あたらしい4シリーズ クーペに試乗|BMW
BMW 4 series coupe|ビー・エム・ダブリュー 4シリーズ クーペ
ライフスタイルを彩るスペシャリティ
あたらしい4シリーズ クーペに試乗
新型「3シリーズ」が登場してからすでに2年が経過し、ようやくその2ドアクーペが、「4シリーズ クーペ」と名前をかえて登場した。セダンとのちがいを明確にするワイド&ローなプロポーションと、それをより視覚的に補強するデザインがほどこされたこのあたらしいクルマは、その差異をどのように表現したのか。国内上陸に先がけ、ポルトガルで試乗した渡辺敏史氏のリポート。
Text by WATANABE Toshifumi
セダンから派生したクーペを、スポーツモデルに昇華させたBMW
セダンのプラットフォームを使ってつくられる3ボックスのオーソドックスなノッチバッククーペ。これはBMWが昔から得意とするジャンルのクルマだ。「2002」や初代「6シリーズ」──と挙げれば、それらにおもい焦がれたという方もいらっしゃることだろう。ボクシーなフォルムのディテールには繊細な美麗さが宿る、そんなデザインに包まれたのは、レーシングカーをも彷彿とさせるパワーと官能性に満ちたエンジンだ。BMWが手掛けるクーペは、この2つが魅力の芯となっている。
おもえばDセグメントにおいて、クーペのカテゴリーを切り拓いたのもBMWだ。おなじ「3シリーズ」でもドアが少ない分だけ廉価という2ドアセダン的位置づけだったグレードをベースに、M3というスポーツモデルを生み出したのはいまから30年ちかく前。
以来、3シリーズの2ドアクーペは専用デザインを与えられるようになったこともあって、セダンとは一線を画するパーソナリティを築き上げた。
そしていま、メルセデスやアウディ、インフィニティなどがフォロワーとして名乗りをあげたこのカテゴリーで、3シリーズクーペは名を「4シリーズ」と改めフルモデルチェンジを迎えることとなったわけだ。
BMW 4 series coupe|ビー・エム・ダブリュー 4シリーズ クーペ
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あたらしい4シリーズ クーペに試乗 (2)
ただ2ドアにしただけではない
4シリーズのベースとなるモデルはF30系の現行3シリーズと、その関係は以前とかわりない。が、フロントセクションは剛性強化にくわえてマウント類の位置見直しもおこなうなど、ボディ構造にも細かく手が入れられた。さらに、サスペンションは標準仕様でも3シリーズのそれより10mm低い設定となり、結果的に重心高はZ4あたりとも相違ない500mm以下へと低められている。
ホイールベースは3シリーズと同様ながらリアトレッドは1,595mmへと拡大。10mmの全幅拡大にくわえてフロントオーバーハングも縮められるなど、4シリーズのスタイリングは寸法レベルでベースモデルと微妙な差異がつけられた。もちろんこれらは運動性能へのこだわりによるものだが、それにあわせてノーズ&テール回りも低められたデザイン処理がほどこされており、結果として3シリーズとの差異を一目瞭然で伝えるワイド&ローなプロポーションを得ている。
いっぽうで、内装にかんしては従来モデルと同様3シリーズのそれを踏襲しており、やや物足りない印象。クーペならではの意匠や演出を適度にくわえて欲しいところだ。
搭載されるエンジンは本国仕様において、ガソリンが306psを発揮する3リッター直6ツインパワーターボと、245psを発揮する2リッター直4ツインスクロールターボの2種類。ディーゼルが184psを発揮する2リッター直4コモンレールディーゼルターボの計3種類となり、各々トランスミッションは6段MTも用意される。
日本仕様は当面2種のガソリンエンジンモデルが「435i」「428i」として展開。組み合わせられるミッションはBMWが幅広く採用するZF製の8段ATのみだが、この4シリーズではあらたにコースティング機能がくわえられており、更なる燃費の向上に寄与することになる。
BMW 4 series coupe|ビー・エム・ダブリュー 4シリーズ クーペ
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あたらしい4シリーズ クーペに試乗 (3)
