新型MINI クラブマンに試乗|MINI
MINI Cooper Clubman|ミニ クーパー クラブマン
新型MINI クラブマンに試乗
ファミリーに1台あればなんでもこなせるクルマ
「MINI」が属するプレミアム スモール コンパクト セグメントのひとつ上、プレミアム コンパクト セグメントのモデルとして追加された「MINI クラブマン」。先月、日本にも導入されたその新型に、モータージャーナリストの小川フミオ氏が試乗した。
Text by OGAWA FumioPhotographs by ARAKAWA Masayuki
機能性重視のパッケージング
「MINIクラブマン」は、従来のMINIとはちがう。とは、輸入元のBMWジャパンの謳い文句だ。なぜかというと、サイズが大きくなったからだ。もちろん、最大の特徴は、前ヒンジの4枚ドアを備えたところにある。市場調査によると、MINIのオーナーは2台所有が多いけれど、MINIクラブマンなら1台あればなんでもできる、と強調される。それで、従来のMINIでは届かなかったあたらしい市場を狙うようだ。
新型MINIクラブマンのラインナップは、2つのモデルからなる。1.5リッター直列3気筒の「MINI クーパー クラブマン」(344万円)と、2リッター直列4気筒の「MINI クーパーS クラブマン」(384万円)だ。なにより重要な点はサイズにあって、「MINI5ドア」と比較すると、全長で270mm、ホイールベースで105mm長い。「MINI クロスオーバー」より荷室容量こそ限られるものの、メリットもある。立体駐車場に入れられるのだ。
全長は4270mmでホイールベースは「MINI 5ドア」より105mm長い2670mm、というMINIクラブマン。実際に室内は、空間的な余裕がたっぷりある。MINIのコンセプトとして、インテリアには適度なタイトさをもたせていた。MINIクラブマンでは、より機能を重視してパッケージングを見直したといえる。後席は175センチの人間でもレッグルームとヘッドルームに余裕がある。シートクッションは厚みがあり、バックレストも高く、ホールド性は悪くない。長距離ドライブも大丈夫だろう。
使い勝手でいうと、荷室容量が360リッター確保されているのが機能的だ。観音開きのハッチは、スタイル上の個性というばかりか、意外に使いやすい。ハッチが小さいからスペースが狭いところでも、荷物の出し入れがしやすい場合があるのだ。しかも脚の動きで自動に開く機構も備えている。
クーパーSは走りもよかった。
MINI Cooper Clubman|ミニ クーパー クラブマン
新型MINI クラブマンに試乗
ファミリーに1台あればなんでもこなせるクルマ (2)
思わず破顔するファン・トゥ・ドライブ性
試乗したのは、パワフルなMINIクーパーSクラブマン。2リッター4気筒エンジンは、クーパーの3気筒とベースをおなじくするモジュラーユニットだ。1気筒500ccで構成されている。1.5リッターのクーパーと比較すると、最高出力は41kW多い141kW(192ps)、最大トルクは60Nm増えて280Nm。トランスミッションは、クーパーが6段オートマチックであるのに対して、クーパーSは8段オートマチックがおごられている。
クーパーSに乗ると、数値が表すより、ずっと活発で楽しいとわかる。最大トルクが1,250rpmという低回転から出はじめる設定で、発進のダッシュ力がある。かつ、中間加速も鋭い。とくに、「パフォーマンスコントロール」という機構を使うと、走りのよさが際立つ。シフトレバー中立位置が「コンフォート」。右が「グリーン」(エコモード)、左が「スポーツ」となる。好みで選べる。
スポーツモードは、クーパーSに期待される俊敏さが、より強調される。軽くアクセルペダルを踏み込んだだけで、胸のすくような加速感を味わえる。ハンドリングは素直。曲がっていく時、ステアリングホイールの感触に、ややラバリーなかんじがあるのはブッシュのせいだろうか。それを除けば、コントローラブルで、運転していると思わず破顔するファン・トゥ・ドライブ性を備えている。
「パフォーマンスコントロール」はよくできているが、そもそもクルマの素性がいい、というかんじだ。コンフォートでも(市中では「グリーン」でも)、操縦性はかなり楽しい。加速に突出しているとか、脚まわりが硬すぎるとか、そういうことはない。全体としてのバランスがいい。試乗したモデルは、「スポーティな走りと快適性を両立する」と謳われる「ダイナミックダンパーコントロール」(7万7,000円のオプション)が、サスペンションに備わっていたこともあるのだろうか。まさにすべてをカバーしてくれるクルマだと感じられた。
スタイリングはいいかんじだ。それには理由がある。
MINI Cooper Clubman|ミニ クーパー クラブマン
新型MINI クラブマンに試乗
ファミリーに1台あればなんでもこなせるクルマ (3)
MINI一族に共通するスポーティさ
MINIクーパーSクラブマンは、ブラックアウトされたメッシュグリルとLEDヘッドランプなどが識別点だ。クーパーと共通しているのは、横から見た時のかっこよさだ。ルーフとボディが後ろにいくにしたがって、少しすぼまって見える。それがステーションワゴンのような実用一辺倒の雰囲気を消して、アクティブなドライバーズカーであるというイメージを強く感じさせる。好ましいスタイリングだ。
すいすい曲がるゴーカートフィーリングにこだわりつづけるだけある。プレミアムコンパクトいう、従来よりひとつ上のセグメントに入るMINIクラブマンだが、製品のコアには、MINI一族に共通するスポーティさをもっていると感じさせるのだ。
インテリアのオプションも豊富だ。レザーシートは色のバリエーションもいいし、クロスステッチも選べる。ショルダーを丸くかたどったモダンなシェイプのシートに、古典的なパターンやカラーを組み合わせられるのは、MINIだけの魅力といえる。
トグルスイッチ型のスターターと、大きな円形のメーターナセルは、従来のMINIに共通する意匠である。しかしメーターの中には、最先端のコネクト機能と関連する情報が表示される。ナビゲーションをはじめ、音楽などの車載インフォテインメントなどが使えるのだ。そこにもあたらしさがある
室内は通常の使用条件下ではかなり静粛性が高い。路面やエンジンルームからの透過音は低く抑えられているし、風切り音もごく小さい。“プレミアム”コンパクトとは、大きさのことだけではない。クオリティのことも意味しているのだと、乗っているうちに理解が深まる。
クーパーSは通常スポーティさをウリにしたモデルだが、印象としては“あたり”がやわらかく、万人向けというメーカーの意図どおりに仕上がっていると感じられた。燃費はリッター16.6キロ、クーパーは17.1キロ(ともにJC08モード)と発表されている。実用上はこれほどよくはないにせよ、けっして悪くない数値だろう。たしかにファミリーに1台あればなんでもこなせるモデルだと思う。
MINI Cooper S Clubman|ミニ クーパー S クラブマン
ボディサイズ|全長 4,270 × 全幅 1,800 × 全高 1,470 mm
エンジン|1,998 cc 直列4気筒DOHC
最高出力| 141 kW(192 ps)/ 5,000 rpm
最大トルク|280 Nm/ 1,250 - 4,600 rpm
トランスミッション|8段オートマチック
ラゲージ容量|360-1,250 リットル
価格│ 384万円
MINIカスタマー インタラクション センター
0120-3298-14 (平日 9:00-19:00 土日祝 9:00-18:00)