ラングラー ルビコンでルビコン トレイルを走る|Jeep
Jeep Wrangler Rubicon 10th Anniversary Edition|
ジープ ラングラー ルビコン 10th アニバーサリー エディション
JEEP最高のオフローダー
ジープ ラングラー ルビコンでルビコン トレイルを走る
ジープのラインナップにおいて、最高のオフロード性能を誇る、本格クロスカントリービークル「ラングラー」。ジープらしさにあふれる、アイコニックなモデルだ。「ラングラー ルビコン」は、そのラングラーのバリエーションモデルであり、ジープの故郷ともいべき悪路中の悪路“ルビコン トレイル”にその名の由来を持つ特別仕様。日本でも8月3日から、100台限定で販売されることになった、このモデルを、九島辰也氏が、ひと足はやく、ルビコン トレイルで試してきた。
Text by KUSHIMA Tatsuya
COKE and JEEP and USA
ジープの本場といえばアメリカ。アメリカ陸軍のオファーから生まれたそれはまさに彼の国の象徴ともいえる。かつて日本でおこなわれたアメリカブランドの認知度調査ではコカ・コーラに次ぐ高い数値を得たほどだ。
ただ、こんにち生産台数の83パーセントがアメリカ以外で売られていることを鑑みれば、そうともいえなくなってきた。他のブランド同様ボーダーレスな領域に突入したのかもしれない。
走るは聖地 ルビコン
メディア向けにおこなわれたこのイベントは、カリフォルニアの山の中、タホ湖の周辺を開催地とした。
そう、そこはルビコン トレイル。ジープ ジャンボリーやジープのオフロード技術のテストにも使われる場所だ。個人的にもここは印象的で、1998年に訪れた際、ジープの高い走破性に驚かされたのを記憶する。帰国後すぐにラングラーを購入。その世界にハマったのであった。
ちなみに、ジープ ジャンボリーは1953年に155人のジープファンがこの地を走ったことが起源とされる。シエラ山脈方向からレイク タホに向かったルートがそれで、後にルビコン トレイルと名付けられた。全長は35km。それをジープ ジャンボリーではキャンプしながら一晩かけて走る。
といった場所に赴いたのは、ラングラーのオフロード用ハイスペックモデル、「ルビコン」が10周年を迎えたから。その10thアニバーサリーモデルの試乗が今回の目的だ。
Jeep Wrangler Rubicon 10th Anniversary Edition|
ジープ ラングラー ルビコン 10th アニバーサリー エディション
JEEP最高のオフローダー
ジープ ラングラー ルビコンでルビコン トレイルを走る (2)
ジープ ラングラー ルビコンとは
では、まずラングラー ルビコンについておさらいしよう。
このモデルの特徴は電子式のディファレンシャルロックを持つこと。4WDをパートタイムにすればセンターデフがロックされるが、ボタン操作でリアデフ、さらにはフロントデフまでロックできる。
また、4WDローレンジのギアレシオが4:1というのもウリ。きっと市販車ではトップにちがいない。
このほかではフロントのスイングアームをフリーにする装置がある。足を伸ばしてタイヤの接地面を稼ぐためのものだ。これは主にロックセクションで効果を発揮する。バハ1000を走るモンスターオフローダーを見てもわかるように、足の長さ(ストローク長)は走破性の決め手となる。
そして10thアニバーサリーモデルはさらにオリジナルのバンパーを付けることでアプローチやディパーチャーアングルをかせぐことに成功した。フロントの左右を切り取りセンターにスチール製のウィンチを付けたのがそれだ。
さらにこいつはBFグッドリッチのマッドテレインタイヤを標準装備する。まぁ、日本ではこのバンパーとタイヤをそのまま標準装備して売るのは厳しいだろうが、やはり“本場”はやることがちがう。
CJ型、YJ型、TJ型と長くラングラーをウォッチしてきたが、こんなのははじめて。ある意味アメリカンではあるが、その反面イタリアンな気がしなくもない……
それはさておき、実際にルビコントレイルを走った印象に話を移そう。
Jeep Wrangler Rubicon 10th Anniversary Edition|
ジープ ラングラー ルビコン 10th アニバーサリー エディション
JEEP最高のオフローダー
ジープ ラングラー ルビコンでルビコン トレイルを走る (3)
こんなクルマはほかにはない
まず試乗車はルビコンではあるが4ドアのアンリミテッドであった。つまり、2ドアよりロングホイールベースのため走破性は落ちるが、逆に乗り心地がいいというメリットがある。というか、アンリミテッドの全長でルビコントレイルをクリアできるのだから、ラングラー自体の能力の高さがうかがえる。
なので、小石が散りばめられた道ではガンガンアクセルを踏めるのが利点。それでもクルマが勢いよく上下するが2ドアよりはマシだ。そして山中に入っていくのだが、醍醐味はなんといってもロックセクションにほかならない。
しかも、川の水で少々ぬかるんでいる状態が底力の見せ所となる。
センターデフをロックした状態だけではトラクションが抜けそうな場面でリアデフまでロックすれば一応は突破できる。このときのグググっとマッドテレインタイヤが路面を駆る動きが好きだ。これまでアメリカ大陸はもちろん、アフリカ大陸までオフロードコースを走ってきたが、この感覚はたまらない。
またこのときリアの足がイメージ以上に長く感じられるのもいい。一般的にリジッドアクスルは“短足”な印象が強いがそうではない。そういえば、四輪独立懸架の「レンジローバー」もコンピューターは仮想的にリジッドアクスルの動きをつくるといっていた。
45度はあるとおもえるヒルクライムやダウンヒルでの走りもこのクルマならではの動きを見せる。
それは4:1というウルトラローギヤードならではのもの。真っ逆さまにおもえるダウンヒルでアクセルに足をかけて下りられるのだからビックリ。時速1kmを足で調整できるクルマをほかに知らない。
といった感じでオフロードをスペックのチェックをおこないながら一日半走った。なるほど、市販車とはおもえないヘビーデューティなモデルだ。
ただ、アメリカでも日本とおなじように、ジープとて台数を稼ぐのは都心部。その意味じゃオーバースペックであるのは間違いない。
とはいえ、実際は使わない600馬力や700馬力のスーパーカーが乱立する昨今、それらをオフロードに置き換えたモデルが登場しても不思議ではない。ということで、15年ぶりにまたまたハマりそうなジープワールド。その媚薬にやられっぱなしである。
Jeep Wrangler Unlimited Rubicon 10th Anniversary Edition|
ジープ ラングラー アンリミテッド ルビコン 10th アニバーサリー エディション
ボディサイズ|全長4,705×全幅1,880×全高1,845 mm
ホイールベース|2,945 mm
トレッド 前/後|1,570 / 1,570 mm
最低地上高|220 mm
最小回転半径|7.1 メートル
重量|2,050 kg
エンジン|3,604cc V型6気筒 DOHC
圧縮比|10.2 : 1
ボア×ストローク|96.0×83.0 mm
最高出力| 209kW(284ps)/ 6,350 rpm
最大トルク|347Nm(35.4kgm)/ 4,300 rpm
トランスミッション|5段オートマチック
副変速機|フロアチェンジ式
副変速機変速比|高 1.000 低 4.000
減速比|4.100
駆動方式|FR / 4WD 選択式
サスペンション|コイルリジッド
タイヤ|245/75R17
燃費(JC08モード)|7.4 km/ℓ
価格|438万円