エクストレイル、GT-Rはじめ日産各モデルに雪上で試乗|NISSAN
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エクストレイル、GT-Rはじめ日産各モデルに雪上で試乗
雪道でもっとも必要なのは自制心というオプション
フルラインナップメーカーである日産が、長野県・霧ヶ峰を舞台にまでさまざまなモデルを取り揃え、雪上試乗会を開催した。FRのスポーツカーから4WDのSUVまで、雪道でいかなる走りを見せるのか。モータージャーナリスト、小川フミオ氏によるショートインプレッションをお送りする。
Text by OGAWA FumioPhotographs by ARAKAWA Masayuki
雪山でもスタイリッシュなSUV──エクストレイル ハイブリッド
日産車を雪上で乗る機会にめぐまれた。2016年1月、場所は長野県・霧ヶ峰だ。日産自動車はフルラインナップを持つメーカーだけに、コンパクトカーからSUVまで、4輪駆動仕様を豊富に揃えている。それだけでなく、2輪駆動でもちゃんと走れることがわかる機会をくれた。
当初は、凍結した女神湖の上で運転する予定だったようだが、暖冬のあおりを受け、氷の厚みが足りなかった。コースは、近くのスキー場へと向かう山岳路を含む、一般の圧雪路へと変更。まず試したモデルは、「エクストレイル ハイブリッド20X」だ。
2015年5月に発売されたエクストレイル ハイブリッド。全長4,640mm、全高1,715mmのボディを持つ。SUVであるエクストレイルの派生車種で、2リッター4気筒ガソリンエンジンに電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載する。日産自動車のシステムは、「1モーター2クラッチ」。電気モーターのみの走行時はエンジンと駆動系をクラッチで切り離す。それによって燃費低減をはかるのだ。
4WDシステムは、「オールモード4×4-i」と名づけられており、ドライバーは3つのモードが選択できる。前輪100パーセントから前後50対50までトルク配分を自動で変えていく「オートモード」、前後50対50に固定の「ロックモード」、そして高速道路など低負荷の路面用の「2WDモード」である。
エクストレイル・ハイブリッド20X(301万1,040円)に乗ったのは、女神湖周辺を出発し、スキー場のある霧ヶ峰へと至る山岳路である。夏は眼下に草原とその向こうに八ヶ岳の連峰が見える観光道路だ。冬は見晴らすかぎり真っ白。空の色と雲の形が変化をつけてくれるだけだ。そんな中でも安心してドライブをしなくてはいけない人たちのための技術が、4WDなのだ。
エクストレイル・ハイブリッドの印象は、きわめて安心できる、というものだ。ドライバーはなにかの操作にわずらわされることがない。ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、これだけ意識をしていればいい。路面や降雪の変化など、気をつけていなくてはいけない要素が多い冬の道では、とても大事なことである。
エクストレイル・ハイブリッドには、CVT(無段変速機)やブレーキに電子制御を組み合わせて、コーナリングや乗り心地を最適化してくれる技術が搭載されている。このシステムの恩恵だろうか、雪道でのドライブでは、車両の姿勢制御も確実に行えた。
日産自動車とルノーのアライアンスの成果か、エクストレイルはフランスでもよく見かける。とりわけパリで見ると、じつにスタイリッシュだ。その印象は、雪山でも変わらない。かたちも機能も含めて、かっこいいSUVである。
雪上では、エクストレイル・ハイブリッドに加えて、なんと「GT-R」にも乗れた。
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エクストレイル、GT-Rはじめ日産各モデルに雪上で試乗
雪道でもっとも必要なのは自制心というオプション (2)
雪道でも予想以上によく走る──GT-R
日産自動車の雪上試乗会で、びっくりしたのは、日産GT-Rが用意されていたことだ。
1,000万円を超える価格のGT-Rは、404kW(550ps)の最高出力と、632Nmの最大トルクを持つ3.8リッターV型6気筒エンジンを搭載。スポーツカーといえばいいのか、スーパーセダンといえばいいのか。駆動方式は通常後輪駆動で、後輪が滑ったりした場合、前輪へとトルクが配分される。いってみればスポーツ4WDだ。
仕様は「プレミアムエディション」(1,058万7,240円)。豪華装備がおごられている。シート表皮は本革とスウェードのコンビネーション。LEDヘッドランプと、11スピーカーからなるBOSEサウンドシステムが標準装備である。
4,670mmの全長に対して、1,895mmの全幅と、1,370mmの全高という、ワイドでありかつ低めのボディは、迫力があり、魅力的だ。雪道のためにダンロップのスタッドレスのランフラットという専用タイヤを装着。扁平率20パーセントなので、ホイールリムに薄くゴムが巻き付いているだけのように見える。
雪道では、ところが、予想以上によく走るのに驚かされた。タイヤのグリップもよい。路面の状況をステアリングホイールにきちんと伝えてくれるのも、安心材料だ。スポイラーが深いので、積雪が深いところへは行けないが、雪道でも難なく走っていける。
同時に乗ったのは、「フェアレディZバージョンST」「スカイライン200GT-t typeP」「マーチNISMO S」。これらはみな2輪駆動。加えて、「ジュークNISMO RS」だ。こちらだけ4輪駆動である。すべてのクルマがスタッドレスタイヤ装着だった。
さすがにパワフルな2輪駆動であるフェアレディZとスカイラインは、走行時にやや緊張する。丁寧なステアリング操作と、加減速が必要になる。それでも意外なほどよく走る。4輪駆動のジュークは、ごくごく自然なドライブができて、改めて感心した。
GT-Rの走行にあたって、日産自動車のテストドライバーから、「普通に走れるように思えても無理しないでください」と警告があった。雪道でもっとも必要なもの。それは、自制心というオプションなのかもしれない。
日産お客さま相談室
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