0-100km/h加速は5.7秒の俊足を誇る

アルファロメオが創業108周年を迎えた翌日の2018年6月25日、日本でデビューを果たしたのがアルファロメオ初のSUVとなる「ステルヴィオ」だ。

プロジェクト名を「GEORGIO（ジョルジョ）」としたアーキテクチャーから生まれた第１弾がFRスポーツサルーンの「ジュリア」で、ステルヴィオはそれに続く２作目。骨格のベースとなるのはジュリアで、ステルヴィオはその背高版であるといえば話は早い。

国内販売は、2.0リッター4気筒ターボを搭載した400台限定の「ファーストエディション」から開始され、その後カタログモデルとして同じエンジンを載せた2.0ターボQ4シリーズと、2.9リッターV6ツインターボ搭載のトップモデル「クアドリフォリオ」が導入された。今回試乗したのは、２リッターエンジンの4WDスポーツモデル「ステルヴィオQ4スポーツ」だ。

ボディは全長4,690×全幅1,905×全高1,680mmで、サイズ的にはクーペスタイルのSUVであるメルセデス･ベンツ「GLC」、BMW 「X４」、アウディ「Q5」などと近い。一方、短い前後オーバーハングやコンパクトなキャビン、ジュリアと共通したアグレッシブな顔つきなどが、よりスポーツカー的なイメージを発散している。

2.0リッターのアルミ製直列４気筒インタークーラー付きツインスクロールターボエンジンは、最高出力280ps（206kW）/5,250rpm、最大トルク400Nm/2,250rpmを発生。8段ATとオンデマンドの「アルファロメオQ4」4輪駆動システムが組合わされ、0-100km/h加速は5.7秒という俊足を見せる。

Page02. オフロードよりもアスファルトのコーナーが得意科目

オフロードよりもアスファルトのコーナーが得意科目

円と曲線で構成されるダッシュボードや、ド派手なレッドカラーのレザーシートという魅力的なインテリアに身を委ねて走り始めると、ステルヴィオという車名の由来がすぐに分かる。ステアリングの遊びが全くないといっていいほどクイックなのだ。

イタリア北部のアルプス山中にある標高2,757mのステルヴィオ峠は、大小48ヵ所ものヘアピンカーブを持ち、欧州のモータリストにとって憧れの聖地。このクルマなら、そこを攻めるにぴったりだ。

ステアリングホイールを握った手にほんの少し力を加えただけで、面白いように反応する鼻先はまさにスポーツカー並みで、その時のロールはほとんど感じられない。オフロードを走るよりも、アスファルトのコーナーをクリアする方が、ステルヴィオの得意科目なのだ。そのキモは、50:50の前後重量配分。もうひとつはジュリアと共通のホイールベースながら、フロントを55mm、リア25mm拡大したトレッドにあるのだろう。前が広い逆三角形のディメンジョンとすることで、先の性能が発揮できるのだ。

その対価として硬めの乗り心地という部分はあるのだが、先に挙げた3台をはじめとする百花繚乱のスポーティなミドルサイズSUVブームの中で、とんがった性能をアピールするアルファロメオらしいSUVであるという点で見ると、評価は高い。

走り慣れてくると、もう少しパワーがあったほうが、などと思ってしまうのだが、そうした向きには2017年9月にニュルブルクリンク北コースで7分51秒7という量産SUV最速の座を獲得した「ステルヴィオ クアドリフォリオ」が用意される。

唯一気になったのは、インストルメントパネル中央の液晶パネルにナビゲーションシステムが内蔵されず、接続したスマートフォンの地図アプリに頼るだけという点。しかし、イタリア カッシーノのアルファロメオ専用ラインで生産される4WDスポーツSUVの価格が691万円であるというのは、ライバルにとっても大きな脅威になるに違いない。

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