マセラティ100周年 × イタリアンラグジュアリースポーツカー|Maserati
Maserati|マセラティ
MASERATI 100 - A Century of Pure Italian Luxury Sports Cars
マセラティ100/純粋なるイタリアンラグジュアリースポーツカーの世紀
1914年にイタリア・ボローニャで創業し、100周年という節目の年を迎えたマセラティ。先日、東京でも増上寺を舞台にアニバーサリーイベントが開催されたばかりだが、本国イタリアでは6月から2015年1月の期間、「マセラティ100/純粋なるイタリアンラグジュアリースポーツカーの世紀」と題された特別展が開催中だ。そのオープニングレセプションに小川フミオが出席した。創業者一族のひとり、カルロ・マセラティ氏のインタビューを交え、レポートをお届けする。
Text by OGAWA Fumio
マセラティの100年をいろどる歴史的なモデル
マセラティにとって2014年は創業100年にあたる年だ。そこで中部イタリアはモデナのエンツォ・フェラーリ・ミュージアムで、6月から2015年1月にかけて、「マセラティ100/純粋なるイタリアンラグジュアリースポーツカーの世紀」と題された特別展が開かれている。
「マセラティ創業100周年は、私たちの歴史の中で最良の時に巡ってきました。なぜなら、今日マセラティは大きく業績を伸ばし、今までにないほど増えているマセラティファンの方々からニューモデルは高い人気を博しているからです」。オープニングの式典において、集まったジャーナリストやモデナ市民の前で、マセラティのハラルド・ウェスターCEOはそう語った。
隣に立っていたのは、フェラーリのルカ・ディ・モンテツェーモロ会長。ウェスターCEOのスピーチを受け、回想を披露した。「私は、1997年にマセラティが経営危機に陥ったまま放置されていた時の状況をはっきりと思い出すことができます。そして私は、マラネロのチームと一緒にマセラティを再生するという挑戦を受けて立ちました」。
そこで出来上がったのが、2003年発表の先代「クワトロポルテ」だ。フェラーリが開発に手を貸した4.2リッターV8のすばらしいフィールをはじめ、洗練されたハンドリングと、トラブルをできるだけ未然に回避する品質管理などで、市場で大きな成功をおさめ、その後に続く、「グラントゥーリスモ」「グランカブリオ」、そして現行「クワトロポルテ」と「ギブリ」が高い評価を獲得したのだ。
展覧会では、戦前のグランプリカーにはじまり、マセラティの100年をいろどる歴史的なモデルが21台展示される。入れ替えもおこない、トータルで30台ほどの有名なマセラティが一般の前に姿を現すそうだ。ほとんどがとても有名であるが、しかし、熱心な自動車ファンでも実車を目にするのは初めてという貴重なモデルばかりだ。
1台しかロードゴーイングバージョンが作られなかった16気筒の「V4」(1932年)をはじめ、1954年から60年にかけて、スターリング・モスとフアン・マヌエル・ファンジオによってマセラティ・レーシングチームに栄光をもたらした「250F」や、それに続く時代を作りあげた「ティーポ61」、さらに米国で人気を呼んだ華麗な「クーペ」など、どれだけ観ていても見飽きない展示内容だ。
Maserati|マセラティ
MASERATI 100 - A Century of Pure Italian Luxury Sports Cars
マセラティ100/純粋なるイタリアンラグジュアリースポーツカーの世紀 (2)
情熱がなければ、スポーツカーなんて作れなかった
「もっとも印象に残っていることは、すぐれた技術者たちのことです」。展覧会会場で出会ったカルロ・マセラティは戦後の「黄金時代」を回想してくれた。創業者一族であるマセラティ兄弟の六男、エットーレの息子で今年84歳になる。カルロ・マセラティは、大学で工業を学んだのち、マセラティ兄弟たちが同社を手ばなしたあと47年に設立したスポーツカーメーカー、OSCAで働いた経歴を持つ。
「工房で驚いたのは、私が大学で一所懸命学んだ知識について、たたきあげの技術者たちが現場での経験から、すでに十分に知っていたことです。すぐれたスポーツカーを構成する、シャシー、エンジン、空力、さまざまな要素は、すでに彼らのものでした」
この歴史の生き証人に、あなたにとってマセラティとはなんですか、と質問すると「情熱です」という言葉が返ってきた。「それがなかったら、スポーツカーなんて作れなかったでしょう。忘れないでいただきたいのは、私の父や叔父たちは、マセラティを作り、OSCAを作ったのです」。
息子と一緒にオープニングレセプションを訪れていたカルロ・マセラティはそう語った。みずからの一族の名を冠したクルマの歴史を俯瞰するのは、いったいどういう気分なのだろう。