レンジローバー イヴォーク コンバーチブルに試乗|Land Rover
CAR / IMPRESSION
2016年4月12日

レンジローバー イヴォーク コンバーチブルに試乗|Land Rover

Land Rover Range Rover Evoque Convertible|ランドローバー レンジローバー イヴォーク コンバーチブル

レンジローバー イヴォーク コンバーチブルに試乗

大事に育ててほしい1台

レンジローバー ブランドのなかでも、ユニークなデザインをまとう「イヴォーク」に、オープンモデルが登場した。2012年にコンセプトモデルとしてデビューしてから4年、市販車となった「イヴォーク コンバーチブル」の仕上がりを、九島辰也氏がまだ雪深いアルプスの高級リゾート地で試す。

Text by KUSHIMA Tatsuya

大胆かつスタイリッシュなボディ

これまでもオフローダーをはじめヨーロッパ車の国際試乗会で、幾度となく世界中のメジャーなスキー場に足を運んで来た。インスブルッグやバンクーバー、シャモニーなんかを記憶する。そしてまた今回も雪山。場所はフランスのリヨンから東へ行ったアルプスの一角となる。

クールシュヴェルはスキーファンには有名かつ憧れの地だ。3つの谷からなるそこには数多くのゲレンデが存在する。と同時に、ここは高級リゾートとしても知られる。ロイヤルファミリーをはじめセレブリティやVIPがこの地を訪れるからだ。なので、迎え入れるホテル側もゴージャス。5つ星のホテルは20を数え、なかには6つ星と呼ばれるものもあるらしい。

Land Rover Range Rover Evoque Convertible|ランドローバー レンジローバー イヴォーク コンバーチブル

Land Rover Range Rover Evoque Convertible|ランドローバー レンジローバー イヴォーク コンバーチブル

イヴォーク コンバーチブル」の国際試乗会はそんなエリアで行われた。ヨーロッパ屈指の高級リゾートであれば、レンジローバー ファミリーにはうってつけと言える。イメージ通りスキー場に近づけば近づくほど高級車とすれ違う頻度が上がる。

そのイヴォーク コンバーチブルは、まさにコンセプトカーをそのまま市販化したようなモデルだ。SUVの進化版とでも言えそうなスタイリングは写真で見るより違和感なく、ボテッとしていない。クーペベースで開発したからであろう。ボディサイドのラインも思いのほかシュッとしている。かなり大胆に、かつスタイリッシュにつくられている。

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レンジローバー イヴォーク コンバーチブルに試乗

大事に育ててほしい1台(2)

初めから高い完成度

はじめに幌の話をしておくと、ファブリック製のそれは約18秒で開き、21秒で閉まる。時速48km以下なら走行中も稼働可能なので、信号待ちで屋根を開けている途中に青になっても焦ることはない。ゆっくりスタートすれば頭の上に青い空が広がる。

生地は5層で4つのモーターが大きな幌を動かす。重さは約68kg。同じ質量のハードトップよりも計算上30パーセントは軽くなるからクルマの重心を低くするのに一役買っている。そしてまたこのファブリック製幌の剛性がかなりいい。閉めているときはメタルトップでないことを忘れてしまったほどだ。それに稼働中の音が静かなのも付け加えておこう。4つのモーターの静粛性は高い。

Land Rover Range Rover Evoque Convertible|ランドローバー レンジローバー イヴォーク コンバーチブル

Land Rover Range Rover Evoque Convertible|ランドローバー レンジローバー イヴォーク コンバーチブル

ちなみに、可動式メタルトップは考えなかったのかという質問には、「考えなかった」と即答した。というのも、このクルマは最初のデッサンが優れていたことではじまった経緯がある。それがファブリックだったのだから、誰も疑問は持たなかったというわけだ。

モデルラインナップは、ディーゼルエンジンの出力違いとお馴染みのガソリンエンジン搭載車がある。前者がIngenium TD4(150ps/180ps)で、後者がSi4 (240ps)となる。すべて4WDでFWD車はない。

メインに試乗したのはガソリンエンジンとなる。今後ディーゼル導入も可能性はあるが、日本ではいまのところはこちらで勝負。パワートレーンに関してのトピックスはないが、エンジンとトランスミッションのマッチングはいい。総合的にクルマはカッチリと仕上がっている。クローズドボディのイヴォーク自体年々よくなっていることから、コンバーチブルは完成度の高い状態でリリースできたのだろう。

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レンジローバー イヴォーク コンバーチブルに試乗

大事に育ててほしい1台(3)

お見事としかいいようがない乗り心地

というように走りに関して問題点はない。当然剛性アップのためサイドシルや足まわりにも補強が入るが、それが軽快さを削ぐことはない。ステアリング剛性は高く、ニュートラルステアで気持ちのいい走りをみせた。

また、今回の目玉のひとつに電子制御系の装備がある。雪道でそれを発揮するのだが、レンジローバー ファミリーであればそれも取り立て騒ぐことはないだろう。ヒル ディセント コントロールの進化版はダウンヒルのみならず、速度調整をしながらトラクションをかけ前へ進むことができる。

Land Rover Range Rover Evoque Convertible|ランドローバー レンジローバー イヴォーク コンバーチブル

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ただあらためて考えてみると、雪道以外もスタッドレスタイヤで走り回ったのだから乗り心地のよさは想像以上。もちろん、開発陣もそこに自信があってのコース設定だろうが、お見事としかいいようがない。

といったのがファーストインプレッションだが、今後期待したいところも多々ある。ファブリックの屋根のカラーリングを増やし、さらにファッション性を高めてほしいところだ。いまこうしたエポックメイキングなクルマをつくれるカーメーカーは少ない。その意味でも、ランドローバーには大事に育ててほしい1台である。

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Land Rover Range Rover Evoque Convertible Si4 240PS|
ランドローバー レンジローバー イヴォーク コンバーチブル Si4 240PS

ボディサイズ|全長 4,370 × 全幅 1,980 ×全高 1,609 mm
ホイールベース|2,660 mm
車両重量|1,936 kg
エンジン|1,999cc 直列4気筒DOHC ターボチャージド
最高出力|176.5 kW(240 ps)/5,800 rpm
最大トルク|340 Nm/1,750 rpm
トランスミッション|9段AT
駆動方式|4WD
ブレーキ前/後|ベンチレーテッドディスク / ベンチレーテッドディスク
タイヤ|235/45R18
燃費(EU複合)|8.6 ℓ/100km(11.6km/ℓ)
CO2排出量|201 g/km
0-100km/h加速|8.6 秒
最高速度|209 km/h
最小回転半径|5.65 メートル
ラゲッジルーム|251 ℓ
アプローチアングル|19度
デパーチャーアングル|31度
ランプブレークオーバーアングル|18.9度
渡河深度|500 mm

           
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