RANGE ROVER |レンジローバー(後編)|あたらしいジャンルのスポーツカー
CAR / IMPRESSION
2015年4月13日

RANGE ROVER |レンジローバー(後編)|あたらしいジャンルのスポーツカー

RANGE ROVER|レンジローバー(後編)

あたらしいジャンルのスポーツカー

レンジローバーヴォーグ、レンジローバースポーツが新エンジンを搭載し、さらに走行性能が向上した。試乗記後編では、主に「スポーツ」の印象についてお送りする。

文=小川フミオ写真=吉澤健太

2.5トンの車重を感じさせない走り

今回の試乗で、とくにうれしい驚きがあったのがあたらしいレンジローバースポーツ・スーパーチャージドとの出合いだ。「スポーツ」にも、375ps/6500rpm、52.0kgm/3500rpmの5リッターV8と、おなじ排気量でさらにスーパーチャージャーを備え510ps/6000~6500rpmと625kW(63.8mkg)/2500~5500rpmの2タイプが用意される。

「スポーツ」はレンジローバーヴォーグと比較してホイールベースが135mm短い2745mm、全長が175mm短い4795mmとコンパクトな車体でスポーティなドライビングを楽しみたいユーザーのために開発されたモデルで、今回エンジンは「ヴォーグ」と共用化されても、根幹のところは変わっていない。

レンジローバースポーツ・スーパーチャージドの魅力とは、新しいジャンルのスポーツカーと思えるほどドライビングの楽しさを味わわせてくれるところにある。ホールド性のいい革張りシートにからだをあずけて、アクセルペダルを踏み込んで発進したとたん、即座にまったく別ものとわかる。2500rpmから最大トルクを発生するエンジンは強力な駆動力をクルマに与え、2.5トンの車重を感じさせない。

まるで2座のスポーツカー

かつもうひとつ特筆すべきがハンドリング。かすかな抵抗感をもつハンドルを押していくと車体は敏感に反応して向きを変える。ロールは適度に抑えられているので、狙ったラインをはずすことがない。ぐいぐいと加速していくうえ、ドライバーの意志に忠実に動くため、じつに軽快。4人の大人が快適に乗れる大きなキャビンをもつクルマであることを忘れて、まるで2座のスポーツカーを運転しているような感覚すらある。そのため、あまりにこころがはやりすぎるドライバーのことを考えて、クルマが過激な入力(アクセルの踏み込みすぎやハンドルの急激な切り込み)を予測して動きを抑制する「アダプティブダイナミクス」という電子技術も今回採用されている。

レンジローバースポーツは、これまでスポーツというコンセプトに従ってインテリアがシンプルにまとめられていたのだが、これに対する不満がユーザーのあいだにはあったらしい。今回は「ヴォーグ」に準じるウッドとレザーによる華麗な世界が展開されるようになった。車体色は地味めにして、ドアを開けると2トーンの組み合わせのシートで驚かせるなんていうのも楽しいかもしれない。個人的にはパンチングされたパーフォレーテッドレザーを選びたい。通気性という機能と、手触りという感覚的なよさを併せ持っているからだ。

レンジローバースポーツには、今回、V8に754万円という「戦略的な価格」(ランドローバージャパン)が設定された。375psと過剰なパワーこそないが、ハンドリングのよさと居住性という点では大きな魅力がある。その意味では、こちらもいい買い物になるはずだ。おなじグループに属するジャガーとともに心境著しいレンジローバー。いまさら、と思っているひとは、いちど「スポーツ」を試してみてほしい。クルマはこんなに楽しいのか、と思えること請け合う。

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Range Rover Sport Supercharged|レンジローバースポーツ・スーパーチャージド
ボディ|全長4795×全幅1930×全高1810mm
エンジン|5ℓ V型8気筒DOHC+スーパーチャージャー
最高出力|375kW[510ps〕/6000~6500rpm
最大トルク|625Nm[63.8kgm〕/2500~5500rpm
駆動方式|4WD輪駆動
トランスミッション|6AT
価格|1104万円

ランドローバーコール
0120-18-5568

           
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