高速・高負荷域で発揮される真価
走りはじめてまず気づくのは、3シリーズにたいしてクルマの動きがより上質に、かつスキッと爽快なフィーリングに仕上がっていることだ。
鋭利な段差を越えたさいに伝わる衝撃の減衰感が素早く、おおきな凹凸を越えてのピッチングが綺麗に収束するあたりからは、サスペンションの専用チューニングにくわえてフロント回りを中心としたボディ剛性の強化がしっかり効いていることがうかがえる。この変化にくわえてジオメトリーの微妙なチューニングも奏功しているのだろう、ごく低速域からのステアリングフィールの清涼感も、3シリーズとはや趣を異にした上質さがそなわっている。
さらに4シリーズの運動性能は、高速・高負荷域にむかうほど3シリーズとの差をはっきりとみせる。試乗車は435iのみとなったが、量自体は適度に抑えられながらも人為的な規制感をにおわせないロールバランスにインフォメーションも豊富、そしてタイヤのブレークポイントに至るまでひたすらニュートラルなコントロール性を崩さない。
FRとして模範的マナーを持ちながら「クーペ」に期待される軽快感もしっかり織り込まれた、BMWらしい纏めぶりはライバルにたいしての明確な個性ともいえる。
もちろん回して気持ちがいいのはまちがいなく6気筒=435iの方だ。が、ターンインも素直かつタイトコーナーの連続でもノーズの重さを感じさせないところをみると、4気筒=428iならさらにクリーンかつシャープな操縦性を望めるのではないかという欲もわいてくる。
フィーリングでは劣れどパワーは428iでもじゅうぶん以上のところが確保されるわけで、両車の選択は全域での余裕や上質感をとるか、軽さがもたらす爽快感をとるかということになるだろうか。
さもすれば悪目立ちしてしまうスポーツカーほどの主義・主張は望まずとも、スポーティな走りにたいする欲求は満たしたい。あるいは愛車の選択の自主性はちゃんとにおわせたい。おもえば代々の3シリーズ クーペは、そういうニーズにしっかりと応えてきたクルマだ。その立ち位置はあたらしい4シリーズでもまったくかわることはない。肩肘張らないライフスタイルを彩るスペシャリティとして、これまでとかわらぬ支持を得ることになるだろう。
BMW 428i Coupe|ビー・エム・ダブリュー 428i クーペ
ボディサイズ|全長4,640 × 全幅 1,825 × 全高1,375 mm
ホイールベース|2,810 mm
トレッド 前/後|1,550 / 1,600 mm
重量|1,570 kg
最低地上高|130 mm
エンジン|1,997 cc 直列4気筒 直噴DOHC ターボ
最高出力| 180 kW(245 ps)/ 5,000 rpm
最大トルク|350 Nm(35.7 kgm)/ 1,250-4,800 rpm
トランスミッション|8段オートマチック
駆動方式|FR
タイヤ 前/後|225/45R18
燃費(JC08モード)|15.2 km/ℓ
トランク容量|445リットル
0-100km/h加速|5.8 秒
価格|604万円 / Sport 624万円 / Luxury 646万円 / M Sport 644万円
BMW 435i Coupe|ビー・エム・ダブリュー 435i クーペ
ボディサイズ|全長4,640 × 全幅 1,825 × 全高1,375 mm
ホイールベース|2,810 mm
トレッド 前/後|1,550 / 1,600 mm
重量|1,620 kg
最低地上高|130 mm
エンジン|2,979 cc 直列6気筒 直噴DOHC ターボ
最高出力| 225 kW(306 ps)/ 5,800 rpm
最大トルク|400 Nm(40.8 kgm)/ 1,200-5,000 rpm
トランスミッション|8段オートマチック
駆動方式|FR
タイヤ 前/後|225/45R18
燃費(JC08モード)|12.7 km/ℓ
トランク容量|445リットル
0-100km/h加速|5.1 秒
価格|738万円 / Sport 754万円 / Luxury 758万円 / M Sport 774万円
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