レクサスの新型フラッグシップセダン「LS500」に試乗|Lexus
Lexus LS500|レクサス LS500
レクサスの新型フラッグシップセダン「LS500」に試乗
昨年秋に日本でも販売が開始された、新型レクサス「LS」。遅れてリリースされた、ガソリンターボエンジン搭載モデル「LS500」にさっそく小川フミオ氏が試乗。レクサスがフラッグシップサルーンをどう進化させたかを確かめた。
Photographs by ARAKWA MasayukiText by OGAWA Fumio
運転して楽しいセダン
待たれていたレクサス「LS500」にようやく公道試乗することができた。もちろん先代から大きく進化しているし、先行発売されているハイブリッドの「LS500h」とも違う魅力がある。
レクサス LSというと後席も重要なラグジュリアスなセダンというイメージだろうか。しかし新しいLSは明らかに運転を楽しむクルマに仕上がっている。
とりわけ3.5リッターV6エンジンのガソリン仕様LS500はスポーティだ。ハイブリッド版のLS500hもパワフルだが、スポーツ性には感覚も大事だとすると、胸のすくような回転マナーを持つLS500はよりピュアだ。
2017年10月に発売されて、年内にクローズドの環境でステアリングホイールを握ったことのあるLS500。今回は公道試乗だったが、1カ月のあいだに印象がさらによくなったのは、ドライブ環境が変わったからだけだろうか。
僕が最初乗ったのはEXECUTIVEというぜいたくな後席(リクライニング機能とか)を持つモデルだった。後席に座っているとややゴツゴツした感じがあるのだが、運転席に乗るとぱちっと眼がさめる。
レクサスの新型「LS500」に試乗|Lexus
レクサスの新型フラッグシップセダン「LS500」に試乗 (2)
リニアな加速感が楽しい
先に触れたようにまずエンジンがよく回り、加速マナーが気持ちよい。600Nmの最大トルクがわずか1,600rpmから出はじめることもあり、クルマは野生のネコ族を思わせるほど力強く地面を蹴り立てていく感じだ。
アクセルペダルの微妙な動きにもよく反応してエンジンは繊細なフィールで回転を上げたり下げたりする。ダイレクトにドライバーとクルマがつながっている感覚は上質なスポーツセダンとして高得点だ。
ブレーキペダルのフィールも、ドライバーの微妙な力にていねいに追随し、まるで自分の脚で走っているかのようなフィールといえる。
ステアリングホイールは中立付近から反応がよく、剛性感あふれるシャシーは、ドライバーの意図どおりの舵角で向きを変えていく。かといって神経質ではない。上手な調整だ。
とくに気に入ったのはLS500 F SPORTという最もスポーティな仕様だ。足回りのしっかり感といい、スポーツドライビングにかけては、他のグレードと一線を画す感じすらある。
メーターのバイナクル(ひさし)の左側にロータリー式のドライブモードセレクトが備わっているので、これを“いじる”のもLSの楽しみとなる。
「ノーマル」モードは高速道路など快適な気分で走るときに向いている。いっぽう「スポーツ」ではエンジン回転域が上がり、「スポーツ+」では(ふだんはあまり使わないだろうが)ハンドリングによりダイレクト感が出る感じだ。
僕が好きなのはスポーツモードで、「LC」のときもそう感じたが、これを使わないと、LS500にせっかく乗っている価値がないと言いたくなるほどだ。
3,444ccのV型6気筒はハイブリッドのLS500hの3,456cc V6ユニットよりロングストローク。最高出力310kW(412ps)を6,000rpmでという高回転型だ。
最大トルクは600Nmもあり、1,600rpmから4,800rpmの広い範囲で発生する設定である。つまりごく低回転域から力があり、エンジン自体は回すとリニアな加速感が楽しい。
レクサスの新型「LS500」に試乗|Lexus
レクサスの新型フラッグシップセダン「LS500」に試乗 (3)
微細にこだわりつつクリーンなインテリア
全長は5,235mmもありスポーティセダンというには余裕がありすぎるのではと思わないでもない。しかし今回リアクオーターウィンドウを追加して6ライト化してまで流れるようなウィンドウラインを作ったスタイルの恩恵で、意外なほどコンパクトに感じる。
自動車の文法では、6ライトは後席を重視していることを意味するとされ、メルセデス、BMW、またベントレーといったメーカーは採用していない。新型LSではデザイナーが「あえて採用しました」と語ったとおり、意図は成功しているといえる。
コクピットもクラフツマンシップを重視したという企画者の意図があったようで、パネルの素材、シート表皮、さらにドアには斬新なオーナメントパネルを設けるといった具合で、やや過剰感がありそうに思われる。
実際に身を落ち着けると、しかし、クリーンな印象のほうが強く、微視的には実に細かい細工に感心させられつつも、運転という行為に集中できる配慮に感心させられた。
そのうちのひとつが8インチのメーターディスプレイだ。ドライバーの正面にはドライブに必要なエンジン回転と速度を中心とした最低限の情報だけ表示すればいいという考え方は納得がいくものである。
デザインもきれいだし、スポーツモードではデザインが変わるのも、遊び感覚があってオーナーの歓びになることは間違いない。
メーターを小さくしたのは、ヘッドアップディスプレイをうまく使っている結果なのだ。ナビゲーションの情報を含めて目線の移動を最低限におさえる心使いが行き届いている。
運転支援システムも優れていて、レーダークルーズコントロールとレーンキープアシストの連繋もよくとれている。障害物があったとき操舵まで含めて衝突を回避するアダプティブ操舵支援も備わっている。
事故予防のために車両が進化しているのと並行して、ドライブを楽しむ環境もどんどん改善されている。ともに最新の技術で最高のものを、というレクサスの考え方が面白いではないか。
Lexus LS500|レクサス LS500
ボディサイズ|全長 5,235 × 全幅 1,900 × 全高 1,450-1,460 mm
ホイールベース|3,125 mm
トレッド前/後|1,630-1,635/1,615-1,635 mm
最低地上高|(FR)144-165mm (4WD)137-151mm
最小回転半径|(FR)5.6 m (4WD)6.0 m
重量|(FR)2,150-2,260kg (4WD)2,240-2,350kg
エンジン|3,444 cc V型6気筒 ツインターボ 直噴DOHC
最高出力| 310 kW(422 ps)/ 6,000 rpm
最大トルク|600 Nm(61.2 kgm)/ 1,600-4,800 rpm
最高速度|220km/h
トランスミッション|10段AT
駆動方式|FR/4WD
サスペンション 前/後|マルチリンク / マルチリンク
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ベンチレーテッドディスク
タイヤ 前/後|245/50R19(F SPORTは245/45RF20 / 275/40RF20)
燃費(JC08モード)|(FR)10.2 km/ℓ (4WD)9.5-9.8 km/ℓ
トランク容量|440-480 リッター
価格(FR)|(LS500)980万円 (I package)1,042万円 (F SPORT)1,200万円 (version L)1,320万円 (EXECUTIVE)1,500万円
価格(4WD)|(LS500)1,020万円 (I package)1,082万円 (F SPORT)1,210万円 (version L)1,360万円 (EXECUTIVE)1,540万円