ボルボの新SUV「XC60」に試乗|Volvo
Volvo XC60|ボルボ XC60
ボルボの新SUV「XC60」に試乗
今年3月のジュネーブモーターショーで発表された、ボルボの最新SUVモデル「XC60」。先に登場した「XC90」からの流れである新しいボルボのデザインをまとった2代目XC60に、金子浩久氏がスペインのバルセロナで試乗した。
Text by KANEKO Hirohisa
クセになる優しい乗り心地
フルモデルチェンジしたボルボのSUV、「XC60」にスペインのバルセロナ近郊で乗った。
XC60は昨年発表された兄貴分の「XC90」とはサイドビュウの印象も異なり、XC90が7人乗りの3列シートを備えているのに対して、XC60はオーソドックスな5人乗り2列シートを持ち、ボディサイズも少し小さい。
しかし、正面や後ろ姿などはXC90を始めとする最近のボルボ各車と共通したものを持っている。ドイツ車でも日本車でもない、独自の個性をうまく導き出している。
走り始めて、まず鮮やかだったのが静かで柔らかな乗り心地だった。高速道路など直線主体のところではフラットな姿勢を保ちながら淡々とクルージングしていく。一般道や山道などに降りて、カーブを走る時には左右にロールを伴いながら曲がっていく。高級感をだいぶ高めている。
柔らかくコーナーをいなしながら曲がっていく感覚も独特のもので、クセになる。長く付き合うのならば、こうしたタッチの優しさは間口を広く受け止めてくれるはずだ。乗せられている人も安らげる。
試乗車はオプションのエアサスペンションを装着していたので、その効能も大きかったのかもしれない。購入する際には大いに検討に値するだろう。
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ボルボの新SUV「XC60」に試乗 (2)
何ら不満のない動力性能
だからといって、遅いわけではない。バルセロナではどちらも2.0リッター4気筒ターボのガソリンの「T6」とディーゼルの「D5」に乗ったが、それぞれ交通の流れをリードするに十分なパワーを持っていて、何の不満も抱かされることはなかった。特に、「D5」は低回転時のレスポンスを向上させる「エアパルス」という新機構が組み込まれ、その効能が明確だった。
どちらのエンジンにも組み合わされる8段ATが賢く、状況に応じてキメ細かく変速を行い、場合によってはハンドル裏のパドルを使ってマニュアル変速すれば事足りてしまう。それもあって、加速性能で不足を感じることはなかった。
後席の広さや静粛性、居住性も申し分ない。トランクルームの容量も十分で、収納についての工夫も車内のあちこちになされている。
今度のXC60のフルモデルチェンジの第一の勘どころは、そうした動力性能ではなくて、むしろ知能化に重心が据えられているように思えた。それが良く現れているのが、各種の運転支援デバイスだ。
新型XC60は、旧型XC60やXC90の運転支援技術を1段階アップデートした。1段階とは、これまでのボルボ各車が装備していたいくつかの運転支援デバイスにステリングアシストを組み合わせたことだ。
例えば、「BLIS ウィズ ステアリングアシスト」。これまでサイドミラー内のBLISを光らせること(だけ)で、ドライバーに後方から勢いよく接近してくるクルマやバイクの存在を光の点滅で警告してきたが、それをステアリングアシストと組み合わせることによって、衝突からの回避をクルマが助けてくれることになった。もちろん、光の点滅によってもドライバーを覚醒するBLISの効果はこれまででも大きかったが、それをさらに発展させたのがXC60なのだ。
同じように、車線をはみ出して向かってくる対向車との衝突を回避するために、これまでは警告音と表示だけだったのを、クルマ側でもステアリングホイールを回す運転支援を執り行うことによって、事故の可能性と被害を少しでも減らそうともしている。
このような、さまざまな安全技術とデバイスを他に先駆けて積極的に商品化してユーザーに届けようとするボルボの昔からの姿勢には大いに共感する。
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ボルボの新SUV「XC60」に試乗 (3)
