最高のコンサートのごとく──コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ2022が開催| Concorso d’Eleganza Villa d’Este

1971年「シトロエンSM」はアメリカ人チューナーによるスピード記録車。後部にはブレーキを補助するパラシュートが追加されている。

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2022年6月30日

最高のコンサートのごとく──コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ2022が開催| Concorso d’Eleganza Villa d’Este

伝説のジェントルマン・ドライバーたち

クラスG「スピードの壁を破る:夢の時速300キロメートルを追ったクルマたち」の選外佳作賞に選ばれた1971年「シトロエンSM」にも触れる必要があろう。ヴィラ・デステとしては珍しい70年代のフランス製量産車が参加できた背景には理由がある。
米国のメカニック、ジェリー・ハザウェイはフランスの前衛的デザイン+マセラティ製エンジンというSMに魅了され、同車のチューンを決意する。まず243km/hを達成。さらにギャレット製スーパーチャージャーを付加して、321.9km/h(時速200マイル)を記録した。確実なブレーキングのために装備されたパラシュートは今も残る。
クラスF「BMW“M”カーとその祖先たち」も華やかだった。50周年を迎えたBMWのスポーツ系モデルがあたかも歴史絵巻のごとく、マシンゆかりの人々とともに現れた。
1978年「BMW320」グループ5ツーリングカーレース仕様に乗って現れたのは、かつて同車で戦ったエクハート・シュインプ氏(左)。
たとえば、1978年「BMW320」のグループ5ツーリングカーレース仕様は、実際に同車で戦ったエクハート・シュインプ氏の操縦で現れた。現役時代、雑誌編集長でありながらプロレーサーだったという異色の経歴の持ち主である。
2台の「BMW M1」。左は1979年のプロカー仕様。右は1981年の量産仕様だが、35年間シチリアの倉庫に眠っていたもので、走行距離は7329kmに過ぎない
1979年「BMW M1」は五十数台が製造されたプロカー仕様で、うち5台造られたワークスカーの1台である。パレードでは現オーナーで実業家のミヒャエル・ヒンデラー氏が、観客席にいるひとりの紳士を呼んだ。1980〜90年代にDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)に参戦し、現在BMWのブランド・アンバサダーを務めるレオポルド・プリンツ・フォン・バイエルン氏であった。
1979年「BMW M1」プロカー仕様の現オーナー、ミヒャエル・ヒンデラー氏(左)と、元BMWのワークスドライバー、レオポルド・プリンツ・フォン・バイエルン氏(右)
そのあと彼は、筆者に日本の友人の話を次々と楽しそうに披露した。そう、1990年代にババリア王子は全日本ツーリングカー選手権でも活躍していたのだった。シュインプ氏とともに、獰猛なマシーンのイメージとは対照的ないで立ちと語り口で、まさにジェントルマン・ドライバーの名がふさわしかった。
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