BMW i8でアメリカ西海岸を走る|BMW
CAR / IMPRESSION
2015年1月13日

BMW i8でアメリカ西海岸を走る|BMW

BMW i8|ビー・エム・ダブリュー i8

ルイ・ヴィトンと価値観を共有するクリエイティビティ、技術革新、スタイル

BMW i8でアメリカ西海岸を走る

プラグインハイブリッドという最新のパワーソース、カーボンファイバーのシャシー、そして複雑な造形のエクステリアをまとった、BMW「i8」。そのクリエイティビティ、技術革新、スタイルは、ルイ・ヴィトンが共通の価値観を見出し、専用のバッグを製作するほど。あらたなサブブランド「BMW i」まで立ち上げ、いままでの枠組みにおさまらないことを主張するi8に、九島辰也氏がアメリカ・カリフォルニアで試乗した。

Text by KUSHIMA Tatsuya

街中でも注目を浴びるi8

久々のパシフィックコーストハイウェイ。およそ2年ぶりである。街を見ると、タクシーを含めプリウス天国だったココ少し様変わりした気がする。おなじエコカーでもテスラ「モデルS」やレクサス「RX450h」のようなラグジュアリーテイストをもったクルマが増えていた。きっと景気も上向いているのだろう。

そんななか、BMW「i8」を走らせたものだから大変。信号で止まるたびに大きな声で隣のクルマが質問してくる。こちらが窓を閉めてようとおかまいなしだ。おもしろいのは、彼らがi8をハイブリッドカーだと認識していること。問いかけのほとんどが燃費の話。当然、ガロン単位じゃ即答はできない──

そういった環境もあって、BMWは新型i8の国際試乗会をカリフォルニア州サンタモニカを基点におこなった。排出ガスにかんして世界でもっとも規制の厳しいこの場所が、最大のお得意様となるからだ。それにこのスタイリング。ちょっと走っただけでも、アメリカ人に大ウケなのを実感した。

BMW i8の目玉は大きくわけて3つある。シザードアを持ったスーパーカーのようなスタイリングと先進のカーボン技術、それとプラグインハイブリッドテクノロジーである。パッセンジャーセルはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製で、高剛性と軽量化を実現した。パワーソースはすでにご存知の方も多い、BMWツインパワーターボ テクノロジーの1.5リッター3気筒ガソリンエンジンと電気モーター。最高出力は231ps+131psで、362psに達する。

BMW i8|ビー・エム・ダブリュー i8

ルイ・ヴィトンと価値観を共有するクリエイティビティ、技術革新、スタイル

BMW i8でアメリカ西海岸を走る (2)

意のままにこのボディを操れる

では実際に走らせるとどうなのか。

シザードアを開けて高いドアシルを避けるようにして乗り込む。コツはお尻から入ること。足から入れようとすると、頭がドアに当たりそうになる。座ると、さすがにアイポイントは低い。が、それほど違和感はない。操作系はすべてにおいてスムーズでかつ静か。なので、こんなカタチだが荒々しいエキゾチックなスーパーカー的要素はない。

がしかし、走らせてはじめてわかったのだが、エンジン音と排気音がじつはめちゃめちゃいい。えっ?と思うくらいレーシーなサウンドが耳に届いた。

すかさず開発者にその辺を問うと、音のチューニングをしていることがわかった。エンジン音を意図的にキャビンに入れ、さらにそれをスピーカーシステムで拡幅しているそうだ。マツダ「アテンザ」あたりも使っている手法である。ただ、彼らはこうも言った。6シリンダーを半分にした3気筒はそもそもいい音なのだと。

加速は電気モーターが太いトルクを発生するためものすごく速い。いわゆるEV的加速でシートにカラダを押し付けられる感がある。それでもBMWは、彼ら独自のテクノロジーでそれをコントロールする。通常アクセルオンで最大トルクを発生するモーターを、よりリニアにパワーが出るようセッティングしているのだ。なるほどBMWらしいこだわりである。

また、スポーツモードにすると積極的にエンジンを使うのだが、ここでも専用のモーターがそれをサポートする。なので、1.5リッター3気筒といってナメテはいけない。0-100km/h加速は4.4秒を切る。最高速度250km/hも文句なし。実際はもっと出るそうだが、熱対策としてあえてそこに設定しているという声も聞こえてきた。

ハンドリングはまんまBMW。50:50の前後重量配分はしっかり施された。操舵に対する応答性はすばらしい。フロントの軽さとキャビンの軽さが、そのまま反映されているようだ。ドライバーは意のままにこのボディを操ることができる。

BMW i8|ビー・エム・ダブリュー i8

ルイ・ヴィトンと価値観を共有するクリエイティビティ、技術革新、スタイル

BMW i8でアメリカ西海岸を走る (3)

ルイ・ヴィトンがこのクルマ専用のカーボンファイバー製トラベルバッグを製作したのだ。もちろん、オマケと言ってもタダで付いてくるのではなくそれなりのプライスタグが付くが、専用アイテムはオーナーにとって嬉しい贈り物。ラゲッジの寸法に合った2つのトラベルバッグとビジネスケース、ガーメントバッグからコレクションが構成される。

このコラボについてルイ・ヴィトンのスペシャルオーダー部門総責任者パトリック・ルイ・ヴィトン氏はこう言ったそうだ。「今回のコラボレーションはクリエイティビティ、技術革新、スタイルという双方に共通する価値観が見事に凝縮されています」と。

なるほど、進化の歩みを止めない老舗ブランドならではの共通認識とでも言おうか。個人的にはこれでBMW i8が単なるオタククルマでなくなった気がする。メゾン系ブランドも認めるファッショナブルさがそこにあるのではないだろうか。ルイ・ヴィトンとのコラボレーションもまたカリフォルニアあたりで話題になりそうなニュースである。

BMW i8|ビー・エム・ダブリュー i8
ボディサイズ|全長 4,689 × 全幅 1,942 × 全高 1,298 mm
ホイールベース|2,800 mm
重量|1,490 kg以下
エンジン|1,499 cc 直列3気筒 直噴DOHC ターボ
最高出力| 170 kW(231 ps)
最大トルク|320 Nm(32.6 kgm)
モーター最高出力|96 kW(131 ps)
モーター最大トルク|250 Nm(25.5 kgm)
システム最高出力|266 kW(362 ps)
システム最大トルク|570 Nm
トランスミッション|6段オートマチック
駆動方式|4WD
タイヤ 前/後|195/50R20 / 215/45R20
0-100 km/h 加速|4.5 秒
最高速度|250 km/h
EV時最高速度|120 km/h
燃費|2.5 ℓ/100 km(およそ40km/ℓ)
CO2排出量|59 g/km
走行可能距離|500 km 以上
EV走行可能距離|約35 km
価格(消費税込み)|1,917 万円

           
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