにするSUVにありがちな「タフガイぶった」上下動は感じられない。振動を抑える方向で新設計された、ハイドロブッシュ入りのマクファーソン式フロントサスペンション、そして適度にレスポンスのいいリアサスペンションの効能だろう。
しかも足回りの美点は快適性だけではない。ワインディングでの振舞いにおいても、近頃のSUVに多いヒュンヒュンと素早いハンドリングではないが、適度にキビキビとしつつジワリとロールを抑えてくれるセッティングなので、ある程度の速度域でも怖さがない。
降りた後で分かったことだが、P300 MHEVに備わる「アクティブ ドライブライン」と名付けられたトルク配分システムは、デフォルトがフロント50:リア50、状況に応じて前後左右へとトルクを割り当てるベクタリング効果もある。
試乗は舗装路のみながら、時折大雨が降る天候だった。にもかかわらず、ワインディングでの安定感と落ち着いたハンドリングは、このシステムが効果的に働いた証拠だろう。というのも、通常モデルに備わるもう一方の「エフィシェント ドライブライン」は、デフォルトでフロント60:リア40となり、安定して走行している場面では前輪駆動のみ、つまり車重のあるFFといった具合なのだ。
確かに、「テレイン レスポンス2」という、可変ダンピング切替えや、泥や砂地といった悪路モードを7つの制御で選べる最適化機能は、全車標準で備わるようになった。元から後輪側の駆動配分が強めの、ダイナミック志向のハンドリングをもつという意味でも、MHEVを積極的に選ぶべきだろう。
ちなみにP300 MHEVのWLTPモード(欧州基準)値は17.9㎞/ℓで、WLTC(国内基準値)のデータはまだ申請中につき未発表。だがP250ではWLTP値で10~10.7㎞/ℓ、WLTC値は8.9㎞/ℓとなる。つまり燃費でもはるかにマイルドハイブリッド版が優れるだろうが、車両価格はP250に比べ全グレードともプラス54万円。8割近いエフィシェンシ―の優位性に加え、ドライビングファンも付いてくることを鑑みると、MHEVが戦略的に割安なプライスタグが与えられているといえるだろう。
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