ネット接続も進化
コネクティビティの先進性も最近のボルボ各車の長所と魅力の一つだ。クルマがインターネットに接続してユーザーが得られるメリットがよく吟味され、使いやすいように整備されている。
SIMカードを備えてアカウントを持っているのでXC60自身がインターネットにアクセスすることもできるし、CarPlayやAndroidAutoなどのようなアプリによって、接続したスマートフォンのテザリングによってもアクセスすることができる。
日常生活で活用しているスマートフォンやタブレット端末などによるインターネットへの常時接続を、クルマに乗っているあいだだけ我慢する必要も無くなったのだ。もちろん、そのために重要な日本語でのボイスコントロールの精度も向上しているから使い勝手は良くなっている。
XC60は非常に魅力的なSUVに仕上がっていた。日本仕様の登場に期待したい。
それにしても、XC90にしてもXC60にしても、先ごろ日本でも発売が開始された「V90」や「S90」などにしても、最近のボルボはどれも各カテゴリーを確実にリードする内容と完成度を持っている。
そう思わせるのは、やはり今後の自動車の発展の大きな鍵を握っている知能化の重要性を十分に認識し、次々と運転支援やコネクティビティ デバイスを製品に投入してきているからだろう。製品の良し悪しもさることながら、商品企画と姿勢の先進性に限りない共感を寄せてしまう。
Volvo XC60 T6 AWD|ボルボ XC60 T6 AWD
ボディサイズ|全長 4,688 × 全幅 1,902 ×全高 1,658 mm
ホイールベース|2,865 mm
トレッド 前/後|1,653-1,668 / 1,657-1,673 mm
車両重量|1,814 - 2,115 kg
エンジン|1,969cc 直列4気筒DOHCスーパーチャージド&ターボチャージド
ボア×ストローク|82.0 × 93.2 mm
圧縮比|10.3
最高出力|235 kW(320 ps)/5,700 rpm
最大トルク|400 Nm
トランスミッション|8段AT
駆動方式|4WD
サスペンション前|ダブルウィッシュボーン
サスペンション後|インテグラルアクスル
0-100km/h加速|5.9 秒
最高速度|230 km/h
最小回転半径|5.7 メートル
最低地上高|216 mm(エアサスペンション仕様は209 mm)
アプローチアングル|23.1度
ブレークオーバーアングル|20.8度
デパーチャーアングル|25.5度
渡河深度|400 mm
トランク容量|505-1,432 リッター
燃費(EC)|7.7 ℓ/100km(およそ13.0 km/ℓ)
CO2排出量|175 g/km
Volvo XC60 D5 AWD|ボルボ XC60 D5 AWD
ボディサイズ|全長 4,688 × 全幅 1,902 ×全高 1,658 mm
ホイールベース|2,865 mm
トレッド 前/後|1,653-1,668 / 1,657-1,673 mm
車両重量|1,814 - 2,115 kg
エンジン|1,969cc 直列4気筒DOHCディーゼルターボ
ボア×ストローク|82.0 × 93.2 mm
圧縮比|15.8
最高出力|173 kW(235 ps)/4,000 rpm
最大トルク|480 Nm
トランスミッション|8段AT
駆動方式|4WD
サスペンション前|ダブルウィッシュボーン
サスペンション後|インテグラルアクスル
0-100km/h加速|7.2 秒
最高速度|220 km/h
最小回転半径|5.7 メートル
最低地上高|216 mm(エアサスペンション仕様は209 mm)
アプローチアングル|23.1度
ブレークオーバーアングル|20.8度
デパーチャーアングル|25.5度
渡河深度|400 mm
トランク容量|505-1,432 リッター
燃費(EC)|5.5 ℓ/100km(およそ18.2 km/ℓ)
CO2排出量|144 g/km
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